ふたりソロキャンプ ドラマキャンプ飯レシピまとめ｜カレー・ピーマン・ビア缶チキンなど人気メニュー再現

ドラマ『ふたりソロキャンプ』で描かれるのは、ただのキャンプライフじゃない。孤独の中にある温もり、焚き火の音とともに染みわたる“あの一口”の記憶です。

本作では、ビア缶チキンやドライカレー、タンドリーチキンといったキャンプ飯がリアルに描かれ、そのひと皿ひと皿に「物語」が宿っています。

この記事では、そんな『ふたりソロキャンプ』のドラマや漫画に登場するキャンプ飯を徹底再現。ビア缶チキン、カレー、ピーマンなど、作中でも話題の“おいしさの秘密”をレシピと演出視点からひもといていきます。

再現だけじゃない、“物語の味”まで味わいたくなる。そんな読後感をお届けできたら嬉しいです。

『ふたりソロキャンプ』とは何か？──孤独と温もりが交錯するドラマの魅力

ドラマ版の特徴と世界観：料理が語る人間ドラマ

『ふたりソロキャンプ』は、原作漫画の持つ“孤独を愉しむ哲学”をそのままに、ドラマならではの映像演出と食描写で魅せてくる。特に注目したいのは、主人公たちが焚き火を囲むシーンでの「料理」が、ただの食事を超えて人間関係や心情の機微を伝える媒体として機能している点だ。

第1話で登場する“ビア缶チキン”はその象徴的存在。丸鶏にビール缶を突き刺して焼き上げる大胆な調理法が、主人公・樹乃倉の無骨なスタイルと重なって見える。料理を通じて語られるのは、言葉少なな男の心のうち──だからこそ、一皿の熱と煙が言葉以上の雄弁さを帯びてくる。

このドラマでは、調理音や焼ける香りを想像させる演出がとにかく丁寧で、観ているだけで五感が刺激される。まるでキャンプ場の片隅に自分も座っているかのような感覚。グツグツと煮える音、チリチリと薪が弾ける音、それらが画面の向こうからこちらの身体にまで届いてくる。

なかでも印象的だったのは、料理の途中でふと見せる主人公たちの“無言の間”。ピーマンにカレーを詰める静かな作業や、マリネ液を揉み込む手元のショット。それは単なるキャンプ飯レシピ紹介ではなく、彼らの関係性や距離感を炙り出す“物語の一部”なのだと気づかされる。

料理が進むほどに、ふたりの関係性がゆっくりと変化していく。それを観る私たちの心も、同じ火に当たって温まっていく。だからこそこのドラマの魅力は、キャンプ飯の再現だけでは語り尽くせない。「料理が感情を語る」──その構造が物語に熱を与えている。

原作漫画との違いと“食”に宿るテーマ性

原作『ふたりソロキャンプ』は、ヤングマガジンで連載中のキャンプマンガ。その魅力のひとつは、緻密に描かれた料理描写と、それに込められた“孤独と向き合う時間”の豊かさにある。ドラマ版はその流れを汲みつつも、食を通じた心の交流というテーマをより前面に押し出している印象だ。

たとえば、原作では無骨な男がひとりでビア缶チキンを作る場面が、ドラマでは“ふたり”で火を囲む構図に変わっている。この変更によって、料理が「共有するもの」「対話のきっかけ」として作用する。原作に漂う“ひとりの美学”に、ドラマでは“ふたりのぬくもり”が加わってくるのだ。

また、ドラマでは火加減や香り、焼き色といった視覚・聴覚の演出が可能になったぶん、料理のリアリティと説得力が圧倒的に増している。画面越しに「今すぐ真似したい！」と思わせる説得力。それが視聴者の“再現欲”を駆り立て、レシピ検索や実際の調理行動へと繋がっていく。

