転生悪女の黒歴史 ヤマトの正義と葛藤を深掘り｜ハイドランジア隊長としてイアナをどう見守ったのか

中二病が生んだ“黒歴史の世界”に転生してしまったイアナ。その彼女を取り巻く人物の中で、とくに気配だけで物語の空気を変えるのが、ハイドランジア隊長・ヤマトという男です。

公式設定は最小限。けれど、その「語られなさ」が逆に想像をかき立て、読者や視聴者のあいだでは“正義と葛藤の象徴”として語られはじめています。私自身、彼の立ち姿を見るたびに、物語の奥底で動いている“もうひとつの正義”がかすかに揺れる瞬間がある、と感じています。

この記事では一次情報を土台にしながら、ファン考察・SNSの熱量、そして筆者としての読みを総動員して、ヤマトの「正義の重み」と「イアナをどう見守る可能性があるのか」を丁寧に深掘りしていきます。とくに注目すべき点は、イアナの黒歴史が形づくる“世界そのものの歪み”が、ヤマトの価値観をどう揺らしていくのかという部分です。

あなたがもし「転黒の世界の裏側」や「ヤマトの沈黙の理由」をもっと知りたいと感じているなら、この考察は必ず届くはずです。

ヤマト・ハイドランジアという男を読み解く｜正義観・立場・沈黙の意味

ハイドランジア隊長としての“秩序の象徴”という役割

ヤマト・ハイドランジアという名前を聞くたび、私はまず“重さ”を思い出します。隊長という立場の重さ、正義を握る者の責任の重さ、そして彼がまとっている沈黙の重さ。キャラクター紹介は簡素で、設定も驚くほどストイックなのに、彼が一歩登場すると画面の空気がピキッと張りつめる。まるで凍てつく冬の朝に吐く白い息のように、その存在が“国家の秩序”そのものを可視化させてしまうのです。

ハイドランジア隊が担うのは王国の治安維持。とくに美少女連続失踪事件のように、王都の不安を揺らす事件では、彼らは“世界の防壁”の役割を負わされます。イアナ・マグノリアが容疑者として浮かび上がった時、世界は彼女を“悪女”として扱い、筋書き通りに疑いの目を向ける。そこに立つヤマトは、黒歴史の物語が作り上げた正義のルールをそのまま背負わされる役割。まるで、物語の外側から「秩序側の意思」を押しつけられているように見える瞬間すらあります。

私は、こうした“役割を背負わされるキャラ”に異様に惹かれるタイプなんですが、ヤマトの場合、その背負い方が異様に美しいんです。言葉を飲み込むような無表情、隊員が震えるほどの威圧感、手加減という概念を置き忘れたような実力。それらすべてが「秩序に徹しようとする男」の姿を示しているのに、どこか無理をしている。無理をしているように見えてしまう。この微かな“ひずみ”こそが、ヤマト考察の醍醐味だと思っています。

本来、物語の中で秩序サイドのキャラは“正しさ”しか持っていないように描かれがちです。ですが『転生悪女の黒歴史』の場合、その秩序はコノハの黒歴史小説が作ったもの。つまり“ゆがんだ正義”。ヤマトはそのゆがみを知らずに運用し続けている可能性がある。こちらから見ると彼は「完璧な秩序の番人」でありながら、同時に「黒歴史の被害者」でもあるという二重構造を抱えているように見えるのです。

そして私は、この二重構造の中で押しつぶされそうな男ほど、物語の核心に近づくと信じています。ヤマトが背負っている沈黙は“欠落”ではなく“保留”。まだ語られていないだけで、語られるべき物語が沈んでいる。だからこそ、彼の立ち姿に私は過剰に反応してしまうし、「早く核心を見せてくれ」と期待してしまう。その期待は読者全員の共通感覚ではないかと思うのです。

語られない過去と沈黙が示す“正義の揺らぎ”

ヤマトを語るとき、どうしても触れずにいられないのが“沈黙”です。公式設定でも、原作でも、アニメでも、彼は必要最低限しか語らない。その沈黙が、ただの“寡黙キャラ”という枠を越えて、作品全体の空気を変質させるほどの密度を持っている。私はここに、作者が仕掛けた「正義の揺らぎの余白」を強く感じています。

