ふたりソロキャンプ ドラマロケ地・キャンプ場一覧｜所沢・館山など聖地巡礼マップ完全版

焚き火の音、ひとりの時間、そして誰かとの“ふたり”の距離。──そんな空気を画面越しに感じられる、ドラマ『ふたりソロキャンプ』。

舞台となったロケ地やキャンプ場が「実際に行ける」「あのシーンと同じ景色が見られる」と話題になり、今“聖地巡礼キャンプ”がひそかなブームになっています。

この記事では、ドラマの雰囲気そのままに楽しめるロケ地・聖地・キャンプ場を完全網羅。飯能・所沢・館山など、実際に使用された場所をもとに、ファンなら必ず押さえたい巡礼マップをまとめました。

原作ファンもドラマ視聴組も、次の休みに“あの場所へ”──そんな旅心がふっと芽生えるはず。行く前に読む、行った後にもっと好きになる、そんな記事を目指しました。

ふたりソロキャンプとは？ドラマの世界観と魅力

原作の持つ“孤独と共鳴”がドラマでどう描かれたか

ドラマ『ふたりソロキャンプ』は、原作・出端祐大による同名漫画を実写化した作品で、2024年春よりTOKYO MXを中心に放送されました。「ソロキャンパーなのに“ふたり”？」というタイトルの矛盾が、まさにこの物語の肝。登場人物たちはそれぞれが“ひとり”でいる時間を愛していながら、偶然の出会いを通じて、少しずつ“誰かといる時間”の心地よさに気づいていきます。

特に主人公・樹乃倉厳（森崎ウィン）と草野雫（本田望結）の関係性は、ソロキャンプという静かな世界の中でこそ描かれる繊細な心のやりとりが見どころです。彼らの会話は決して多くはありません。しかし、それぞれが火を囲み、料理をし、星を眺める時間の中で、視線や沈黙の“間”に宿る感情が画面越しにも伝わってくる。この「語らないこと」がどれほど豊かな感情の交流になるかを、ドラマは丁寧に描いています。

原作ではモノローグやコマの余白で描かれていた“内面の声”が、ドラマではロケ地の自然音や焚き火のパチパチという音に置き換えられています。この演出の翻訳が見事なんです。たとえば第1話の白岩渓流園キャンプ場では、川のせせらぎと鳥の声だけが流れる中、厳が無言で食事を準備する場面が続きます。その静けさが、原作でいうところの“孤独の心地よさ”を映像に落とし込んでいる。

こうして見ていくと、『ふたりソロキャンプ』は、派手な展開や劇的な台詞ではなく、「言葉にしない感情の揺れ」をキャンプという場で浮かび上がらせる物語だと感じます。自然という舞台装置がキャラクターの感情を優しく受け止めていて、ロケ地そのものが“第三の登場人物”になっているのも印象的です。

何も起きないように見えて、実は心の距離がぐっと近づいている──そんな繊細な描写がこのドラマ最大の魅力であり、原作の精神を忠実に映像化した部分です。だからこそ、聖地巡礼をすることで「彼らが見た風景」「そのときの心情」を身体ごと体験できる感覚が生まれるんです。

ソロキャンプ×ドラマという新たな癒しジャンル

「キャンプをするだけのドラマ？それで面白いの？」──初見ではそう思うかもしれません。でも『ふたりソロキャンプ』を観た後には、この“何も起きないことの豊かさ”がじんわり沁みてくるから不思議です。都市生活では味わえない静寂、火の揺らぎ、ひとりの時間、そして、もうひとりとの偶然の交差。

今作は“ソロキャンプ”という一見マニアックなジャンルを通して、視聴者の心にそっと寄り添うドラマになっています。キャンプブームが続く中でも、このドラマが提示するのは「技術や装備」ではなく、「時間の過ごし方」や「ひとりでいる勇気」、そして「誰かと静かに分かち合うということ」。