ここで大事なのは、「レシピの再現」が目的ではなく、「あのシーンを体験したい」という気持ちが先にあること。だからこそこの作品は、キャンプ飯レシピとエモーショナルな演出が強く結びついている。そしてそれが、まさに“食に宿る物語性”の正体なんだと思う。

原作を読むことで、その演出の意図やアレンジ前の姿が見えてくる。巻末のレシピやおまけページには、ドラマでは描かれなかった“もうひとつの食の物語”が詰まっている。それを知ったとき、あの一皿がもっと深く、もっと熱く感じられるようになる。

ドラマで登場したキャンプ飯レシピ一覧｜再現したくなる人気メニューまとめ

第1話「ビア缶チキン」レシピと演出の妙

第1話のハイライト、それがまさに「ビア缶チキン」の登場シーンです。ドラマ『ふたりソロキャンプ』の初回でいきなり飛び出してきたこの大胆なキャンプ飯──丸鶏にビール缶を突き刺し、炭火でじっくり蒸し焼きにするという豪快かつ理にかなったレシピです。

使用するのは1羽まるごとの丸鶏。そこに塩・にんにく・クレイジーソルトをすり込み、ビールを半分抜いた缶を鶏のお尻に“グサリ”。スキレットの上に立たせて、アルミで覆いながら炭火で約90分、じっくり火を通すという手順です。実際のレシピを追えば追うほど、これはキャンプ料理というより“儀式”のような風格すら漂います。

演出もとにかく凝っていました。焼ける音、ふわりと立ち上る蒸気、そして鶏の皮がパリッと音を立てるラストシーン──まさに“食のクライマックス”としてビア缶チキンが君臨しているんです。ここに、料理がただの“味”ではなく、“物語の決着”として描かれていることがわかります。

再現する場合、どうしても丸鶏が手に入りづらいという人も多いでしょう。そんなときは、漫画版で紹介されていた“もも肉の丸め焼き”が救世主に。鶏もも肉を巻いてたこ糸でしばり、同じ味付け・火入れで挑戦することで、家庭でもぐっと現実的に作ることができます。

このレシピを通じて感じるのは、「自分の火で、自分の手で、一羽の命に火を通す」という、ある種の原始的な感覚。それが“ふたりソロキャンプ”の核にある「火と孤独と向き合う」というテーマと、ぴたりと重なってくるんです。

第5話「ドライカレー×ピーマン」驚きの組み合わせと再現方法

ドラマ第5話で登場するのは、シンプルながらインパクト抜群の「生ピーマン×ドライカレー」レシピ。これはもう、観た瞬間に「やってみたい！」という欲を掻き立てる、極上の“キャンプつまみ”です。

合いびき肉をベースに、みじん切りの玉ねぎと人参をじっくり炒めて甘みを引き出し、そこにカレー粉とケチャップ・ソースを加えてドライカレーに仕上げる。そして、このアツアツのドライカレーを、なんと“生のピーマン”に詰めて食べるというスタイル！ ピーマンのほろ苦さとシャキシャキ食感が、濃厚なカレーと完璧なバランスを生むんです。

ここでも注目したいのは、料理を通じた感情の“交流”です。生のピーマンを差し出す手の動き、無言でそれを受け取るシーン──セリフ以上に多くを語る瞬間がありました。料理が、人と人との距離感を一歩ずつ近づけていく。まさに“ふたりソロ”の真髄がここに表れています。

家庭で再現する際もこのレシピはかなり手軽で、しかも栄養バランスも◎。ピーマンを焼かずに使うことで、手間を減らしながらも食感の驚きを演出できる点も優秀です。まさに“キャンプ気分”を日常に引き寄せてくれるレシピの代表格。

また、食べながら「この組み合わせをどうして思いついたんだろう？」と考えてしまうくらい、新鮮な驚きがあります。その答えを求めて、原作漫画を読み返してみたくなる──そんな余韻までついてくる、ドラマならではの絶妙なアレンジです。

