ふたりソロキャンプ ドラマひどい？つまらない？低評価の理由とファンの意見

キャンプ×ラブコメという新たな試みに挑んだ『ふたりソロキャンプ』ドラマ版──放送開始直後から「ひどい」「つまらない」といった声が一部SNSで噴出しました。

原作ファンとしては「なぜこんな評価に？」と気にならずにはいられない。けれど、その裏には、原作再現の難しさ、キャスティングの妙、そして“映像化ゆえの壁”が潜んでいたのです。

本記事では、ドラマ『ふたりソロキャンプ』が「低評価」とされる理由を徹底解剖し、実際のファンの声をもとに“本当にひどいのか？”を掘り下げていきます。

読み終えた時、あなたはこの作品の“評価”を、自分の目で確かめたくなるはず。

ドラマ『ふたりソロキャンプ』とは？原作とキャストの基本情報

キャンプ×恋愛の異色漫画が原作！ドラマ化の背景とは

『ふたりソロキャンプ』は、出端祐大氏による同名漫画が原作。2018年から2023年まで「イブニング」（講談社）で連載され、全20巻で完結した人気作です。主人公・樹乃倉厳が“ソロキャンプの美学”を貫く中で、年の離れた女子大生・草野雫と出会い、次第にふたりの距離が縮まっていく様を描く、ちょっとビターで、だけど優しい関係性が魅力の物語。

この作品がドラマ化されたのは、アウトドアブームと“癒し系作品”への需要が高まった背景が大きいと考えられます。しかもこの作品、単なるキャンプ紹介ではなく、主人公ふたりの“心の変化”を丁寧に描いているのが特徴。だからこそ、実写化するには「ただ原作通りに演じる」だけでは届かない、“空気感”の再現が求められる難しい題材でもありました。

私自身、原作を読んだときに感じたのは、「セリフの少なさの中にある感情の濃さ」。キャンプの静けさとともにじんわり沁みてくる人間模様が、この作品の本質だと思っています。だからこそ、“映像でどこまであの静けさを描けるのか”には、大きな期待と一抹の不安があった。

結果として、実写ドラマ版『ふたりソロキャンプ』は2025年1月9日から2月27日まで全8話で放送。放送局はTOKYO MXほか。一部地域では視聴環境が限られていたこともあり、「知らなかった」「見逃した」という声も少なくなかったようです。

VOD配信は現在U-NEXT、Leminoなどで対応。SNSでも「今から見始めた」という声が上がっており、“遅れて話題になる”タイプのドラマかもしれません。

この作品、深夜ドラマ枠としては珍しく、キャンプギアや調理シーンのこだわりも高く、アウトドア好きな視聴者層にも刺さる内容。ジャンルとしては“ラブコメ×スローライフ×キャンプ”という少しニッチな掛け算ですが、だからこそ他に代替が利かない世界観を持っているのが特徴です。

森崎ウィン×本田望結のW主演、キャスティングの狙い

実写ドラマ『ふたりソロキャンプ』で主人公・樹乃倉厳を演じるのは、ミャンマー出身の俳優・森崎ウィンさん。実直で無口な“キャンプおじさん”を演じるには若干の年齢差があるものの、原作ファンからは「静けさと真面目さが厳っぽい」と一定の評価を得ています。

一方、草野雫を演じるのは、子役時代から活躍してきた本田望結さん。原作では明るくて、ちょっとおっちょこちょいだけど芯の強い女の子という印象でしたが、実写版では「少し大げさすぎる」「演技が空回りしている」といった否定的な意見もSNSに多く見られました。

実際、放送直後のレビューサイトやX（旧Twitter）などでは、彼女の演技に対する評価が作品全体の評価を左右していた感もあります。逆に言えば、それほど“雫”というキャラクターの在り方がこの物語の肝になっているということ。

筆者としては、森崎ウィンさんの“言葉数の少ない表現”が非常に印象的でした。特に焚き火を見つめるシーンでの無言の演技には、厳というキャラクターの“心の静寂”がにじみ出ていたように感じます。

キャスティングにおける年齢差（作中設定では14歳差）も、一部視聴者からは「リアルすぎて気持ち悪い」といった声も見受けられましたが、これは“原作の年齢設定を忠実に再現した”結果でもある。好みは分かれる部分ですが、制作陣の意図がしっかり反映されていた点は評価したいところです。

総じて言えるのは、このドラマはキャストの演技力や魅力だけでなく、「原作の空気感」をどれだけ再現できるかに挑戦した作品だということ。視聴者が感じた違和感や共感も、そこに由来しているのではないか──そんな風に私は感じました。