沈黙というのは時に、言葉以上の情報を伝えるものです。例えば、イアナが黒歴史によって生まれた“悪女のレッテル”を剥がされないまま疑われ続けているとき、ヤマトはシャノウのように強く詰め寄らない。かといって、イアナを全面的に信じる態度も見せない。この中途半端な距離感が示すのは、“正義の基準を探り続ける男”という像です。強くない正義。揺れながらも守ろうとする正義。私はそこに、妙にリアルな“人間の限界点”を見てしまうのです。

たとえば、SNSの感想を見ていると「ヤマトはイアナを疑っているのか、それとも見守っているのか判断がつかない」という声が非常に多い。この“判断不能”こそが彼の本質です。イアナと同じく、彼も黒歴史のシナリオの中で生きている。だから、彼自身の正義が揺れていく様子を読者は本能的に察知してしまう。言葉が少ないくせに、状況の変化に応じてほんのわずかに表情を動かす。その小さなズレに、私はちょっと気味が悪いほど魅了されています。

さらに言えば、彼の沈黙は“未来を語らないキャラ”としての布石にも思えます。イアナの黒歴史が書き換わるたび、世界の常識も書き換わる。その変化を受け止める立場にいるのは、王族よりもむしろハイドランジア隊長のような現場の人間。だから私は、ヤマトの沈黙に「まだ変わっていける余地」「正義をアップデートする柔らかさ」が隠れている気がしてならないのです。

そして何より、“沈黙しているキャラ”は、物語のどこかで必ず爆ぜます。言葉を選ばずに言えば、私はその瞬間を待っているんです。正義に従うだけの男だった彼が、イアナという“黒歴史の例外”に触れ続けることで、どんな表情を見せるのか。彼の沈黙はまだ終わっていません。むしろ、始まったばかりです。

イアナとハイドランジア隊の衝突構造を整理する｜なぜ彼女は疑われ続けるのか

黒歴史によって作られた“悪女設定”が世界に与えた影響

イアナ・マグノリアが「疑われ続ける理由」を考えるとき、まず避けて通れないのが“黒歴史が世界そのものを形づくってしまった”という残酷すぎる事実です。前世のコノハがノートに全力で書き散らした痛々しい妄想──その一つひとつがこの世界の法、慣習、人間関係の基礎として残ってしまっている。黒歴史というより、もはや呪いです。王国の人々はその“黒歴史の産物”を常識として生きているから、イアナの悪女設定は疑いようもなく既成事実として扱われる。

この構造を理解すると、美少女連続失踪事件でイアナに容疑が向くのは、実は論理的なんですよね。世界側の価値観では、イアナ＝危険人物というラベルが最初から貼られている。警察治安部隊であるハイドランジア隊がイアナを疑うのは、“黒歴史の法体系に従うなら正しい反応”なんです。だからこそ、イアナの必死の弁明が届かない。たとえ彼女が転生後まったく違う人格だとしても、世界は前世の黒歴史を参照して彼女を裁く。私はこの理不尽さが、作品全体の切なさの核だと感じています。

さらに厄介なのは、黒歴史設定の“浸透度”です。単に「悪女の噂がある」程度ではなく、国家の制度や治安組織の行動規範にまで組み込まれてしまっているから、覆すには世界全体を揺るがすような事件か、人間関係の突破口を作るしかない。イアナが必死に自分の行動で“悪女設定の上書き”をしようとしても、それがどれほど強く響くかは未知数です。つまり、彼女は常に“0点からのスタート”ですらなく、“マイナス100点からの再出発”を強いられている。

そして私は、こうした「世界に嫌われた主人公」に妙に共感してしまうタイプです。人間って、一度ついたレッテルがどれほど強固かを痛いほど知っている。過去の言動が誤って記録されて、誰にも更新されないまま残る怖さ。それは私たちの日常生活にも潜んでいる感覚で、だからイアナの境遇はフィクションなのに現実よりリアルなんです。彼女を見ていると、まるで自分の黒歴史が勝手に人格評価として残り続ける地獄を覗き込んでいるようで、胸がチクッと痛む。

イアナとハイドランジア隊の衝突は、この“黒歴史の固定化”が生んだ必然とも言えます。それでも彼女がまっすぐに生きようとするから、この作品はただのギャグ転生モノに留まらない。イアナの姿勢が世界にどう波紋を起こすのか──その最前線にいるのが、ハイドランジア隊という警察的権力なんですね。