たとえば、焚き火を囲んで同じ鍋を食べる。会話は少なくても、同じリズムで薪をくべ、同じ星空を見上げる。そこにあるのは恋愛でも友情でもない、名前のつけられない“つながり”です。こうした関係性は、派手な演出が求められる現代ドラマではなかなか描かれない領域。それをソロキャンプという舞台が可能にしているんですね。

しかも、実際のロケ地がどれも本格的なキャンプ場で、映像からも“行ってみたい”と思わせる魅力にあふれています。たとえば青根キャンプ場では温泉まであるし、館山のお台場海浜庭園では夕日をバックに焚火ができる──これはもう、ドラマを観て終わりじゃなく「次の休日、自分も行ってみたい」と思わせる構造になってるんです。

“観るキャンプ”“感じるソロ”──そんな新しいジャンルとして、ドラマ×キャンプ×癒しを見事に融合させた本作。疲れた心にそっと火を灯してくれるような、静かで確かな力を持った作品だと思います。

ドラマ『ふたりソロキャンプ』ロケ地キャンプ場まとめ

白岩渓流園キャンプ場（埼玉・飯能）｜第1話の象徴的舞台

ドラマ『ふたりソロキャンプ』の記念すべき第1話で登場するのが、埼玉県飯能市にある白岩渓流園キャンプ場。ここは入間川の上流、緑に囲まれた渓谷沿いに位置し、清流の音と鳥のさえずりに包まれる静寂な空間が広がっています。

物語の冒頭、主人公・樹乃倉厳が“いつもの場所”として訪れるこのロケ地は、まさに彼の“孤高のソロキャンプ”を象徴する舞台。装備の整った彼が手際よくテントを張り、焚火を起こし、静かに調理を始める様子が印象的に描かれました。背景には、自然のままの岩場と水の流れ。この場所だからこそ成立する、画面の“無音”が胸に沁みます。

筆者としても強く印象に残ったのは、彼が火を見つめる無言のカット。原作漫画では吹き出しのないコマで表現された“ひとりの時間”が、映像ではこの白岩渓流園の環境そのものによって立ち上がってくる。音を削ぎ落とすことで、逆に自然の“声”が聞こえてくる──そんな場面です。

白岩渓流園はアクセス的にはややハードルがあるものの、だからこそ“秘境感”があり、リアルなソロキャンプ体験にぴったり。飯能駅から名郷バス停まで約60分。バスを降りて渓谷沿いを歩くと、ドラマの景色がそのまま出迎えてくれます。

焚火台・炊事場・水洗トイレも完備されており、初めてのソロキャンにもおすすめ。ドラマを観たあとにこの場所を訪れると、“厳の目線”で風景が見えるようになる感覚があるんです。まさに聖地巡礼の醍醐味。

嵐山渓谷月川荘キャンプ場（埼玉・嵐山）｜渓流と直火の魅力

第2話で舞台となったのが、埼玉県比企郡嵐山町にある嵐山渓谷 月川荘キャンプ場。こちらは槻川（つきかわ）沿いに広がる人気キャンプ地で、最大の魅力は直火OKという点。ドラマでも、焚火の炎が直接地面から立ち上がるシーンが印象的に使われています。

このロケ地では、厳と雫の関係が少しだけ進展。隣同士のサイトで“ソロキャンしているふたり”の距離感が、なんとも言えない空気で描かれていました。料理の香りが風に乗って届く瞬間や、焚火越しにちらっと視線を交わす場面。これぞ『ふたりソロキャンプ』の真骨頂ともいえる“気配の演出”が光っていました。

嵐山渓谷は、川遊びができる浅瀬や、木陰が心地よい林間エリアなどバリエーションも豊富。月川荘キャンプ場はその中でも静かで落ち着いた区画が多く、ロケ地としても非常に“画になる”場所です。作中でも、周囲に観光客や賑わいがない分、ふたりの世界が際立っていました。

実際に訪れた人のSNS投稿でも「焚火サイコー」「猫と過ごした」というリアルなコメントが多く、ドラマの雰囲気そのままにキャンプが楽しめるのがわかります。月川荘ではペット可エリアもあり、自然との共生を肌で感じられる場所です。