なぜ「ひどい」「つまらない」と言われるのか？

本田望結の演技に賛否？ネットで目立った否定的評価

ドラマ『ふたりソロキャンプ』が「ひどい」「つまらない」と言われる理由の一つに、ヒロイン・草野雫を演じた本田望結さんの演技への反応が挙げられます。放送直後からSNSやレビューサイトには「演技が浮いている」「大げさすぎて感情移入できない」といった否定的な声が目立ちました。

とくに、原作ファンからは「雫の元気さや図々しさはあるけれど、ここまで幼稚な印象じゃない」という意見もあり、キャラクターのイメージとの乖離が反発を招いたようです。実際、Filmarksなどの感想欄では「本田望結が悪いわけではないが、演出がミスってる」という冷静な意見も見られ、演技そのものより演出の方向性に疑問を呈する声も多かった印象です。

私自身も第1話を見たとき、「あれ、雫ってこんなテンションだったっけ？」という小さな違和感を覚えました。原作の雫にはもっと“強がりな中に繊細さ”があった気がして、実写版の“元気すぎる雫”にはやや一面的な印象を受けたのです。

もちろん、映像作品では視覚的な分かりやすさを優先する場面もあるので、演出としての意図もあるでしょう。ただ、“原作再現”という視点では、本田望結さんの演技が評価の分かれ目となっているのは否定できません。

ひとつ言えるのは、「雫」というキャラクターの見せ方次第でこのドラマ全体の“味わい”が大きく変わるということ。彼女の“存在の質感”が、この作品の空気を決定づけている──だからこそ、視聴者はそこに敏感に反応してしまうのだと思います。

テンポの悪さとストーリーの単調さが視聴者を遠ざける

ドラマ『ふたりソロキャンプ』が「つまらない」と感じられてしまうもうひとつの理由は、ストーリー展開のテンポ感にあります。原作のスローライフ感をそのままドラマに落とし込んだことで、1話ごとの起伏が少なく、物語としての“動き”に欠ける印象を受けた人が多かったようです。

たしかに、静かなキャンプを舞台にした作品は、「何もしない時間」こそが贅沢であり、心地よさでもある。その本質を大切にしようとした制作側の誠実さは伝わってきます。しかし、それがそのままテレビドラマに置き換わると、視聴者の集中力を持続させるには難しさもある。

私自身も第2話あたりで「これは夜中に観ると眠くなるタイプかも…」と感じてしまったのが本音です。でもそれって、決して悪いことじゃないとも思うんです。逆に言えば、このドラマは“エンタメとしての起伏”ではなく、“空間と感情の余白”を味わう作品だから。

ただし、VODでの一気見には向かないテンポ感であることも事実。1話完結風の構成でありながら、キャラクターの関係性に大きな進展がないことから、視聴者の中には「結局なにも起きない」と感じて離脱してしまった人も少なくないようです。

“ストーリーが動かない”＝“つまらない”という評価に直結してしまうのは、現代のドラマ消費のスピード感と相性が悪かったとも言えます。ゆっくり流れる時間を楽しめるかどうか、それがこのドラマを好きになれるか否かの分かれ道かもしれません。

年齢差カップル設定に違和感？“気持ち悪い”の声も

もう一つ、視聴者の反応で目立ったのが“年齢差”に対する嫌悪感です。主人公・厳は34歳の社会人男性、ヒロイン・雫は20歳の女子大生。14歳差の設定が忠実に再現されているのですが、この年齢差に「リアルすぎて気持ち悪い」「見ていてモヤモヤする」といった声がSNSを中心に挙がっていました。

とくに、「女子大生が年上男性にぐいぐい距離を詰めていく」という構図に対して、「こういうのって今の時代に合ってない」「雫の行動が強引すぎる」といった違和感が噴出。視聴者の価値観が多様化している現代において、この設定自体が炎上の火種となってしまった面も否めません。

原作を読んでいた私としては、ふたりの関係性は“恋愛”というより“友情や信頼”が先にあって、それが少しずつ変わっていく過程が醍醐味だと思っていました。でも、ドラマでは1話から雫のアプローチが前のめりだったため、「唐突感」が出てしまったようにも感じました。

この“前のめりな雫”に対して視聴者が拒否反応を示したのは、演出のバランスが少し崩れてしまった結果とも取れます。本来ならじっくり描かれるべきふたりの“距離感”が、短い尺の中で急速に縮まりすぎたことで、「なんか違う」と思われてしまったのかもしれません。