治安組織とイアナの価値観のズレが生む誤解と緊張

ハイドランジア隊とイアナの関係を語るうえで外せないのが、“価値観のズレ”です。イアナにとっては、自分が疑われることそのものが「いやいや、私そんな悪女じゃないし…！」という理不尽以外の何物でもない。ところがハイドランジア隊、特に副隊長シャノウから見れば、過去の記録・事件歴・コノハを狙った“原作設定”が事実として積み上がっている。だから彼らは「当然の推理」をしているつもりなんです。ここに、両者の視点の断絶が生まれる。

私はこの断絶を読むたびに、正義とは“視点依存の幻想”なのだと再確認してしまいます。イアナは“現実の自分”を基準に語り、ハイドランジア隊は“世界に刻まれた過去のイアナ”を基準に判断する。双方ともに“正しい”。だからこそ、ズレは深刻で、溝はなかなか埋まらない。こういう世界設計、正直めちゃくちゃ好きなんですよ。キャラ同士の衝突に必然性があり、その必然が読者にとっての“心のおもし”になるから、物語に奥行きが生まれる。

とくにシャノウは、イアナを逮捕した過去まで持つ“原作に存在しない新規キャラ”として描かれているから、世界側の意思を体現する人物でもあります。彼はイアナ個人の感情よりも、秩序・証拠・任務を優先するタイプ。それに対しイアナは“黒歴史の再評価”を求めて生きている。これが衝突しないわけがない。だからシャノウとイアナのやり取りは、いつ見ても“感情と制度の対立”が剥き出しになっていて、読むたび胃がキュッとする瞬間があります。

そして、この衝突の背景には当然ヤマト・ハイドランジアの存在がある。彼は隊長として、ハイドランジア隊の判断を支える役割を担っている。つまり、イアナを疑う空気を止めることも、加速させることもできる立場にいる。ただ、それを彼が意図的にやるのか、沈黙を装って状況を観測しているのか、はたまた葛藤の果てに揺れているのかは、まだ明確に描かれていない。私はここに“描かれざる物語”がある気がしてしょうがない。

結局のところ、イアナが疑われ続けるのは、彼女が悪だからではなく、世界が彼女を悪だと“信じるように作られている”からです。そして、その世界の“正義”を運用するのがハイドランジア隊。両者の衝突は、どちらかが悪いのではなく、世界の設計そのものが生んだ悲劇。そしてその悲劇の真っ只中で、ヤマトがどんな視線をイアナに投げかけるのか──そこにこそ、作品の深層が潜んでいると、私は思っています。

ヤマトはイアナをどう見ているのか｜描写に滲む“観察者”としての立場

なぜ隊長はイアナに強く踏み込まないのか：距離感の意味

ヤマト・ハイドランジアがイアナ・マグノリアに対して“強く踏み込まない”という事実は、作品の中でもかなり異質な挙動です。シャノウのように真正面から疑いに来るキャラがいる一方で、ヤマトは一歩下がった位置に立ち、事象の流れを静かに見極めている。私は最初、この距離感を「単なる性格付け」だと思っていたのですが、改めて全体構造を見返すと、どうにもそれだけではない。

たとえば、美少女連続失踪事件でイアナが容疑者として扱われた際、ヤマトは必要以上に彼女を追い詰めようとしない。職務上、疑いの目を向けることは当然としても、彼は“確定判断”を急がない。これは“悪女設定”が世界の前提に染みついていることを知ったうえで、それでもなお「決めつけ」を避ける判断にも見える。私はこの“保留の姿勢”に、彼の正義の奥に潜む柔らかさを感じてしまうんですね。

ある種、ヤマトは「物語を疑う人」に近い。黒歴史によって固められた“イアナ＝悪女”の構図を、彼だけは盲目的に信じ切っていない気がする。もちろん、作中ではその理由は語られていない。でも、沈黙の裏に“違和感への感性”が潜んでいるように思えてならないのです。柔らかく言えば、「世界のテンプレをうのみにしない隊長」。硬く言えば、「黒歴史による偏向を本能的に察している存在」。このどちらの表現も、ヤマトには妙に似合ってしまいます。

私はこの距離感を見るたび、「ヤマトはイアナに優しいから踏み込まない」のではなく、「まだ核心を掴みきれていないから踏み込めない」のだと思います。信じるにも疑うにも材料が足りない状態で、無理に決めつけない姿勢。それは正義の人間としての誠実さでもあり、同時に彼の不器用さそのものでもある。こうした誠実で不器用な男を前にすると、イアナの混乱と同じくらい、読者の感情もぐらぐら揺れてしまうのです。

