男女の友情は成立する?（いや、しないっ!!）作画崩壊は本当だった？SNSで話題騒然のシーンと制作現場の苦境に迫る

――「えっ、こんな顔だったっけ？」。第3話の放送後、SNSに流れた声は、驚きと戸惑い、そしてちょっとした怒りだった。

アニメ『男女の友情は成立する？（いや、しないっ!!）』──通称『だんじょる』。軽妙なテンポと恋愛ギリギリの“友情未満”を描くこの作品で、まさかの“作画崩壊”が叫ばれるとは。

この記事では、SNSで話題となった崩壊シーンの検証から、制作スタジオの背景、アニメ制作に潜む構造的な問題までを掘り下げる。

「面白いのに、なぜこうなった？」そんなモヤモヤに、筆者なりの視点で答えてみたい。

『だんじょる』とは？作品概要と放送時の評価

ラブコメとしての魅力と“友情未満”の絶妙な関係性

『男女の友情は成立する？（いや、しないっ!!）』、通称『だんじょる』。このタイトルからして挑発的だが、その中身はさらに一筋縄ではいかない“友情”と“恋愛”のあいだを、絶妙なバランスで描き出すラブコメ作品だ。原作はファンタジア文庫の人気ライトノベル。アニメ版は2024年冬アニメとして放送され、初回から注目を集めていた。

物語の中心にいるのは、恋愛否定派の主人公・相田くんと、天真爛漫なヒロイン・永瀬さん。彼らの関係は「男女の友情」が成立するか否かという問いをめぐり、何度も揺れ動く。言葉を交わすたびに距離が近づきそうで近づかない──そんなもどかしさが“甘酸っぱくも切ないテンポ”を生み出していた。

一見すると軽快な学園ラブコメ。だけどその裏には、「男女の境界線ってどこ？」という、案外深くてデリケートな問いがある。だからこそ、この作品は単なるラブコメでは終わらない。観る者の心にじわっと残る“ひっかかり”を持っているのだ。

そして筆者も、初回放送を観た時にふと思った。「あれ、この作品、意外と“やる”ぞ」と。恋愛と友情のはざまで葛藤する若者の心理描写、そのセリフ運びの妙が、ぐいっと心を掴んできた。

アニメとしての演出も、セリフに頼らず目線や間で関係性を見せるカットが多く、「あ、このスタッフたち、キャラの心をちゃんと見てるな」と感じた初印象だった。恋心が芽生えそうになる瞬間、だけどそれを否定する一言。この反復のリズムが、ラブコメとして非常に上質だった。

だからこそ、“作画崩壊”と聞いたとき、正直胸がざわついた。あの丁寧な描写が、画面で崩れていくなんて……。物語とキャラの魅力が光っていただけに、クオリティの揺らぎがどんな影響を与えたのかは、作品を語る上で避けて通れないポイントになる。

初回〜第2話の好調な作画と視聴者の反応

第1話・第2話放送時の反応は、かなりポジティブなものだった。SNSでは「キャラが可愛い！」「背景が綺麗で雰囲気ある」「ラブコメだけどセリフが刺さる」といった声が多く、作画面でも安定していた印象が強い。とくにヒロイン・永瀬さんの微妙な表情の機微、笑顔と困惑の間を行き来する演技などが、視聴者の心を掴んでいた。

それは、キャラを“絵”としてではなく“感情の集合体”として描いているから。瞳の揺れや、わずかな目線のズレ。そこに宿るニュアンスが、「このキャラ、今どう感じてるのか」が自然と伝わってきて、視聴者としても“読み取る楽しさ”があった。

筆者も第2話まで観た段階では、「あれ、今期のダークホースか？」と密かに期待を寄せていた。いわゆる“見せ方”にこだわる作り手の気配を感じたし、テンポやカット割りも若干凝っていて、ただの量産型ラブコメとは違う空気があった。

もちろん、制作体制には無理があると感じさせる部分もなかった。アニメファンとして“作画監視モード”で観ていると、時に小さな違和感に敏感になりすぎることもあるけれど、『だんじょる』の序盤にはそういう不安がなかった。

だからこそ、次の回であの“事件”が起こるとは、誰も予想していなかったはず。あの第3話の異変が、どれだけの衝撃だったか──次章で、しっかり掘り下げていこう。

“作画崩壊”とSNSで騒がれた第3話の実態

視聴者が気づいた「顔が違う」瞬間たち

2024年冬アニメ『だんじょる』──その第3話放送直後、X（旧Twitter）を中心に「作画やばくない？」「顔が違う…」といった投稿が相次いだ。とくに目立ったのは、永瀬さんのアップ時に“目の位置がズレている”カットや、遠景でキャラが崩れた引き絵の数々。「一瞬、誰かわからなかった」という声すらあった。