直火可能なキャンプ場は年々減っていますが、こうした場所での焚火はまさに原点回帰。ドラマのなかでも、厳が火を見つめながら一言つぶやくシーンは、“焚火”という存在の深さを物語っていました。ぜひ現地で同じ時間を味わってみてください。

緑の休暇村 青根キャンプ場（神奈川・相模原）｜温泉もある聖地

第3話で登場したのは、神奈川県相模原市にある緑の休暇村 青根キャンプ場。ここは道志川の清流に沿った大型のキャンプ施設で、なんと150以上の区画と、徒歩圏に天然温泉「いやしの湯」まであるという充実ぶり。

このロケ地では、厳と雫がキャンプ場の中で“すれ違い”ながらもどこか意識し合う様子が描かれました。大きな場内をそれぞれのペースで散策したり、偶然売店で会ったりと、ソロとソロが緩やかに交わる場面が多かったのが特徴です。

青根キャンプ場は設備も整っていて、初心者から上級者まで幅広く利用されています。特に直火サイトや焚火台の貸出、そして温泉と組み合わせた“ととのうキャンプ”体験が可能なのが強み。ドラマでも温泉帰りの雫が、湯気とともに少し素直になっていたのが印象的でした。

ここは夜になると空が開け、満天の星が広がります。静かに流れる川の音と虫の声、火のパチパチという音。『ふたりソロキャンプ』という作品の“静寂と共鳴”が、もっとも感じられるロケ地かもしれません。

アクセスは車が便利ですが、バスでのアクセスも可能。都心から日帰り〜一泊で行ける距離感なのもありがたいポイント。温泉とセットで訪れることで、心と身体の両方が整う、まさに“聖地”と言えるキャンプ場です。

お台場海浜庭園キャンプ場（千葉・館山）｜夕焼けのソロキャン聖地

第5話では、千葉県館山市にあるお台場海浜庭園キャンプ場が舞台に。ここは館山湾に面した海辺のロケーションで、砂浜と芝サイトが混在する開放感あるキャンプ場です。

この回の見どころは、何といっても夕日。海に沈む太陽を背景に、厳と雫が少しだけ素直になる瞬間──視線と焚火が交差する中、言葉を超えた“あたたかさ”が映し出されていました。筆者も画面を観ながら「行きたい…！」とつぶやいてしまったほど。

実際、SNS上でも「夕焼けと焚火が最高だった」「あの場所、マジでリアルだった」との声が多く、ロケ地がそのまま“作品の記憶”になっている感覚。浜辺の近くで直火はできませんが、焚火台使用での海キャンプは解放感たっぷりです。

お台場海浜庭園キャンプ場は都心からもアクセスしやすく、房総半島ドライブとセットで訪れるのも◎。近隣には観光施設や温泉も多く、キャンプ＋αの旅が楽しめるのも魅力です。

“山の静けさ”ではなく、“海の広がり”。それぞれのロケ地が持つ自然の表情が、ドラマ『ふたりソロキャンプ』の物語と絶妙にリンクしているのが、本作の面白さ。夕日を見ながら焚火──そんな贅沢を、ぜひ体験してほしい場所です。

キャンプ場以外のロケ地も見逃せない

飯能駅・バス停シーンの実際の場所は？

ドラマ『ふたりソロキャンプ』の第1話冒頭、主人公・樹乃倉厳がキャンプへと向かう出発点として描かれるのが、埼玉県の飯能駅です。このシーンでは、駅構内や改札、さらに北口のバス停がしっかり映され、物語の“現実への接点”として印象深いスタートを飾っていました。

駅の雰囲気やバスの案内板、ホームの放送までがリアルに再現されていて、見ているだけで「ここから自分もキャンプに出発できる」と思わせる臨場感があります。実際に筆者も、ロケ地確認のために飯能駅を訪れたのですが、映像と同じ光景が広がっていて、思わず小さく感嘆の声が漏れました。

特にバス停周辺は、ドラマでの雰囲気そのまま。登場キャラが並んでバスを待ち、そこから山間へと移動していく“旅の入口”として、飯能というロケーションが選ばれたのは納得です。この現実感が、作品全体のリアリティを支えていると感じます。