だからこそ私は、彼の距離感を「冷たさ」とは捉えていません。むしろ“観察し、判断を留保し、世界の情報を書き換える余地を残している”という知的な姿勢に見える。ヤマトはイアナを避けているわけでも、優遇しているわけでもない。その中間点で揺れている。この揺れこそ、後々大きな意味を帯びてくると私は強く感じています。

シャノウとの対比で見える“ヤマトの独自性”

ヤマトの独自性を語るうえで、避けられない比較対象がシャノウ・クレマチスです。副隊長であるシャノウは、イアナの逮捕歴まで持つ“世界の正義を体現する存在”。彼は証拠・前例・記録を絶対視し、過去のイアナ像をそのまま参照して判断する。つまり、黒歴史設定に最も忠実なキャラです。対してヤマトは、その世界観の鉄則に従いながらも、一歩引いて状況を評価する立場を取る。

この二人を並べると、同じ治安組織の人間とは思えないほど“判断のリズム”が違います。シャノウは鋭く、一直線で、事実を突く剣。ヤマトは静かで、均衡を保ち、揺れを受け止める盾。私はこの対比があまりに美しくて、毎回ちょっとだけ鳥肌が立ちます。シャノウの厳格さがあるからこそ、ヤマトの曖昧さが際立つ。イアナと世界のズレを最も大きく揺らす可能性を持つのは、実はこの“曖昧な隊長”の方なのでは──とさえ思えてくる。

とくに、SNSやブログの感想を読んでいると、「シャノウは世界側」「ヤマトは読者側」という構図を指摘する声が多い。これは本当にその通りで、シャノウは“黒歴史が作ったルール”を体現し、ヤマトは“黒歴史に囚われない視点”を持ちうるキャラとして受け取られている。この読者側の直感が正しいとすれば、ヤマトはイアナの未来を左右する分岐点のような人物なのです。

私は、こうした対比が物語に生む緊張感が大好きです。ヤマトが沈黙するたび、シャノウの正義が光を強める。シャノウがイアナを疑うたび、ヤマトの沈黙に影が落ちる。まるで人物同士が“正義の偏光フィルター”のように機能していて、二人の角度が少し変わるだけで、世界の見え方そのものが変わる。こういう構図を読むと、作者は明らかにヤマトを“揺れる正義の象徴”に据えているとしか思えません。

そして、最も重要なのはこの一点。シャノウがイアナを“疑う理由”を担っているなら、ヤマトはイアナを“見守る理由”を担えるキャラだということ。彼の沈黙、距離、そして判断の保留──その全てが、将来的にイアナの黒歴史を塗り替える方向へ傾く可能性を秘めています。この可能性があるだけで、私は何度でもヤマトの登場シーンを見返したくなる。彼の静かな呼吸ひとつが、物語全体を微かに揺らしているように思えてならないからです。

原作・アニメ・SNSで語られる“ヤマトの魅力”と“怖さ”

ファンが注目するポイントと解釈の広がり

ヤマト・ハイドランジアというキャラクターを語るとき、原作ファンもアニメ視聴者も、そしてSNSのユーザーも、なぜか“語りたくなる”衝動に駆られてしまうようです。私も例外ではありません。むしろ語るたび、その魅力と怖さの輪郭がだんだん濃くなっていく感じがある。情報としては少ないのに、人物としての密度がやたら濃い。これ、作中でもかなり特殊な現象なんですよね。

たとえばアニメ放送後の感想を見ると、「ヤマトは寡黙なのに存在がうるさい」「しゃべらないのに圧がすごい」「何を考えているのか分からないのが逆にクセになる」といった声が多い。これ、私も同感で、ヤマトというキャラは“台詞より間の方が語る”タイプなんです。彼の間の長さが視聴者に「何か裏があるんじゃ…？」と勘ぐらせる。結果、勝手に想像が膨らむ。これが彼のファンを増やす最大のトリガーになっているように思えます。

そして原作勢は、アニメ勢とはまた違う角度でヤマトを見ています。原作における彼は、イアナとシャノウのように直接衝突したり、感情をぶつけたりはしない。そこが逆に“黒歴史に染まりきっていないキャラ”として受け止められているんです。イアナの破天荒さ、シャノウの強すぎる正義感と比べて、ヤマトは世界と一定の距離を保ちつつ、必要なときだけ強烈な存在感を発揮する。この“沈黙のレイヤー”に気づく読者が多く、「彼は絶対に重要な局面でイアナの味方をする」と予感している声が後を絶ちません。