特定のユーザーによる指摘では、「所々作画も崩壊しかけてるし、引き絵など特にヤバい…」と鋭く問題提起がなされ、SNS上ではそのスクリーンショットが拡散。中には「典型的な作画崩壊いっぽ手前の絵」と皮肉めいたコメントも見受けられた。

とはいえ、完全な“崩壊”ではないという意見も少なくなかった。表情の崩れは瞬間的であり、全体のリズムを壊すほどではないと見る声もあった。しかし、アニメファンの間では「一度気になると、そのズレが物語に集中できなくなる」との声が根強い。とくに『だんじょる』のように“関係性の微細な変化”を描く作品では、1枚の絵の説得力がそのままキャラの感情に直結する。

筆者としても、第3話の“あの瞬間”には引っかかった。目が合うはずのカットで目線がズレていたり、セリフの重みが薄れて見えたり──まるで「感情の受け渡し」が空回りしてしまっているような印象を受けた。これは単なる作画の乱れではなく、キャラと視聴者の“心の橋”が、わずかに崩れてしまった瞬間だったと思う。

もちろん、すべてのカットが崩壊していたわけではない。むしろ、丁寧に描かれている場面もあった。でも、視聴者の記憶には“悪目立ちする数秒”のインパクトが強く残る。とくにネットでは、その1枚が作品全体の評価を左右するほどの拡散力を持ってしまう──今の時代、それが避けられない現実でもある。

具体的にどこが崩れていたのか？比較と検証

作画の乱れが目立ったのは、主に次の3つのポイントだ。①キャラの目鼻立ちの位置ズレ、②引き絵での体型の破綻、③背景との馴染みの悪さである。第3話の特定シーンでは、永瀬さんの顔の輪郭が左に寄って見えたり、遠景で相田くんの手足が不自然に伸びていたりと、プロの目から見れば“急場凌ぎの応急作画”が透けて見える箇所があった。

こうした違和感は、視聴者の“違和感センサー”を直撃する。人は無意識に“人間らしさ”を絵から読み取ろうとするから、目や口のバランスが崩れると、本能的に「何かが変だ」と感じる。それがたとえ一瞬でも、「この作品、大丈夫かな…？」という不安の種になってしまう。

また、物語の要所である“感情の発露”のカットに作画の乱れがあると、その瞬間が持つ重みが剥がれてしまう。第3話で特に指摘されたのは、永瀬さんが相田くんに対してほんの少し“特別な気持ち”を見せかける場面。ここの作画崩れが、「せっかくの尊さを台無しにしてしまった」との声に繋がっていた。

筆者はこう考える。アニメの作画とは、単なる“見た目の良さ”ではなく、キャラの感情や物語の流れを支える“構造の要”なのだと。とくに『だんじょる』のように、日常の微細な心の動きを描く作品では、その重要度は段違いに高い。

そして何より痛感するのは、“一度崩れると、信頼の回復には時間がかかる”という現実だ。だからこそ、この第3話の問題は、今後の展開にとっても“回復のハードル”となっていく。物語を愛する者としては、ここでつまずいてほしくなかった、というのが率直な気持ちだ。

SNSの反応：ファンの声と怒り、そして擁護

「崩壊」派の声──画面から伝わる違和感

『だんじょる』第3話放送後、SNS上では「作画崩壊」というワードが瞬く間に広まり、多くの視聴者が画像付きでその“異変”を指摘した。「顔が違いすぎて、集中できなかった」「せっかくの恋愛シーンが台無し…」という言葉が並び、ラブコメの繊細なムードに水を差された怒りがあふれていた。

なかでも強く共感を呼んだのは、「この作品、感情の“間”が良かっただけに、作画の崩れが余計に目立つ」という声だ。第3話で描かれたのは、男女の距離感が一歩近づく重要な回。だからこそ、その一瞬の視線や表情の揺れに、視聴者は全神経を集中させていた。そこに“ズレた顔”や“不自然な体型”が挟まると、感情の流れがぷつりと切れてしまう。

そして何よりSNSでは、画像一枚で“作品の印象”が形成されてしまうという構造がある。たとえば、「だんじょる 作画 崩壊」で検索すれば、拡大された顔の歪みやバランスの取れていない引き絵がズラリと出てくる。これが初見の人には「このアニメ、大丈夫？」という不信感を植えつけてしまう。

筆者自身も、Xで“問題の絵”が流れてきた瞬間、思わずタップしてしまった。それは、作品への期待が大きかったから。第1話・第2話の丁寧な描写が記憶に残っていたからこそ、その“ギャップ”が裏切りのように感じられたのだ。

たしかに、作画とは“手間”と“人”の積み重ね。その崩れに怒るというより、「ああ、現場が崩れているのかも」という不安がにじみ出た反応だったように思う。そしてそれは、ファンだからこその、痛みを含んだ怒りでもあった。

「許容」派の見解──それでもキャラが好きだから

しかし一方で、「作画なんて多少崩れても気にしない」という擁護派の声もあった。とくに永瀬さんのキャラクターに心を奪われていたファンたちは、「表情が多少歪んでも、永瀬さんの魅力は変わらない」と語っていたのが印象的だった。

実際、「キャラのセリフと関係性が良ければ、作画は二の次」という見方もある。これはラブコメというジャンルの特性でもある。絵のクオリティ以上に、台詞回しや声優の芝居、関係性の妙が“物語の中心”にあるジャンルだからこそ、多少の作画の乱れを受け流せる受容力が生まれる。

また、アニメ業界の“事情”に理解を示すファンもいた。「これだけの作品数を同時に回してるんだから、どこかで無理が出るのは仕方ない」「むしろ、崩れつつも放送を間に合わせてくれたことに感謝したい」という言葉に、筆者もハッとさせられた。

作画の乱れに対して“怒り”ではなく“労い”を返す視点。その背後には、現代のアニメファンの成熟した“共感力”が見える。SNSはときに批判を加速させる場所でもあるが、同時に「それでも応援したい」という静かな情熱も確かに存在している。

筆者としても、その視点には学ばされるものがある。たしかに、全てが完璧ではなかった。けれど、“崩れてしまった”事実と、“それでも観たい”という気持ちは、同時に存在していい。だって、アニメは“人間が作っている”のだから。

なぜ作画が乱れた？制作現場の構造的課題

予算・スケジュール・外注管理の三重苦

『だんじょる』の第3話における作画崩れを、“一過性のミス”として片付けるのは簡単だ。でも筆者は、そこにもう一歩踏み込んで考えたい。なぜ、あのタイミングで“崩れ”が生じたのか。その背景には、アニメ制作という現場が抱える構造的な課題──つまり「予算・スケジュール・外注体制」の三重苦があるように思う。

まず予算。アニメは想像以上に“お金がかかる”メディアだ。1クール12話でも億単位の費用が動くことも珍しくない。にもかかわらず、企画の数は爆発的に増え、各スタジオに割ける資金は相対的に減少。結果として、一話あたりにかけられるリソースは“薄く広く”にならざるを得ない。

次にスケジュール。2020年代に入って以降、アニメ業界は「常に何かが納期ギリギリ」という過密体制にある。『だんじょる』のように原作が人気ライトノベルの作品でも、準備期間の短さは他作品と変わらない。下手をすれば、数週間前にギリギリで原画が上がってくる──なんてことも普通にある。

そして外注。国内スタジオのリソース不足を補うため、多くの制作工程が海外スタジオに委託される。もちろん優秀な海外スタッフも多いが、言語や文化、タッチの違いによって「絵が揃わない」ことはしばしばある。特に感情のニュアンスが求められる回で、その差異が顕著になってしまうのだ。

筆者は第3話を観ていて、「あ、たぶんここ、数カットだけ別ラインで修正が追いつかなかったな」と思える箇所があった。顔のパーツだけが違和感を放つカットや、背景と人物の馴染みが極端に悪いシーンは、制作体制のズレがにじみ出ていた。

これは決して、スタッフ個人の問題ではない。むしろ、全体のスケジューリングや予算配分といった“仕組み”に起因するものだ。つまり、『だんじょる』の第3話は、現代アニメが直面する構造問題を“可視化”してしまった回だったのだ。

「だんじょる」だけじゃない、業界全体に潜むリスク

実のところ、『だんじょる』のようなケースはここ数年で特段珍しいものではない。例えば『妃教育から逃げたい私』や『異世界ワンターンキル姉さん』といった作品も、一部話数で作画の乱れが指摘され、SNSで拡散された。つまり、この問題は“1作品だけの異常”ではなく、“業界全体の継続的なリスク”になっているのだ。

アニメは「年間200本以上」作られている。週に5〜10本の新作が常に稼働しているような状態では、どんな優秀なスタジオでも手が回らない。中には、1つのアニメの数話だけを他スタジオが受け持ち、さらにその一部を外注に出す“分業の分業”構造もある。

この構造は、一見効率的に思えるかもしれない。だが、キャラクターの感情や空気感を“1本の線”として保つことが難しくなる。『だんじょる』のように、人間関係の“微細な温度差”を演出するラブコメでは、それが致命傷になり得る。

また、近年は「AI作画」や「デジタルアニメーターの増加」による効率化も叫ばれているが、“作画の温度”が求められる作品では、まだまだ人の手と目が必要だ。筆者はむしろ、こういう時代だからこそ「手描きの感情表現」の価値が見直されるべきだと感じている。