タンドリーチキンとマリネ液でつくるカシューナッツ炒めの応用術

スパイス香る「タンドリーチキン」も、ドラマ後半で存在感を放った人気キャンプ飯のひとつ。カレー粉、ヨーグルト、にんにく、生姜、ケチャップを混ぜたマリネ液に鶏もも肉を一晩漬け込み、あとは焼くだけという手軽さなのに、味は本格的。しっかりしたスパイスの輪郭が、野外で食べるとさらに際立ちます。

このタンドリーチキンの魅力は、食べ応えだけでなく“余ったマリネ液の活用法”にまで踏み込んでいるところ。原作漫画の2巻巻末に掲載されたおまけレシピでは、残った漬けダレでカシューナッツを炒めるという小技が紹介されていて、これがまた手が止まらなくなるうまさ。

こういった“ちょっとした応用”があると、料理の幅が一気に広がるし、観ているこちらも「次はこうしてみようかな」と自然に思えるんですよね。ドラマの中でも、ただ焼いて終わりじゃなく「料理って続いていくものだ」というメッセージが込められているように感じました。

再現するなら、マリネ液は多めに作っておくのがコツ。余った液に炒め用のカシューナッツを投入すれば、即席のおつまみ完成です。これはファミリーキャンプでも、夜の“ちょい飲み”にも大活躍間違いなしの一品。

ドラマと原作漫画、両方を見比べることで、「演出が変わっても伝えたい味の核はブレない」ことが見えてきます。だからこそ、再現だけでなく“レシピの余白”まで楽しめる。それが『ふたりソロキャンプ』という作品の、食の奥深さなのだと感じています。

“再現キャンプ飯”の楽しみ方とコツ｜キャンプ初心者にもできる導入術

家庭でキャンプ飯を楽しむための火加減・調理アイテム

『ふたりソロキャンプ』に登場するキャンプ飯レシピは、見た目にも豪快で「上級者向けなのでは…？」と身構えてしまいがちですが、実はちょっとした工夫で家庭でも気軽に楽しめるレシピばかりです。特にビア缶チキンやドライカレーなどは、調理器具や火加減に気を配るだけで、十分再現が可能になります。

たとえば、ビア缶チキン。本来はスキレットと炭火を使いますが、家庭ではフライパン＋アルミホイル、あるいはオーブンでもOK。鶏を立てて加熱するのが難しい場合は、鶏もも肉を丸めて代用するという“原作準拠”の応用方法もあり、これが実に理にかなっているんです。

火加減については、直火の強さを意識するのではなく「じっくり火を通す」ことがポイント。ビールの蒸気で内側から火を入れ、皮目は最後に強火でパリッと仕上げる──このプロセスが味の決め手になります。家庭コンロでも、火力調整ができるなら充分本格的な味に近づきます。

ドライカレーやタンドリーチキンに関しても同様で、特別なキャンプ道具がなくてもフライパンひとつで問題なし。むしろ、“どこでも作れる”からこそ再現性が高く、ドラマ視聴後にすぐ「やってみよう」と思えるのが魅力です。調理音をBGM代わりに、ドラマを思い出しながら作るのも乙なもの。

おすすめのアイテムは、深めのスキレット（または厚手のフライパン）、耐熱グローブ、シリコンスプーン。どれもキャンプだけでなく普段使いできる調理器具なので、“ちょっとキャンプ気分”を自宅で味わうにはぴったりの導入ツールです。

ドラマの演出をトレースするような“気持ちの作り方”

キャンプ飯を再現する──それは単なる料理の模倣ではなく、「物語の中のひとときを、自分の中で再演する」ことでもあります。だからこそ、レシピの手順だけでなく、“あのシーンの空気感”を追体験するつもりで向き合うのが、この再現キャンプ飯の真の楽しみ方です。