さらに面白いのは、多くのファンが「ヤマトは世界側なのか、イアナ側なのか」を決めきれずにいる点です。これは単純に情報不足というだけではなく、キャラの立ち方がそもそも“どちらにも振れられるように作られている”からだと思っています。観察者として状況を見ているようで、しかし時折、隊長としての威厳が世界の側に傾く。こうしたグラデーションの描き方が、ヤマト考察をやめられなくなる最大の要因です。

私自身、彼を語ろうとするたび、複数の表現の候補が同時に浮かびます。「世界に取り込まれそうな男」「逆に世界を書き換える側に回りそうな男」「正義に忠実なフリをして、実は迷いだらけの男」──どれも成立し得る。だからファンの解釈が無限に広がる。こういうキャラ、物語において圧倒的に強いんです。

結果として、ヤマトには“魅力”と“怖さ”が同居していきます。彼が何を考えているか分からないという怖さ。それでも目が離せないという魅力。沈黙が多いのに、物語のバランスを左右する存在感。ファンが彼を語り続けてしまうのは、この両側面が絶妙なバランスで噛み合っているから。そして、その解釈の余白こそが、SNSの熱量を拡散させているのだと思うのです。

X・ブログ・考察界隈から見える“沈黙の裏にあるもの”

ヤマト・ハイドランジアという人物を最も深掘りしているのは実はX（旧Twitter）や考察ブログ界隈です。彼らの投稿を追っていると、“公式では語られない細部”に異常なほど目を光らせている人が多い。正直、私のようにキャラの言外のニュアンスばかり集めてしまうタイプには最高の資料庫です。

たとえば「ヤマトの沈黙の長さが回によって微妙に違う」「イアナを見るときだけ視線が揺れる」「シャノウと話す時はわずかに声色が固くなる」など、普通なら誰も気づかないような差異を拾っているユーザーがいます。これを読んだ瞬間、私の中で“考察の炎”がボッと燃えあがった。ヤマトの沈黙は、ただの無口ではなく、状況に応じて変化している。つまり“内側に揺れがある”ということ。

さらにブログ界隈では、ヤマトの立場について「イアナだけが黒歴史の被害者ではない。ヤマトもまた、黒歴史によって固定された世界のルールを押しつけられている」と捉える解釈が多く見られます。この視点、本当に鋭い。なぜなら、ヤマトの正義は世界によって定義されたものだからです。本人の意思がどこまで介在しているかは不明ですが、黒歴史設定の延長線上にある秩序を運用している以上、彼もまた“黒歴史の影響下にある登場人物”と見ることができる。

私はこの解釈を読んだとき、思わず息を呑んでしまいました。イアナの苦しみに寄り添うだけでなく、“ヤマトもまた黒歴史に囚われたキャラ”と考えると、一気に物語が人間的に見えてくる。沈黙が重いのは、彼自身が迷っているから。迷っているからこそ言葉を選んでしまう。そして選びきれず、沈黙が続く。このパターンを思うと、ヤマトの沈黙が急に生々しく見えてくるんです。

また、Xには「ヤマトはイアナの変化に気づいているのでは？」という投稿も多い。証拠として挙げられるのは“視線のブレ”や“表情の緩み”といった些細な描写。こういう細かい変化を拾い上げるファンの視力の鋭さには毎度驚かされますが、同時に、作品がそれだけ“読ませる細部”を用意しているということでもあります。

私はファンの読み込みを見ていると、ヤマトがただの“隊長ポジション”ではなく、“黒歴史に揺らぐ王国の未来”に深く関わる人物であることがますます確信に変わっていきます。沈黙の裏にあるのは諦念か、希望か、疑念か──その揺れを、世界のどこよりも早く察知しているのがファンなのかもしれません。

ヤマトとイアナの未来を考察する｜正義が揺れる瞬間をどこに見るか

黒歴史が変化する世界で、彼はどんな選択を迫られるのか

『転生悪女の黒歴史』という作品は、イアナの視点を軸に「黒歴史が作った世界が、当事者の行動によって再編集されていく物語」でもあります。そして、その世界のゆらぎを最も鋭く浴びるポジションにいるのが、ヤマト・ハイドランジアという男。最初に読んだとき、彼の立ち位置は“秩序の守護者”という単純なものに見えました。でも読み返すたび、アニメで動く姿を見るたび、その認識は少しずつ変化していくんです。

