彼方からの君に捧ぐとは?クトゥルフ神話TRPGの概要と参加前に知りたいこと

現代日本の夜景の彼方に未知の星空が広がり、向かい合う四人の若者のシルエットが浮かぶ幻想的なSFホラーの風景 未分類

『彼方からの君に捧ぐ』は、現代日本を起点に4人の探索者が未知の物語へ踏み込む、SF色の強いクトゥルフ神話TRPGシナリオです。

通称は「かなきみ」。2020年7月26日に公開され、プレイ時間は7〜9時間、固定4人制で進行します。

ただ、公式紹介文を読むと、単なる未知の世界への冒険とは思えなくなります。自分によく似た顔で泣き、怒り、笑う存在。そして、旧支配者への生贄という不穏な宣告。

人間と、人間ではないもの。その境界に何があるのか。まだ物語の始まりしか知らない段階でも、僕はこの設定に妙な寂しさを覚えます。

この記事では、作品の基本情報、参加条件、推奨技能、ハンドアウト、オンラインセッションの準備、公開からの経緯まで、ネタバレを避けながら整理します。

『彼方からの君に捧ぐ』とは?クトゥルフ神話TRPGの基本情報

『彼方からの君に捧ぐ』は、BOOTHのショップ「Sapphire Geek」で頒布されている『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作シナリオです。

公式の舞台設定は「現代日本⇒?」。現代日本から始まりますが、その先に何が待っているのかは、参加前の段階では明かされていません。

シナリオの人数・時間・舞台は?

公式販売ページに記載された基本情報は次のとおりです。

項目 内容
作品名 彼方からの君に捧ぐ
通称 かなきみ
ジャンル クトゥルフ神話TRPG(CoC)
舞台 現代日本⇒?
参加人数 固定4人
プレイ時間 7〜9時間
シナリオ形式 クローズド
雰囲気 SF
探索者 新規推奨・継続可
初公開 2020年7月26日
頒布元 Sapphire Geek
シナリオPDF 89ページ
SPLL登録番号 E110097
掲載価格 1,000円

ここで注目したいのは、舞台と雰囲気の組み合わせです。

クトゥルフ神話TRPGという名前から、古い洋館や不可解な事件を調査するホラーを想像する人もいるでしょう。

しかし、本作が公式に掲げているのはSFという方向性です。

しかも、舞台は現代日本で終わらず、その先が疑問符になっています。

この表記だけで、日常として知っていた世界そのものが揺らぐ物語を想像してしまいます。

なお、クローズドシナリオとは、一般に探索できる場所や状況が一定の範囲に制限される形式を指します。具体的な移動先や展開については、ここでは触れません。

旧支配者と生贄は何を意味する?

公式紹介文には、旧支配者たちの存在と、探索者がそのための生贄であるという設定が示されています。

さらに印象的なのが、その存在が探索者と似た顔で感情を表すという描写です。

これは、単に恐ろしい怪物が登場するという紹介とは少し違います。

旧支配者は、クトゥルフ神話において人間の理解や常識を超えた存在として描かれることがあります。

ところが本作の紹介文では、そうした存在と人間の間に、表情という共通点が置かれている。

怖いはずなのに、どこか人間らしい。

僕はこの対比こそ、作品に触れる前から気になる部分だと感じています。

もちろん、似た顔の意味や生贄という設定が物語の中でどう扱われるのかは、公式概要だけでは判断できません。

ただ、未知の存在への恐怖に加えて、「自分と相手は何が違うのか」という疑問を抱かせる導入になっていることは確かです。

シナリオには何が収録されている?

BOOTHの商品説明によると、収録内容は89ページのシナリオPDFと、オンラインセッション用のデータです。

オンライン用データには、NPCの立ち絵、スチル、テキストデータが含まれています。

さらに、特典として2曲のテーマソングが案内されています。

  • 「Far side of the world」/キリト
  • 「果てまで」/さけこ。

TRPGは物語を文章だけで受け取るのではなく、会話や音楽、画面演出を通して体験する遊びです。

そのため、立ち絵や楽曲が用意されている点は、オンラインで卓を運営するKPにとっても確認しておきたい特徴でしょう。

ただし、音源の提供形態や利用条件、現在の収録内容については、最新の商品説明を確認する必要があります。

※画像はAIによるイメージ

『彼方からの君に捧ぐ』のハンドアウトと推奨技能は?

本作の大きな特徴は、4人の探索者に年齢と性別の条件が設定されていることです。

自由にキャラクターを作れるTRPGの中では、参加前にハンドアウトの条件を確認する必要がある作品といえます。

PC1〜PC4の設定は?