たとえば、ドラマ第1話でビア缶チキンを作るシーン。焚き火の前でじっと肉の焼ける音に耳を傾ける主人公。その静けさ、その集中力、それが“自分の火”を扱う感覚を伝えてくる。そうした時間を家庭で再現するには、テレビやスマホの音を切って、自分だけの“調理の間”を楽しむ姿勢が大切になります。

第5話のピーマンカレーも然り。手元の作業に集中しながら、相手の分もそっと用意する──そんな無言の優しさが伝わってくる場面を思い浮かべながら調理することで、料理が“シーン再現”という意味を持ちはじめるのです。作りながら、物語の続きを想像する。そんな贅沢な時間を、ぜひ味わってほしい。

もうひとつのポイントは、「完成を急がない」こと。キャンプ飯の魅力は、時間をかけることそのものが体験の一部であるという点にあります。じっくり漬け込んだタンドリーチキンがなぜおいしいのか？──それは素材に味が染み込む物理的な理由だけでなく、“待つ時間”に感情が積もっていくから。

そして、その料理が完成した瞬間──「いただきます」と共に始まるのは、“食べる”という行為を通じてドラマの世界とつながるひととき。『ふたりソロキャンプ』の世界観は、画面の中だけにあるものじゃない。むしろ、レシピと自分の手を通じてこそ、最も深く触れられるものだと思っています。

料理が語る“キャラクターの心情”──レシピに宿るドラマ性の正体

厳と焚火と、ふたりの距離感がにじむ食のシーン演出

『ふたりソロキャンプ』がここまで多くの視聴者を惹きつける理由のひとつに、「料理シーンの静けさと親密さ」があります。火を囲みながら料理をする──それだけで、言葉以上にキャラクターの内面が伝わってくる。それがこの作品の核心であり、キャンプ飯が“語り手”として機能している瞬間なのです。

たとえば、焚き火を前にして黙々とビア缶チキンを仕込む厳の姿。その手つき、集中する視線、時折見せる表情のゆるみ。そのすべてが、「不器用だけど誠実な男」という人物像を立ち上がらせる。そして、そこに立ち会っているもうひとりの存在──雫との関係性が、火と料理を媒介にして少しずつ変化していく様子が、見る側の胸にもじんわりと沁みてくるんです。

このドラマは、料理を“台詞の代わり”にして心情を伝えています。たとえば、ピーマンに詰められたドライカレー。これはまるで、心を開けない厳が、言葉の代わりに差し出した“おすそ分けの気持ち”。そう読み取ると、あの一皿の意味がガラッと変わって見えてくる。

料理の描写もまた、キャラクターそのものです。タンドリーチキンを漬け込む長い時間には、慎重さと几帳面さがにじむし、焼き上がりをじっと待つ姿には、誰かを思いやる“余白”がある。食べる行為は一瞬だけど、そこに込められた準備や気持ちは長くて深い。だからこそ、料理が人物の深層心理と密接につながっているんです。

火を囲む距離感は、そのままふたりの関係の温度でもある。それがセリフで説明されず、料理の手順や動作のひとつひとつに織り込まれているのが、『ふたりソロキャンプ』の見事な演出。視聴者は、料理を観ながらふたりの心の温度に触れていく──だから“観る”だけじゃなく、“感じる”ドラマなんですよね。

漫画とドラマの“味のニュアンス”をどう読むか？

原作漫画とドラマ版では、同じキャンプ飯でも描かれ方に微妙な差があります。その“味のニュアンス”の違いに気づくことは、この作品をより深く味わう大きな鍵になります。たとえば、ビア缶チキンの描写。漫画では、作り方と構造が詳しく図解されている一方で、ドラマでは“皮がパリパリになる音”や“湯気の立ちのぼり”が五感を刺激してきます。

こうした違いは、視覚メディアの特性だけでは語りきれません。実はそこには、“料理に対する感情の角度”の違いがあるんです。漫画は、主人公の“技術としての料理”へのこだわりを描いていて、ドラマでは“情景としての料理”にフォーカスしている。どちらも同じレシピなのに、まるで違う味わい方ができるという面白さがあるんです。