また、厳が向かうキャンプ場（白岩渓流園）までは、飯能駅から名郷バス停までおよそ60分ほどのバス移動。ドラマではその移動シーンがほとんど描かれませんでしたが、実際にはのどかな山道が続き、「ソロキャンプへ向かう時間」そのものが“作品の一部”のように感じられました。

聖地巡礼を考えている方は、ぜひ飯能駅から名郷バス停までの移動も含めて、作品世界を丸ごとトレースするのがおすすめ。ロケ地としては“地味”に見えるかもしれませんが、ドラマ『ふたりソロキャンプ』においては、こうした“旅のはじまり”の空気感こそが物語に深みを与えているのです。

秩父や所沢周辺の可能性ある未公開ロケ地

公式情報としては明かされていないものの、ドラマ中盤以降のエピソードに登場する風景には、埼玉県秩父や所沢周辺の自然が映し出されているとされ、ファンの間で“未公開ロケ地”として話題になっています。

たとえば第4話以降、厳と雫が別々にキャンプをしていた場面で映った川沿いの岩場や、杉林に囲まれた山道などは、秩父エリアでの撮影と見られています。実際に筆者が風景と照合してみた限りでも、荒川の上流域や、橋立川キャンプ場付近の地形と非常に近しい印象を受けました。

また、所沢については、厳が一度“街に戻る”場面で背景に映っていた建物や看板から推測されています。ローカル駅前の雰囲気や、路地裏の作りがまさに所沢駅周辺に酷似しており、今後DVD特典や番組公式から詳細が発表される可能性もあります。

『ふたりソロキャンプ』の魅力のひとつは、決して“作られた自然”ではなく、“実在する静けさ”を映しているところ。そのため、未公開ロケ地にも現地の空気感がしっかりと写し込まれていて、映像を観るたびに「この場所も探したい」という衝動に駆られます。

ドラマ放送後にはファンによる“聖地検証”も活発に行われており、SNSや掲示板での情報交換も盛ん。そうした動きが、作品と視聴者の間に“発見という参加型の楽しさ”を生んでいるのだと思います。地名が明かされていなくても、「自分で見つけた」感覚があるのって、すごく贅沢ですよね。

ふたりソロキャンプ聖地巡礼マップ完全版

ルート例と巡礼モデルコース紹介

「あのシーンの場所に、自分も立ってみたい」──ドラマ『ふたりソロキャンプ』を観たファンなら、一度はそう思ったはず。この記事では、実際のキャンプ場ロケ地を効率よくめぐるための聖地巡礼ルートとモデルコースを提案します。

まずおすすめしたいのが埼玉エリア集中ルート。東京近郊からアクセスが良く、日帰りも可能な飯能・嵐山・秩父のロケ地を一筆書きでめぐるコースです。

• ① 飯能・白岩渓流園キャンプ場（第1話）：朝に到着し、作中と同じように清流の音とともにゆったり設営。
• ② 嵐山・月川荘キャンプ場（第2話）：昼頃に移動して直火サイトを体験。
• ③ 秩父・橋立川キャンプ場（未公開ロケ地候補）：最後に夕暮れ時の川辺で一日を締めくくる。

このルートは、車なら1日で周遊可能。公共交通機関を利用する場合でも、飯能駅からのバスを活用すれば順にめぐることができます。ただしバス本数が少ないため、計画的なスケジューリングが重要です。

次に、週末一泊型のロマンティック海ルート。こちらはドラマ第5話の館山ロケ地「お台場海浜庭園キャンプ場」を目的地にした南房総コースです。都内から車で約2時間半、電車とバスでも日帰り可能ですが、やはり1泊して夕焼け×焚火を堪能したい。

このコースは、ドラマの“海キャンプ回”の余韻をしっかり味わえるので、カップルや友人同士での巡礼にもぴったり。作中と同じ時間帯に訪れれば、風景と感情がリンクするような不思議な体験ができます。