公式に公開されている探索者の条件は次のとおりです。

ハンドアウト 探索者の条件
PC1 20代前半の男性
PC2 20代前半の女性
PC3 10代後半の男性
PC4 10代後半の女性

さらに、PC1とPC2のどちらか一人には、6歳年下の妹がいるという条件があります。

この妹の設定は、参加前に決めておくべき重要な項目です。

PC1とPC2の両方に妹がいるわけではなく、どちらか一人に割り当てられます。

また、PC1とPC2は20代前半、PC3とPC4は10代後半という構成です。

僕が気になるのは、この年齢の近さと、妹という家族関係が同時に置かれていることです。

4人は同じ時代を生きる若者ですが、人生の段階は完全には一致しません。

そして、年下の妹を持つ人物が一人いる。

この設定が物語の中でどのような意味を持つのかは明かせませんが、参加者が演じる人物の背景を考えるきっかけになります。

秘匿ハンドアウトはある?

参考として掲載された2021年6月のTRPGオンセン募集では、KPの翔猫(toneko)さんが、参加希望者からの質問に対して秘匿ハンドアウトはないと回答しています。

その卓では、推奨技能を参考にしながらキャラクターを作成できると案内されていました。

ただし、これは当該セッションでの説明です。別の卓でも完全に同じ運用になるとは限りません。

ハンドアウトの選択、妹の設定、キャラクター作成の自由度は、参加する卓のKPと事前に相談するのが確実でしょう。

特に妹の名前や人物像をどこまで自分で設定してよいかは、確認しておきたいところです。

実際に2021年の募集では、参加者が妹の名前を決めてよいか質問し、KPが自由に設定して構わないと回答していました。

こういうやり取りを見ると、TRPGの物語はセッション開始前から少しずつ形を持ち始めているのだと感じます。

推奨技能は何を取得すればよい?

公式が挙げる推奨技能は、以下の7つです。

  • 目星
  • 図書館
  • 聞き耳
  • 拳銃
  • 日本刀
  • 回避
  • 応急手当

準推奨技能には、医学、人類学、歴史、博物学、その他の知識系技能が挙げられています。

目星・図書館・聞き耳は、一般的に調査や情報収集で活用される技能です。

一方、拳銃、日本刀、回避といった戦闘関連の技能も推奨されている点には注意が必要でしょう。

もっとも、推奨技能に含まれているからといって、すべての探索者が同じように戦闘技能を取得する必要があるとは限りません。

固定4人のシナリオだからこそ、それぞれが何を得意とする人物なのか、KPと相談しながら調整する方法が考えられます。

また、応急手当と知識系技能が同時に挙がっていることから、調査と危機への対応の両方を意識した準備が必要になる可能性があります。

ただし、技能が実際にどの場面で必要になるのかは、ネタバレを避けるためにも参加前に調べすぎないほうがよいでしょう。

※画像はAIによるイメージ

『彼方からの君に捧ぐ』に参加する前に知っておきたいことは?

参加前に確認したいのは、プレイ時間だけではありません。

キャラクター作成、使用するルール、オンライン環境、そしてネタバレへの対策まで含めて準備すると、当日の行き違いを減らせます。

プレイ時間7〜9時間は一日で終わる?

公式の想定プレイ時間は7〜9時間ですが、必ず一日で終了するとは限りません。

実際にTRPGオンセンでは、2021年6月22日20時開始のセッションが、2日間に分ける予定で募集されていました。

この募集はGMが翔猫(toneko)さん、参加人数が4人のボイスセッションでした。

初日の予定時間は約5時間で、2日目の日程は初日終了後に調整するという案内です。

つまり、公開されている7〜9時間はセッション計画の目安であり、実際の所要時間は卓によって変わります。

ロールプレイに時間をかける参加者が集まれば、会話や相談の時間も長くなるでしょう。

僕は本作のように人物設定が明確なシナリオほど、単純な進行速度だけを優先しない準備が大切だと思っています。

探索者がどんな言葉を選ぶか。その時間もTRPGの物語の一部だからです。

オンラインセッションでは何を使う?

2021年の参考募集では、Discordとココフォリアが使用されていました。

Discordは音声通話、ココフォリアは画面上での探索やダイスロールなどを行うために使われることが多いツールです。

その募集では、スマートフォンからの参加と見学も可能とされていました。

ただし、これも特定の卓の条件です。すべての「かなきみ」卓でスマートフォン参加や見学が認められるわけではありません。

参加前には、使用ツール、通話方法、キャラクターシート提出期限、端末の対応状況を確認しておきましょう。

ルールブックは必要?初心者でも参加できる?