『だんじょる』第3話の作画乱れは、そんな“今のアニメ業界の息苦しさ”を、ある意味で忠実に映してしまった鏡だった。これは叩くべき“失敗”ではなく、見過ごすことのできない“サイン”なのだと思う。

それでも『だんじょる』を観る理由

キャラの感情と声優の演技が紡ぐ“物語の強度”

『だんじょる』第3話の作画問題は、たしかに視聴者の心に波紋を残した。でも、それでも「観続けたい」と思わせるだけの力が、この作品にはある。それを支えているのが、キャラクターたちの生きた感情と、声優陣の圧倒的な演技力だ。

とくに永瀬さんを演じる声優──その演技はまさに“空気の震え”を表現していた。照れ隠しの笑い、無意識のため息、期待と不安が交錯する一言。どれもが、“画面の外”にある心の揺らぎを、声で繊細に表現してくれている。

筆者が特に印象的だったのは、第3話で永瀬さんが“ほんの少しだけ自分の気持ちを預ける”瞬間。たとえ作画に乱れがあっても、その声音から「この子、今ちょっと踏み出したんだな」と伝わってくるのだ。つまり、視覚が揺らいでも、“物語の芯”は揺るがなかった。

この“芯の強さ”がある限り、『だんじょる』は“まだ大丈夫”だと思う。キャラが魅力的で、関係性の機微に力があり、視聴者を物語に引き込む温度がしっかりある──だからこそ、多少のガタつきは“応援したくなる不器用さ”にすら見えてくる。

アニメというのは、映像芸術でありながら、時に“声”が物語を引っ張るメディアでもある。その力を信じられる限り、『だんじょる』という作品にはまだまだ可能性がある。筆者はそう感じている。

作画を超える「物語の引力」に気づいたとき

物語には、ときに“理屈じゃない引力”がある。たとえ線が歪んでも、背景が止まっていても、それでも「続きを観たい」と思わせる感情の引き金。それこそが、作品の“本当の魅力”なのだと思う。

『だんじょる』が描いているのは、“男女の友情”という、極めて日常的で、それでいて永遠のテーマ。その描き方が繊細で、どこか痛くて、だからこそリアルに感じられる。画面の中で揺れるまなざし、交差しそうで交差しない言葉たち。そのすべてが、観る者の“記憶の恋”をそっと引き出すような力を持っている。

第3話の作画崩れを経て、筆者は逆にこの作品に対する理解が深まった。完璧なアニメではない。でも、不完全だからこそ、キャラクターの想いが“届こうとしている”のが見えてくるのだ。そこには、どこか人間的な“愛しさ”がある。

だからこそ、筆者はこう思う。「作画は、確かに崩れた。でも、物語の温度は崩れていない」と。崩れてしまったからこそ、その後の再起にこそ期待したくなる。そういう風に、“物語を見守る視聴者”でありたいのだ。

アニメは、一話ごとの完成度で評価されがちだ。でも、長いスパンで見れば、むしろ“どれだけ立ち直れるか”が、その作品の“真価”になる。『だんじょる』は、きっとまだ、その可能性を手放していない。

アニメ『だんじょる』作画問題まとめ

アニメ『だんじょる』──その魅力は、ただの学園ラブコメに収まらない“関係性の揺らぎ”を丁寧に描くことにあった。視線、セリフの間、手の仕草──そうした細部が生み出す空気が、観る者の心をとらえて離さなかった。だからこそ、第3話で浮上した「作画崩壊」の問題は、作品にとっても視聴者にとっても、決して小さくはない出来事だった。

実際にSNSでは、顔のズレや引き絵のバランス崩れといった“見た目の異変”が数多く指摘され、その一部は怒りや落胆という形で拡散された。けれど、その背後には、アニメ制作現場の構造的な問題──予算不足、人手不足、外注体制の歪みといった“業界の息苦しさ”が潜んでいた。

この崩れは、『だんじょる』だけの問題ではない。むしろ、今のアニメ業界において“いつ誰が被害者になるかわからない”という、ある種の共通課題なのだ。そこに対して、視聴者としてどう向き合うべきか──その答えの一つが、“作品の芯を見る”という姿勢だと筆者は思う。

『だんじょる』の魅力は、キャラクターの温度、関係性のもどかしさ、そして声優の演技による“感情の震え”にある。作画が乱れたとしても、それらの“物語の芯”が失われていない限り、この作品はちゃんと、観る価値がある。

もちろん、映像作品としてのクオリティは大切だ。けれどそのクオリティに対して、“一回の崩れで全否定する”のではなく、“それでも観る理由を探す”という視点が、これからのアニメファンに求められる成熟なのかもしれない。

『だんじょる』第3話の出来事は、痛みを伴うものだった。でもそれは、作品を愛するがゆえの痛みだった。そしてその痛みが、物語の“熱”を測るリトマス試験紙になる──そんな気がしてならない。