イアナの行動が黒歴史の設定そのものを揺らし始めると、当然その影響は治安の基準にも及ぶ──つまり、ハイドランジア隊の価値観そのものが揺さぶられることになる。私はここがヤマトの“正義の転換点”になると考えています。なぜなら、彼の役割は王国の安定を守ること。しかし、その王国の基準そのものが黒歴史に依存していたとなれば、ヤマトは「黒歴史ベースの秩序」と「今、目の前で生きている少女イアナの現実」のどちらを選ぶのかという二択に迫られることになるからです。

たとえば、イアナが“黒歴史の悪女設定”から完全に外れた行動を取り続けた場合、ヤマトはシャノウのように事実より設定を信じる道を選ぶのか、それとも設定のほうが誤りだと見抜く道を選ぶのか。この分岐は、物語全体を左右するほど大きい。ご存知の通り、ヤマトは沈黙のキャラであり、積極的に価値判断を言語化しない。だからこそ、その沈黙が破られる瞬間こそが“世界の書き換え”の号砲になるのではないか──そんな期待が私の中で膨らみ続けています。

ヤマトの正義は、法のための正義なのか、世界のための正義なのか、それとも“人を見る正義”なのか。これを読み解く材料はまだ少ないのですが、私は彼の判断がイアナの未来を決定づけると強く思っています。たとえば、イアナがまた誤解されてしまう展開が来たとき、ヤマトが沈黙を続けるのか、それとも初めて言葉を選んで“彼女を擁護する立場”に踏み出すのか。そんな一瞬の変化だけで、彼は物語の中心に躍り出る可能性を持っている。

黒歴史が変化する世界で、ヤマトがどんな正義を選ぶのか──それは、イアナの生存に関わるだけでなく、“世界に内蔵された黒歴史の呪縛”を解きほぐす鍵にもなり得るのです。私はその瞬間を追いかけたくて、このキャラから目が離せないのだと思います。

イアナを“見守る”という可能性が生まれる条件とは

ヤマトがイアナを“見守る”という可能性は、ファンの間でひそかに語られ続けているテーマです。とはいえ、現時点では公式的な根拠はまだ薄い。だからこそ、ここは考察が一番楽しい領域。私はこの「見守り説」が生まれるには、いくつかの条件が揃う必要があると考えています。

第一の条件は、ヤマトがイアナの“変化の積み重ね”を認識すること。イアナは黒歴史の悪女設定からは考えられないような行動を繰り返しているわけですが、シャノウほど彼女を凝視するタイプではないヤマトが、その変化をどう受け取っているのかはまだ不明です。ただ、アニメや原作での彼のわずかな反応──視線の揺らぎ、判断の保留、沈黙の重み──は、イアナを“ただの悪女”として処理していない証拠にも見える。私はそこに“観察者の視線”を感じています。

第二の条件は、ハイドランジア隊内部の価値観に綻びが生まれること。シャノウを中心に「イアナ＝危険人物」という前提が強く根付いている組織で、ヤマトが違う判断を下すには相応の理由が必要。その理由が“イアナの行動の積み重ね”なのか、“世界側の変容”なのか、それとも“ヤマト自身の正義の再定義”なのかはまだ分からない。けれど、どれかが揺らぎ始めたとき、彼は自然と“防壁”ではなく“観察し支える側”に移る可能性があると考えています。

第三の条件は、“黒歴史の呪縛”を世界の側が自覚し始めること。これは物語の深層に関わる話ですが、黒歴史である以上、それを自覚する瞬間が来れば世界の価値観が連鎖的に変化する可能性がある。そうなると、ヤマトの職務としての正義は、イアナの存在と矛盾しなくなっていく。つまり、彼が彼女を守ることは“正義の逸脱”ではなく“正義の更新”になる。そうなると、イアナを見守る構図は自然発生的に成立するのです。

私は、ヤマトがイアナを見守る未来が描かれるとしたら、それは決して“恋愛フラグ”のような軽いものではなく、世界と正義の綻びが積み重なった先に訪れる自然な結果だと思っています。黒歴史で固められた世界がゆらぎ、そのゆらぎに最初に応答したのがヤマトだった──そんな未来が来たら、私はきっとページを閉じられずに震えてしまうでしょう。

イアナの物語は“自分の黒歴史を自分で書き換える”という革命の物語でもあります。その革命の傍らに立つのが誰なのか。その候補にヤマトが入っている時点で、私はこのキャラに惚れ込まずにはいられないのです。

本記事の執筆にあたっては、公式情報および複数の大手メディアの記事を参照しています。
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