参考募集では『クトゥルフ神話TRPG』第6版が使用され、ルールブック未所持でも応募可能とされていました。

また、2010・2015のサプリメントが使用可能で、2015の特徴表は2個までという条件も設けられていました。

ただし、これらは卓独自のレギュレーションです。

同じシナリオでもKPによって、採用するルールや初心者への対応は異なります。

実際に2021年6月16日には、初心者の参加希望者がキャラクターシート作成の相談をしていました。

これに対してKPは、開始前に時間を設けて作成方法を説明する対応を案内しています。

初心者が参加できるかどうかは、シナリオ名だけでなく、KPの募集条件やサポート体制で判断するのが適切でしょう。

また、この募集では技能値の上限、ダイスの振り直し回数、アーティファクトや呪文の持ち込み制限なども設定されていました。

こうしたハウスルールはシナリオの公式条件とは区別して確認してください。

公開日と販売ページの変更にはどんな経緯がある?

本作は2020年7月26日に公開され、その後複数回のアップデートを経ています。

2020年8月29日にVer1.1、同年9月30日にVer1.2、11月26日にVer1.3へ更新されました。

2021年10月30日には頒布ページへ権利表記が追加されています。

2022年12月4日にはSPLLを取得し、NPCステータスの誤記が修正されました。

そして2023年2月22日18時11分、SPLL対応版として販売ページが新しく作成されています。

SPLLはTRPGライツに関わる仕組みです。本作には登録番号E110097が表示されています。

現在の商品説明では、シナリオPDFなどを含むダウンロード商品が1,000円で案内されています。

旧販売ページは、SPLL登録前に購入した人へ更新データを提供するためのページとして扱われています。新規購入者向けの通常の無料配布ページではありません。

価格や配布内容は変更される可能性があるため、最新情報はBOOTHの公式商品ページで確認してください。

※画像はAIによるイメージ

『彼方からの君に捧ぐ』はなぜ心に残る物語になり得るのか?

ここからは、公開されている設定と周辺の創作活動を手がかりに、僕自身の視点を少し掘り下げたいと思います。

シナリオの核心や結末に関わるネタバレは扱いません。

「生贄」という設定は、単なる恐怖なのか?