もちろん、こうした関係性が“刺さる”層も確実に存在します。ただしその好みがはっきり分かれるからこそ、“ドラマの作り方次第で命運が分かれる”という、現代の恋愛ドラマが抱える難しさを感じずにはいられませんでした。

それでも光るポイントは？ファンが語るドラマの魅力

キャンプ描写のリアリティとロケーションの美しさ

ドラマ『ふたりソロキャンプ』には、たとえ「ひどい」「つまらない」との声が上がったとしても、それを上回る“光る部分”が確かに存在します。そのひとつが、圧倒的なロケーションの美しさと、キャンプ描写のリアリティ。

このドラマでは、実際のキャンプ場でのロケが多く取り入れられており、風の音や焚き火のパチパチとした音、森のざわめきといった“生の音”が視聴体験を豊かにしています。映像自体も、光のコントラストや自然の彩度を美しく切り取っていて、まるで自分が現地にいるような錯覚を覚えるほど。

私が特に心を奪われたのは、夕焼けのシーン。焚き火を囲む厳と雫の背景に、静かに沈んでいく陽が映るあの一瞬には、物語のセリフ以上の“感情の揺らぎ”が込められていたように感じました。

さらに注目したいのは、ギアの使い方や設営、焚き火、調理といったキャンプの一連の流れが非常に丁寧に描かれている点です。たとえば焚き火の起こし方やナイフの使い方、ダッチオーブンでの調理など、キャンプ初心者にも参考になるリアルな所作が随所に見られます。

実際にアウトドア好きの視聴者からは「これ、キャンプハウツーとしても優秀」「映像が綺麗で観ていると癒される」といった声も多く寄せられており、エンタメというより“ヒーリング映像作品”としての評価が高まっています。

森崎ウィン演じる“厳”の魅力と調理シーンのこだわり

もうひとつ、『ふたりソロキャンプ』の魅力として欠かせないのが、森崎ウィンさん演じる主人公・樹乃倉厳の“静かな魅力”。とくに、ソロキャンパーとしての矜持を持ち、孤独を好みながらも、少しずつ他人を受け入れていくその変化には、じんわり心を打たれます。

森崎さんはこの役を演じるにあたり、実際にキャンプを体験し、キャンプギアや調理器具の扱い方まで習得して臨んだとのこと。その成果は画面越しにも明らかで、無言の中にこもる“厳”のこだわりや心の動きが、仕草や所作にしっかりと現れていました。

特筆すべきは、調理シーンのリアリティと美味しそうな画作り。炭火で焼いたステーキ、ダッチオーブンで煮込んだシチュー、スキレットで作る目玉焼き──そのどれもが、本当に香りが立ち上ってきそうなほどリアルに描かれており、「深夜に観ると飯テロすぎる」という声も多数。

私は特に、厳が1人でコーヒーを淹れるシーンが印象に残っています。豆を挽いて、ゆっくり湯を注ぎ、湯気の立ち上るその瞬間に映る表情──そこには彼の“静かな喜び”が溶け込んでいて、言葉を使わない豊かさを感じさせてくれました。

このドラマの“美味しそうな時間”を観るだけでも、十分に価値があると感じます。調理に向き合う厳の姿勢は、視聴者に“暮らしの中の贅沢”を教えてくれる。派手な展開がないからこそ、こうした日常の豊かさがじんわり沁みる──それが本作の真骨頂なのかもしれません。

原作ファン視点でのドラマ評価──“なにがズレたのか”

キャラの解釈違い？雫の“図々しさ”が原作とかけ離れていた

ドラマ『ふたりソロキャンプ』が「ひどい」「つまらない」と評価される一因には、原作ファンとの“解釈のズレ”が大きく関係しています。特に顕著なのが、草野雫というキャラクターの描かれ方です。

原作の雫は、明るく前向きで少し強引なところもありつつ、厳に対して一定の距離感とリスペクトを持って接している印象がありました。それは“恋愛”というより、どこか師弟関係にも似たような、独特の信頼感がベースにある関係性だったと思います。

しかし、ドラマ版ではそのバランスが崩れ、「雫の押しが強すぎる」「空気を読まない図々しいキャラになっている」といった批判が見受けられました。実際、X（旧Twitter）や感想サイトでは「こんな雫じゃない」「ただのうるさい女の子になってる」といった声が少なくありません。