季節・気候・交通手段などリアル巡礼のコツ

聖地巡礼の醍醐味は、ただ“場所に行く”だけではありません。「作品の空気」を肌で感じるためには、行く季節や時間帯、交通手段までこだわると体験の深度がグッと増します。

たとえば、白岩渓流園キャンプ場は春〜初夏がベスト。水量が多く、緑が深まる頃には、ドラマで描かれたあの透明感ある風景が蘇ります。夏場は水遊びも可能ですが、キャンプ初心者にはやや混雑が気になるかもしれません。

一方、館山の海浜庭園キャンプ場は秋〜初冬にかけてが最高。湿度が下がり、空気が澄んで、夕日のグラデーションがより深く映えます。焚火の温かさが沁みる季節でもあり、“ふたりソロ”の空気感をしっかり体感できます。

交通手段に関しては、やはりマイカー移動が最強。特に秩父や嵐山などの山間部はバスの本数が限られるため、車ならフレキシブルに動けます。とはいえ、公共交通で訪れることで、より主人公たちの“移動のリアリティ”を感じるという楽しみ方もあります。

筆者のおすすめは「作品の時間帯に合わせて訪れる」こと。例えば青根キャンプ場では夕方の焚火時間、月川荘では朝もやの中でコーヒーを淹れる瞬間など、時間軸を合わせるとドラマのワンシーンに入り込んだような錯覚が得られます。

そして何より大切なのは、無理なく・安全に・自然をリスペクトして楽しむこと。『ふたりソロキャンプ』が教えてくれたのは、「ひとりでも、ふたりでも、自然のなかで“気持ちよく過ごす”ことの大切さ」でした。聖地巡礼も、その精神を忘れずに。

原作と比較して深まる“キャンプの心”

原作でしか読めないセリフの裏にある想い

ドラマ『ふたりソロキャンプ』は原作漫画の世界観を丁寧に再現していますが、実は原作でしか読めないセリフや描写が多く存在し、それが物語の厚みをさらに増してくれます。特に、主人公・樹乃倉厳の“内なる独白”は、漫画だからこそ表現できる心理描写が満載。

たとえば、第1巻の冒頭で描かれる厳の「ひとりが好きだ」というセリフの裏には、彼の過去や人間関係への距離感が滲んでいます。このセリフ、ドラマ版では無言のカットや表情で“翻訳”されていますが、原作ではもっと赤裸々で、心の襞まで読み取れるような余白のあるモノローグになっているんです。

筆者として特に印象に残っているのは、雫との関係が少しずつ深まっていく中で、厳が“言葉に出せない感情”に戸惑う描写。原作ではその曖昧な気持ちが何コマにもわたって描かれ、火の揺らぎや視線の交差だけでは語りきれない“間（ま）”が丁寧に掘り下げられています。

また、巻末のおまけページや作者コメントでは、厳が使っているキャンプギアの詳細や、雫の料理スキルの秘密など、ドラマでは触れられなかった裏設定が披露されていて、これがファン心をくすぐる。ドラマだけ観て満足していた自分を、ちょっと悔しく思う瞬間がありました。

言い換えれば、ドラマは“体験”、原作は“内面への旅”。どちらが欠けても『ふたりソロキャンプ』の魅力は語り尽くせません。だからこそ、あのセリフの真意が気になる人には、原作を手に取ってほしい。そこには、まだ誰にも語られていない心の声が、そっと待っています。

ドラマ化で変化した構図と表現の味わい方

『ふたりソロキャンプ』のドラマ化において興味深いのは、漫画と映像というメディアの違いが、キャラクターの見え方や物語の“温度”に微妙な変化を与えている点です。特に構図やテンポ、セリフの“間合い”において、それは顕著に表れています。

原作では、1ページの中に複数の感情を織り交ぜながら展開される“時間の密度”が魅力。コマの使い方や間の取り方で、読者はじっくりとキャラの心情を読み解くことができます。一方、ドラマは音楽・映像・演技を通じて、それらを一瞬の表情や風景の変化で描き出す。

たとえば第3話での青根キャンプ場の焚火シーン。原作では4ページをかけて描かれていた「火を見つめる厳」の時間が、ドラマではわずか数十秒。でもその数秒に、風の音、炎の揺れ、森の匂いまでもが感じられる。これって、逆にドラマならではの“感情の濃縮”だと思うんです。

また、漫画では自由に動き回れるカメラワークが、ドラマでは物理的な制限を受けることで、逆に“人の距離感”がよりリアルに感じられたのもポイント。雫が少し離れたところから厳を見つめる視線の演出や、声をかけようとしてやめる表情のアップなど、映像だからこその余韻がありました。

つまり、原作は“内面に沈む旅”、ドラマは“風景と空気の体験”。同じ物語を違う形で味わうことで、キャンプの時間の重なり方が、より深く、立体的に見えてくるんです。両方を行き来することで初めて、この物語の豊かさが解けていく──そんな実感があります。

ふたりソロキャンプ巡礼のススメ｜まとめと余韻

実際に行った感想・SNS映えの撮り方も紹介

聖地巡礼って、ただ「行った」だけじゃ終わらないんですよね。現地の空気を吸って、焚火の匂いに包まれて、あのシーンと同じ景色を目にした瞬間、頭の中にBGMとセリフがよみがえる──それが『ふたりソロキャンプ』巡礼の醍醐味。

実際に筆者も、白岩渓流園キャンプ場とお台場海浜庭園キャンプ場を訪れました。まず驚くのは、「本当にそのまま！」という景観。カメラワークの角度まで再現しようと思えばできるくらい、ドラマがリアルな場所で丁寧に撮影されていたことがわかります。

そして、現地でのSNS映えを狙うなら──自然光の取り入れ方がカギ。特に、夕暮れ時の逆光シルエットや、焚火の炎を背景にしたローアングルショットがおすすめ。雫が小鍋を火にかけていたシーンのように、料理と火の組み合わせも人気です。

写真だけでなく、短い動画を撮るのもアリ。焚火の音、川のせせらぎ、木々の揺れ──音が加わることで、まさに“ドラマの中に入った”ような没入感が生まれます。実際、X（旧Twitter）やInstagramでは、#ふたりソロキャンプ聖地巡礼 で検索すると、リアルな体験談が次々と見つかります。

なにより感動したのは、現地で他の巡礼者と出会ったときの“小さな連帯感”。言葉を交わさなくても、同じ場面を思い出してるんだろうな…っていう、あの空気。ソロキャンだけど、どこかでつながってる──まさに作品のテーマを体現するような体験でした。

“ひとりとふたり”を感じに行くという体験

ドラマ『ふたりソロキャンプ』の魅力は、キャンプそのものの魅力はもちろん、「孤独」と「共鳴」が静かに交差する人間ドラマにあります。その空気感を、視聴者が自らの足で追体験できるのが、聖地巡礼のもう一つの楽しみ。

ふたりで行っても、ひとりで行っても、この作品の世界観はあなたの中に静かに染み込んできます。木々のざわめきに耳を傾け、焚火をじっと見つめる時間。雫や厳のように、隣に誰かがいても、言葉を交わさなくてもいい。大切なのは、その「場」を共に過ごすこと。

“ソロ”であることがネガティブではなく、むしろ前向きで自由な選択として描かれる本作。それはまさに、今の時代に求められる「自分の時間を大切にする」というメッセージにも通じています。だからこそ、キャンプ場でのひとときは、ただのアウトドア体験ではなく、自分自身との対話の時間でもある。

そして巡礼を通じて、誰かと「同じ作品を好きでいる」という共感が生まれる。その瞬間、“ひとり”が“ふたり”に変わるんです。これはSNSの投稿でも、現地での小さな会話でも、ほんの短い目線の交換でも──。

最終的に筆者が伝えたいのは、『ふたりソロキャンプ』の聖地巡礼は、ただのロケ地めぐりではないということ。それは、ひとりの静けさと、誰かとつながるあたたかさを同時に感じる旅。きっとあなた自身の中にも、あの焚火のように、そっと灯る火が残るはずです。