また、漫画では語られない“無音の間”が、ドラマでは強い余韻として描かれます。たとえば、ピーマンに詰める瞬間の手元アップや、タンドリーチキンを網に置くときの慎重な動き。それはレシピの一部というより、“その人物らしさ”を浮かび上がらせる演出として機能している。

再現キャンプ飯を家庭で作ってみると、この“ニュアンス”の違いが体感としてわかってきます。「あのシーンではこうだったな」「漫画ではもっと大胆に描いてたな」──そうやって、作品の違いを自分の手で“食べ比べ”する。これって、ちょっと贅沢な読書体験でもあると思うんです。

結果として、“ドラマと漫画を両方知っているからこそ”得られる二重の味わいが生まれる。それが『ふたりソロキャンプ』という作品の最大の魅力のひとつであり、「レシピをなぞる」こと以上に、「物語を食べる」ことの意味なんじゃないか──私はそう感じています。

原作漫画でしか味わえない“食”の深層｜キャンプ飯の舞台裏と余韻

レシピの裏にある「おまけページ」や巻末コメントの宝庫

『ふたりソロキャンプ』のドラマでキャンプ飯の魅力に触れた方に、ぜひおすすめしたいのが“原作漫画の深掘り”。実は、レシピそのものだけでなく、その裏にある「語られざる余白」こそが、原作でしか味わえない特権なんです。

たとえば、タンドリーチキンの回。ドラマでは香ばしく焼かれる様子やスパイスの香りが臨場感たっぷりに描かれていましたが、漫画版ではその調理工程だけでなく、使用したスパイスの種類や保存のコツまでが細かく描写されています。単なる再現にとどまらない、“自分で作ってみたい”という衝動が自然と湧いてくる構成なんですよね。

さらに見逃せないのが、巻末やおまけページでの「作者の一言レシピ紹介」。これがまた絶妙に“ゆるい”んです（笑）。読者との距離が近く、あくまで「一緒に楽しもう」というスタンスで語られるこのミニコーナーには、実用性と人間味がぎゅっと詰まっている。

とくに印象的だったのが、第2巻に掲載されていた“カシューナッツ炒め”。これはタンドリーチキンの漬けダレを活用して作る“副産物的おつまみ”なんですが、そこに添えられた一言──「残ったタレ、捨てるのもったいなくてさ」──この台詞に、筆者・出端祐大先生の“食材への愛情”がにじみ出ていて、なんともあたたかい気持ちになります。

こうした“食を通じた作り手の想い”に触れられるのは、やはり紙の漫画という媒体ならでは。ドラマが“視覚と音”で語るとすれば、原作漫画は“余白と行間”で語ってくれる──どちらも違うけれど、どちらも食の魅力を語り尽くせないからこそ、補い合って一層味わい深くなるんだと思います。

ドラマ未収録の名レシピは何巻で読める？おすすめ話数ナビ

『ふたりソロキャンプ』の原作漫画には、ドラマではまだ登場していない、あるいはカットされた名レシピが多数存在します。その中でも“再現欲”をそそられるものを、ここでいくつかピックアップしてご紹介します。

まずチェックしてほしいのが、原作第3巻。ここでは“燻製ベーコンとチーズのホットサンド”や“焼きリンゴのラムシロップがけ”といった、甘さと香ばしさが両立する“静かなキャンプの夜向け”レシピが登場します。調理時間は短く、しかも家庭でもそのまま実践できる手軽さが魅力。

第4巻では、“アヒージョ×バゲット”という、女子キャンにもウケそうなメニューが登場。ガーリックオイルがぐつぐつと音を立てる描写は、漫画なのに香りが立ってきそうなほどリアルで、「あ、これは次の休日にやろう」と即決してしまった記憶があります。

さらに、原作第5巻では“炊き込みご飯”や“骨付きスペアリブのハーブ焼き”といった、どっしりと満足感のあるレシピが中心。ドラマ版ではまだ映像化されていないこれらのメニューが、どんなシーンと絡んでくるのかを想像しながら読むのも、原作の大きな楽しみ方のひとつです。

こうして“どの巻に何があるか”を知っておくことで、ドラマと漫画をシームレスに行き来する読書体験が生まれます。「このレシピ、漫画だとどう描かれてる？」という視点が加わることで、同じキャンプ飯でもまったく違った味に感じられるんです。

原作を手に取ることで、“まだ見ぬキャンプ飯”が次々と現れる。ドラマでは描ききれなかった小さなレシピたちが、キャラクターの魅力や人間関係の機微を教えてくれる──そんな発見の連続が、原作漫画には待っています。

キャンプ飯レシピまとめと読者へのメッセージ

レシピ再現は“物語に触れる”体験そのもの

ここまでご紹介してきた『ふたりソロキャンプ』のキャンプ飯レシピ。ビア缶チキン、ピーマン×ドライカレー、タンドリーチキン……どれも魅力的で、観たあとに「これ、自分でも作ってみたい！」と思わせてくれるレシピばかりでしたよね。

でも、この作品の真の魅力は、単に“料理がうまそう”というだけではありません。料理を再現するという行為自体が、物語の一部を自分の中に取り込む“儀式”のような体験なんです。あの焚き火の音、黙々と作業する手つき、無言で差し出されるひと皿──それらを追体験することが、この作品世界をより深く知ることにつながっていく。

たとえば、ビア缶チキンを作ってみる。焼き上がりまでの90分間、自分だけの時間が流れる。その間に思い出すのは、厳の不器用だけど温かい眼差し。そうやって、料理を通してキャラクターと感情が交差していく。それこそが“再現キャンプ飯”の醍醐味なんです。

そして、その一皿を誰かと分け合うとき──ふたりの距離が少しだけ近づくのを、きっとあなたも感じられるはず。それはもしかすると、ドラマで描かれた“ふたりソロ”という関係に、あなた自身が静かに重なる瞬間かもしれません。

料理を通じて、物語に触れる。再現レシピは、そのための小さな扉なのだと、私は信じています。

ふたりソロキャンプの「味」をもっと楽しむために

最後に──『ふたりソロキャンプ』の魅力を、もっと深く、もっと広く楽しむためのヒントをお伝えさせてください。それはずばり、「原作漫画を読むこと」。これに尽きます。

ドラマでは再現されなかったレシピ、巻末にそっと添えられた調理メモ、キャラクターの心情がにじむ“料理中の独白”──それらはすべて、原作の中に丁寧に描かれています。特に、タンドリーチキンとカシューナッツ炒めのように、ドラマでは省略された“食の応用術”を読むと、「料理って続いていく物語なんだな」と、思わず膝を打ちたくなる。

たとえば第3巻に出てくる“焼きリンゴのラムシロップがけ”。これは静かな夜に焚き火を囲んで食べる甘くてあたたかいレシピで、シンプルだけど情景が頭に浮かぶほどエモーショナル。こういう味は、レシピ検索では見つからない、“原作ならでは”のものです。

また、ドラマで登場したレシピを原作で読み直すと、演出の違いや省略された工程、キャラクターの細かな気遣いに気づくことも多い。たとえばピーマンにドライカレーを詰める場面。ドラマではスマートな一連動作として描かれていたけど、漫画では「あえてピーマンは切らずに使うことで食感を残す」など、技術的な解説もあって興味深い。

つまり、ドラマと原作の“二重再生”によって、『ふたりソロキャンプ』の世界は何倍にも膨らんでいく。その中心にあるのは、やっぱり「料理」。そして、その料理の奥には、キャラクターたちの想いと、読者・視聴者である私たちの感情が、そっと添えられているのです。