私も視聴しながら、「この雫、ちょっと一方的すぎるな……」と感じる瞬間がありました。原作では、厳の“ひとりの時間”を尊重しながら少しずつ近づいていくのに対し、ドラマでは序盤からガンガン踏み込んでくる描写が多く、その“空気の読み方”の違いが気になってしまったんです。

もちろん、限られた尺の中でふたりの関係性を描くにはテンポアップが必要なのは理解できます。ただ、それでも“雫がなぜ厳に惹かれ、どう変わっていくのか”という丁寧な内面描写がもう少し欲しかった。そう思わせるくらい、雫のキャラ改変は原作ファンにとっては大きな違和感だったのではないでしょうか。

原作の“空気感”を映像化でどう崩したのか

原作『ふたりソロキャンプ』の魅力は、物語の進行よりも“空気”にあります。言葉の少なさ、静かな自然音、焚き火の炎が揺れる音──そうした“余白”が、キャラの心情や関係性を浮かび上がらせる装置として機能していました。

ところが、ドラマ版ではその“余白”がことごとく埋められていたように感じます。たとえば、BGMの多用や雫のセリフ量、テンポの速さなど、テレビドラマとしての“分かりやすさ”を優先するあまり、本来の静謐な雰囲気が損なわれていたように思えるのです。

私はとくに、焚き火を囲むシーンで感じました。原作では、あの場面こそがふたりの無言の対話、つまり“目線”や“距離感”によって関係性がじんわりと進展する重要な場面です。しかしドラマでは、そうした“間”がほとんど無く、代わりにセリフや表情で説明されてしまっている。

これは「映像作品としては正しい演出」なのかもしれません。でも、原作ファンとしては、あの“何も起きない時間”こそが、この作品の真髄であり、魅力だったんです。その“静けさの演出”が失われたことで、「これはもう違う作品になってしまった」と感じた人も多かったのではないでしょうか。

加えて、原作ではキャンプを通して“自己回復”していく厳の変化が丁寧に描かれていますが、ドラマ版ではその心理描写が弱く、感情の揺れも表層的になってしまっていた印象があります。静かな時間がもたらす“変化の実感”──それが、映像の中にもう少し宿っていてほしかった。

結局のところ、『ふたりソロキャンプ』の実写化は、“漫画というメディア特有の余白美”をどう扱うかという点で難しさを抱えていたのでしょう。だからこそ、原作を読んでいた人ほど、その“静けさとのズレ”に敏感になってしまった。それは決して、悪意ではなく、愛ゆえの違和感だったのだと思います。

結局『ふたりソロキャンプ』は観るべきか？

原作未読・キャンプ好き視点でのおすすめポイント

「『ふたりソロキャンプ』って、結局つまらないの？」「ひどいって言われてるけど、自分にも合わない？」──そんな風に悩んでいる方へ、ひとつハッキリと言えるのは、「このドラマ、刺さる人には深く刺さる」タイプの作品だということ。

とくに原作未読の方で、キャンプ好きな方、自然を感じる映像作品を好む方には、かなりおすすめできる内容になっています。物語そのものよりも、“自然の中で誰かと静かに過ごす時間の贅沢さ”がテーマになっていて、観ているだけで心が緩む──そんな時間が味わえます。

実際、SNSやレビューサイトでも「キャンプギアの描写がリアルで参考になる」「ロケ地が素晴らしい」「飯テロがすごい！」といった声が目立ち、エンタメとしてよりも“癒し”や“雰囲気”を求める層に強く支持されている印象です。

私自身も、第3話あたりから「これはストーリーの起伏を追うドラマじゃなくて、感情の波を味わう映像詩なんだな」と認識を変えた瞬間から、ずいぶん見方が変わった気がします。言葉が少ない分、森崎ウィン演じる厳の表情や行動が語りかけてくるような、そんな感覚すらありました。

派手な展開や感情の爆発を求める人には向いていないかもしれません。でも、静けさの中にある豊かさを味わいたい人には、ぜひ一度観てほしい。『ふたりソロキャンプ』は、そんな“心の余白を取り戻す”ためのドラマだと思います。

原作読了済みのあなたへ──再発見の余地はあるか

そして、すでに原作『ふたりソロキャンプ』を全巻読破しているあなたにとって、このドラマ版は“再発見”の場になるかもしれません。もちろん、「あの描写が違う」「雫が雫じゃない」といった違和感は拭えないかもしれません。でも、その違和感の先にこそ、新しい解釈や視点が生まれる可能性もある。

たとえば、原作ではページをめくることで生まれていた“間”が、ドラマでは実際の風景や音で表現されることで、あらたな“感情の奥行き”として響いてくる場面があります。焚き火を囲む無言の時間、料理をする所作、目を合わせる一瞬──そのすべてに、森崎ウィン演じる厳の“静かな熱”が宿っているのを感じました。

雫のキャラクターに関しても、「これはこれでありかも」と思える瞬間があるかもしれません。原作では描かれなかった一面、もしくは可能性を映像が引き出している──そう考えると、このドラマは“原作の補完”ではなく“異なる視点からの再構築”なのだと受け止めることもできるのです。

もちろん、それでも「これは違う」と思う場面もあるでしょう。でも、その違和感ごと楽しむことができたとき、原作の面白さや深さがより立体的に見えてくる──それが、メディアミックスの醍醐味ではないでしょうか。

個人的には、このドラマを観たあとで改めて原作を読み返すと、厳と雫の関係性に“別の深さ”が見えてくるように感じました。それは、原作だけでは気づけなかった表情や温度が、映像を通して浮かび上がってくるからかもしれません。

だからこそ、すでに原作を愛している人にこそ、このドラマを「観たうえで否定する」ことに意味があると思うんです。そのうえで「やっぱり原作の方が良い」と再確認してもいいし、「思ったより悪くなかった」と受け入れるのもいい。大切なのは、自分の目と心で確かめること。

ふたりソロキャンプ ドラマまとめ

原作の魅力を知る“きっかけ”としてのドラマ化

ドラマ『ふたりソロキャンプ』は、「ひどい」「つまらない」といった評価が一部で話題になった一方で、確かな魅力も秘めている作品です。そしてその一番大きな役割は、原作の世界観やキャラクターの深さを“映像という扉”から知るきっかけになるという点にあると感じます。

たしかに、原作ファンとしては「ここは違う」「このキャラじゃない」と思う場面もあります。雫の描写やストーリー構成、演出テンポに違和感を覚えた方も多いでしょう。ですが、それをきっかけに「本当の雫ってどんな子だったんだっけ？」と改めて原作を手に取ってもらえたら、それはもう十分に価値のあるメディアミックスだったと思います。

私自身、ドラマ版を観たあとにもう一度原作を読み返してみて、「あ、やっぱりこの“間”が大事なんだ」と再発見できた瞬間がありました。あの空白のコマ、あの焚き火の音すら聞こえてくるようなページの静けさ──それが原作『ふたりソロキャンプ』の最大の魅力だったんですよね。

そして、森崎ウィンさん演じる厳の表現力は、そんな原作の空気を掴もうとする真摯さがにじみ出ていた。調理シーンのひとつひとつに彼の“キャンパーとしての誇り”が宿っていて、そこだけはたしかに原作と同じ“魂”があったと思えました。

ドラマ版を観たからこそ、改めて「やっぱり原作を読みたくなる」。それって、実写化としてはとても健全な結果なのではないでしょうか。アニメや漫画だけでは拾いきれない感情の断片に、映像だからこそ気づけた──そんな視聴体験もまた、悪くない。

“映像と原作の違い”を楽しむ余裕が持てたとき、『ふたりソロキャンプ』という作品はもっと深く、自分の中に根を張っていくのかもしれません。

今こそ原作を読み返す“最高のタイミング”かもしれない

もしあなたが今、ドラマを観終えたあとに「モヤモヤする」「これは違う」と感じているなら──それは、原作を読み返す最高のタイミングかもしれません。

なぜなら、この“違和感”こそが、作品の本質を問い直すきっかけになるからです。原作では巻末コメントや小ネタページに、雫や厳の関係性を象徴する“何気ないけれど重要なやりとり”が数多く描かれていて、アニメやドラマでは絶対に拾いきれない“心の襞”が詰まっている。

たとえば、雫が焚き火の炎に「綺麗だね」とつぶやくシーン──漫画ではそのセリフの前後にある“間”や、厳の視線の移ろいが、とても深い意味を持っているのですが、映像化ではそれが少し平坦に見えてしまう場面もありました。

この“違い”に気づけたということ自体が、あなたが原作の本質をきちんと掴んでいた証拠です。そして、今ならその違いを楽しむことができる。再びページをめくるとき、あのときは見えなかった感情が、きっと違う形で立ち上がってくるはずです。

“違うからこそ、原作に戻る意味がある”──それが、メディアミックスの面白さ。ドラマ『ふたりソロキャンプ』を観終えた今だからこそ、あの静かな森へ、焚き火のそばへ、もう一度戻ってみませんか？