僕が最初に引っかかったのは、公式紹介文の中にある生贄という言葉です。

一般的に、生贄は本人の意思とは関係なく、何かのために差し出される存在を連想させます。

そこには、自分の人生を自分で選べないという恐怖があります。

でも、本作ではその直前に、自分と似た顔で泣き、怒り、笑う存在が描かれているのです。

なぜ、恐ろしい存在を紹介するために、人間と似た表情を強調するのでしょうか。

ここが、どうしても気になる。

もちろん、この表現が何を象徴しているかは、実際のシナリオを知らなければ断定できません。

ただ、僕には「恐怖の対象を完全な他者として切り離せない」という感覚を呼び起こす文章に思えます。

理解できないものを怖がることはできます。

けれど、その相手が自分と同じような顔で悲しんでいたらどうでしょう。

恐怖だけでは説明できない感情が生まれるかもしれません。

僕は、この曖昧な境界が作品の導入に与えている印象を大切にしたいです。

固定4人と妹の設定が気になる理由

もう一つ注目したいのは、4人の探索者と妹の存在です。

公式が年齢と性別だけでなく、特定のPCに妹がいることまで指定している点は、キャラクター作成上の大きな特徴です。

その設定がどんな出来事につながるかは、ここでは分かりません。

それでも、家族関係が最初から用意されていることには意味があると感じます。

TRPGの探索者は、技能値だけで表現される存在ではありません。

どこで育ち、何を大切にし、誰と関わってきたのか。

その背景があるから、プレイヤーは予想外の出来事に直面したとき、その人物らしい選択を考えられます。

例えば、妹を持つ探索者を作るなら、普段どんな距離感で接しているのかを考えることもできるでしょう。

面倒見がよいのか、少し不器用なのか、いつも軽口を交わしているのか。

こうした設定は、それ自体がシナリオの展開を示すものではありません。

それでも、探索者にとって大切な日常を具体的にする作業にはなります。

僕はそこが面白いと思うのです。

壮大なSFの物語に参加する前に、まずは一人の人間としての生活を考える。

その小さな準備が、セッションで交わす何気ない会話に自然な重みを与えてくれるのではないでしょうか。

二次創作から見える、NPCへの強い関心

本作に関連する創作活動として、pixivにはカリーヌさんによる二次創作小説『彼方の君へ』が公開されています。

公開日は2022年8月15日で、掲載情報では12,886文字、読了目安25分の作品です。

作者の説明によると、探索者ではないキャラクターの一人称から始まる物語で、NPCに対する強い思いから執筆されたものだとされています。

また、シナリオ本編や関連するFANBOXの情報を含むネタバレ作品として注意書きがあります。

2022年10月3日には200ブックマークへの感謝が、2025年10月26日には300ブックマークへの感謝が追記されています。

これだけでシナリオ全体の評価や参加者の満足度を判断することはできません。

しかし、登場人物に強く心を寄せ、自分の言葉でもう一つの物語を書こうとした人がいることは分かります。

しかも、注目したいのは、探索者ではない人物を語り手にしている点です。

TRPGではプレイヤーが演じるPCに視線が集まりやすいものです。

それでも、NPCの内側にあるかもしれない感情を想像し、物語として残そうとする。

僕はそこに、作品を通過した後も登場人物について考え続ける楽しさが表れていると感じました。

なお、この二次創作は未通過者向けの事前資料ではありません。初めてプレイする予定がある人は、内容を確認する時期に注意してください。

続編の存在と、参加前に物語を知りすぎないこと

カリーヌさんの小説には、2025年10月26日の追記で「かなきみ」の続編がリリースされたという言及があります。

そこではBOOTHの商品番号6603718が紹介されています。

ただし、この記述だけでは続編の具体的な内容や、本編との関係、参加条件までは確認できません。

初めて『彼方からの君に捧ぐ』に参加する人は、まず本編の公開情報と卓の案内を優先するのがよいでしょう。

本作のように物語の未知性が大きな魅力になり得るTRPGでは、事前に何を知るかが体験に影響します。

動画やリプレイ、感想、二次創作に触れると、思いがけず重要な展開を知ってしまう場合があります。

そのため、参加する予定があるなら、未通過者向けの概要とネタバレを含む情報を分けて扱いたいところです。

僕自身、物語について深く知りたいという気持ちはよく分かります。

気になる登場人物がいれば、その人物について書かれた文章を探したくなるものです。

ただ、TRPGには、自分の選択によって初めて生まれる感情があります。

他人がたどり着いた答えを先に知るのと、自分たちの卓で答えを探すのとでは、体験は同じになりません。

『彼方からの君に捧ぐ』というタイトルも、どこか意味深です。

「君」とは誰なのか。

何を捧げるのか。

そして、「彼方」とは距離なのか、世界なのか、それとも別の何かなのか。

これらは僕の読みから生まれる疑問であり、シナリオの真相を説明するものではありません。

だからこそ、最初から答えを決めつけたくないのです。

4人の探索者が、それぞれの言葉で物語を進めていく。

その結果として、誰が何を感じ、どのような意味をタイトルに見いだすのか。

そこには、シナリオの文章だけでなく、その卓に集まった人たちの時間も重なるのでしょう。

僕はTRPGのそういうところが好きです。

同じ物語を始めても、そこで過ごした時間は誰かのものとまったく同じにはならない。

その一度きりの感覚を、できるだけ大切にしたいですね。

まとめ:かなきみはどんな人に向いている?

『彼方からの君に捧ぐ』は、現代日本を出発点とする、固定4人・7〜9時間想定のSF系クトゥルフ神話TRPGシナリオです。

クローズド形式で進行し、探索や知識系の技能に加えて、戦闘関連の技能も推奨されています。

参加前には、PC1〜PC4の年齢・性別条件、妹の設定、使用ルール、開催日程を確認する必要があります。

特に、SF的な未知の世界に興味がある人や、設定のある探索者を演じたい人には、参加を検討する材料がある作品でしょう。

一方、キャラクターの性別や年齢を完全に自由に決めたい人、短時間で完結するシナリオを探している人は、条件をよく確認したほうがよさそうです。

そして、物語の秘密を自分の卓で知りたい人は、ネタバレを含む動画や二次創作に触れる順番にも気を配ってください。

僕が最後に残しておきたいのは、公式紹介文にある、人間と似た表情を持つ存在の印象です。

同じように泣き、怒り、笑うのなら、その存在はどこまで他人なのでしょう。

その疑問が物語の中でどんな形になるのかは、ここでは語れません。

けれど、まだ何も知らない段階で、こんなにも相手の顔が気になってしまう。

もう、それだけで少し胸が苦しいんですよね。


よくある質問

『彼方からの君に捧ぐ』は何人で遊べますか?

公式の参加人数は固定4人で、PC1〜PC4に年齢と性別の条件が設定されています。別途KPが進行を担当するため、通常はプレイヤー4人とKPで卓を構成します。

『彼方からの君に捧ぐ』は初心者でも遊べますか?

公式では新規探索者が推奨されており、過去には初心者やルールブック未所持者を受け入れた募集例もあります。ただし、初心者対応や使用ルールはKPによって異なるため、応募前の確認が必要です。

『彼方からの君に捧ぐ』をプレイする前に動画を見ても大丈夫ですか?

動画やリプレイには、シナリオの重要な展開や結末が含まれる可能性があります。自分で初めてプレイする予定があるなら、公式の公開概要を中心に確認し、ネタバレを含む情報は通過後に楽しむ方法が無難です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました