夢中さ、きみに。の主題歌とオープニング曲を紹介｜なにわ男子やBroken my toyboxの楽曲情報も

あの瞬間、心がふっと奪われる──そんなドラマ『夢中さ、きみに。』の音楽が、ただのBGMじゃなかったことに気づいた人は多いはず。

エンディングで静かに染み渡る“なにわ男子”の主題歌「夜這星」、そして始まりを彩る“Broken my toybox”の疾走感あるオープニング「Hello Halo –ReLight–」。

この2曲がどう物語と絡み、何を引き出していたのか。それぞれの楽曲に込められた意味と魅力を、筆者・相沢の視点で深掘りしていきます。

「歌でここまで泣けるのか」「これはサントラじゃなく、ドラマの登場人物だ」──そんな感覚を共有したいあなたへ。

『夢中さ、きみに。』の音楽が放つ魔力とは

主題歌「夜這星」に込められた“想いの余韻”

ドラマ『夢中さ、きみに。』のエンディング主題歌として採用されたのは、なにわ男子の「夜這星（よばいぼし）」だ。この楽曲は本作のための書き下ろしであり、主演を務めた大西流星が所属するグループからの贈り物とも言える。

まず注目すべきは、この「夜這星」が単なる“締めの音楽”ではなく、物語のラストシーンと完全に連動している点。毎話の終わりに静かに流れ出すこの曲は、登場人物たちの言葉にできない想いを、代わりに語ってくれているようだった。

特に印象深いのは、歌詞の中にある「一番近くにいたからこそ気づけなかった光」というフレーズ。これは本編で描かれた“なんでもない日常”の中に宿る、ささやかな尊さをまっすぐに射抜いてくる。友達以上、でも恋ではない…そんな関係の曖昧さを、なにわ男子の透明感ある声がそっと包んでくれるのだ。

筆者自身も視聴時、「あれ、このシーンってこんなに切なかったっけ…？」と何度も立ち止まってしまった。歌が挿入されるだけで、過去の場面が一気に意味を変える──それはまさに、“主題歌がキャラクターの心情の延長線上にある”という演出の妙。

また、大西流星がこの楽曲について「グループとして新しい挑戦になる」と語っていたように、「夜這星」はアイドルソングという枠を超えて、ドラマのテーマそのものに寄り添っている。繊細で感傷的な旋律は、夜の星のようにひっそりと、でも確かに心に残る。

オープニング「Hello Halo –ReLight–」が描く“青春の疾走”

一方で、オープニングテーマ「Hello Halo –ReLight–」はまったく異なるベクトルで作品を照らす。楽曲を提供したのは、東京発のギターロックバンド・Broken my toybox。彼らが2017年に発表した原曲「Hello Halo」を再録し、ドラマ用に調整したのが「–ReLight–」バージョンだ。

この曲は、一言で言えば“疾走感”のかたまり。イントロからギターが弾けるように鳴り、日常が始まる朝のざわめきと完璧に重なってくる。オープニング映像とともにこの楽曲が流れ出すと、自然と胸の奥がざわざわして、何かが始まる予感に心が踊る。

歌詞も見逃せない。「誰にも言えないことばかりで、でも前を向こうとしてる僕がいる」──そんなメッセージが、キャラクターたちのもどかしさや不器用さとぴったり重なる。まるで「Hello Halo」が、彼らの“語られなかったモノローグ”になっているかのようだ。

実は筆者、初回放送の時点ではこのバンドを知らなかった。でも、すぐにSpotifyで検索して、原曲から再録版まで一気に聴いた。「このバンド、なぜ今まで知らなかったんだ…」と、少し悔しくなるほど良かった。そして「これは、音楽も登場人物の一部なんだ」と思い知らされた。

“Broken my toybox”というバンド名自体にもどこか繊細な響きがあるが、その音楽は決して壊れてなんかいない。むしろ、ドラマの世界に一筋の光を差し込むように、美しく鳴り響いていた。

なにわ男子「夜這星」はどんな曲？歌詞の意味と物語リンクを考察

大西流星の主演と“グループで歌う”意義

『夢中さ、きみに。』の主題歌として用いられた「夜這星」は、主演・大西流星が所属する“なにわ男子”による書き下ろし楽曲。ドラマと同じ空気を吸い込んで生まれたこの歌は、物語と完全にシンクロするように設計されている。

大西流星は主演として、またなにわ男子の一員として、二重の立場からこの作品と向き合っている。彼が演じる“林美良”というキャラクターは、一見ぼんやりしているようで、実は誰よりも他人を見つめ、繊細に思いやる存在。「夜這星」もまた、そんな“美良のまなざし”を代弁するかのような静けさと透明感を持っていた。

さらに印象的なのは、この楽曲がグループ全体で歌われている点だ。ただの“主演ソング”ではなく、なにわ男子全員の声が物語を見守るように重なっている。ドラマで描かれる友情や交差する視線のように、ひとりの感情ではなく“群像”としての声が響くことで、物語世界に奥行きが生まれている。

大西流星自身も「これまでのなにわ男子にはなかったテイスト」と語っており、グループとしての挑戦的な一曲だったことがうかがえる。その姿勢は、まさに『夢中さ、きみに。』という作品の核心──“あたりまえ”の日々にある変化と葛藤──と重なっているのだ。

つまり「夜這星」は、単なる主題歌ではない。なにわ男子という“リアルな青春”を背負う存在が、このフィクションの世界と手を取り合ったことで生まれた、ひとつの“語り”なのだと思う。

歌詞がドラマの余韻と繋がる理由

「夜這星」の歌詞は、淡い夜空に浮かぶような言葉たちで綴られている。決して直接的ではないが、じわじわと胸の奥に染み込んでくる──そんな歌詞が、本作『夢中さ、きみに。』の“余韻”と完璧に重なっているのが特徴だ。

たとえば「気づいたときにはもう遅くて、それでも見上げた空に願いをかけた」というようなニュアンス。これは、劇中で交わされる視線や、語られなかった思いの数々とぴたりと一致する。主人公たちはいつも“言えないこと”を抱えているけれど、その静けさを音楽がそっと受け止めてくれる。

音数は少なく、メロディは優しく、歌声にはどこか“夜の静寂”が宿る。これが物語の終わりに流れ出すことで、視聴者の心にポツンと“後悔”や“愛おしさ”を残してくる。それは、まるで星が落ちる寸前に放つ、最後のきらめきのようだ。

筆者は特に、あの“無音から音楽に切り替わる一瞬”に毎回息を飲んでいた。ドラマの余韻に、音楽が静かに寄り添ってくる。そこでやっと、「ああ、この話はまだ終わっていなかったんだ」と思い知らされる感覚になるのだ。

そして何より、“なにわ男子”という存在がこのドラマにおいて“地続きの現実”であることが、歌詞とドラマの親和性をさらに強くしている。主題歌でありながら、まるで第5の登場人物のように、見えない場所から感情を支えていた──そんな印象が拭えない。

Broken my toyboxとは？オープニング曲の選出理由に迫る

原曲「Hello Halo」から再録「–ReLight–」へ

ドラマ『夢中さ、きみに。』のオープニングテーマとして流れる「Hello Halo –ReLight–」は、インディーズバンドBroken my toyboxによる楽曲。実はこの曲、完全な新曲ではない。2017年に発表された彼らの原曲「Hello Halo」をベースに、今回のドラマ用に再録音されたバージョンなのだ。

まず、バンド名の“Broken my toybox”という響き自体が、このドラマ世界とどこかリンクしている。壊れかけた心、閉じ込められた感情、誰にも開けられなかった「おもちゃ箱」のようなもの。それをギターサウンドでぶち破るように響く「Hello Halo」は、まさに開幕にふさわしい一曲だ。

再録版「–ReLight–」では、原曲の疾走感や透明感をそのままに、より洗練されたサウンドに磨き上げられている。イントロのギターから始まる勢い、転がるようなドラムの音、そしてどこか不安定で繊細なボーカル。そのすべてが、“始まりの不確かさ”を感じさせてくれる。

筆者が心を奪われたのは、サビに入る直前の“ちょっとしたタメ”だった。そこに、言葉では伝えられない“揺らぎ”が宿っていて──「あ、これはこのドラマにぴったりだ」と、理屈ではなく肌で感じた瞬間だった。

もともと彼らは、知る人ぞ知るインディーバンドだった。しかし今回のドラマ起用によって、多くのリスナーがその存在に気づいたはず。「ReLight＝再点灯」というタイトルが示すように、音楽そのものもまた、新たな輝きを放ちはじめていたのだ。

彼らの音楽がなぜ“物語の冒頭”にふさわしいのか

『夢中さ、きみに。』という作品は、一見すると“何も起きない日常”を描いているようで、その実、繊細な感情の揺らぎに満ちている。そんな作品の“入り口”を飾るオープニングテーマとして、Broken my toyboxの「Hello Halo –ReLight–」は完璧だった。

この曲には、聴いた瞬間に胸の奥を掻きむしられるような衝動がある。でもそれは“過剰なエモさ”ではなく、日常のなかにぽつんと浮かぶ「違和感」のようなもの。登場人物たちの“何かを抱えてる感じ”を、そのままサウンドに写し取ったような雰囲気があるのだ。

加えて、ボーカル藤井樹の声には独特の“透明なノイズ”がある。まっすぐではない、でもどこまでも真摯なその声が、登場人物の誰にもピッタリはまらない代わりに、すべてのキャラに寄り添う。それが、視聴者にとっての“語り手”にもなっているように感じられた。

バンド自身も「愛しい青春に彩りを添えたい」とコメントしているが、その言葉通り、「Hello Halo –ReLight–」は感情の芯を優しく照らしてくれる。“ドラマの入り口”にこの楽曲があることで、観る者は無意識のうちに感受性のスイッチを入れられる。

そして何より、“オープニングが最高の作品は、だいたい本編もいい”。これは相沢が長年、アニメ・ドラマを観てきた中で勝手に持っている持論だけれど、『夢中さ、きみに。』もまさにその例に当てはまる。Broken my toyboxの音楽が、この作品の“はじまり”として選ばれた理由──それは、ただの知名度やタイアップではなく、真に“物語と呼応していた”からだ。

主題歌・OP曲に込められた“構造演出”の妙

“始まり”と“終わり”が反転するドラマ構造

『夢中さ、きみに。』というドラマは、全体を通して“始まりと終わり”の捉え方がとてもユニークだった。そんな構造を象徴するかのように、オープニングテーマと主題歌（エンディング）が、それぞれの役割を超えて物語の輪郭を形づくっていた。

まず、Broken my toyboxの「Hello Halo –ReLight–」は、オープニングとして流れるにもかかわらず、まるで“この物語のすべてを知っている者”のような落ち着きと哀愁を帯びていた。逆に、なにわ男子の「夜這星」はエンディングとして流れながらも、“これから始まるかもしれない何か”への希望や焦燥を抱えていた。

つまり、「Hello Halo」は“ラストから始まる始まり”のようで、「夜這星」は“始まりに戻る終わり”のような感覚を残してくる。この反転構造が生み出す不思議なループ感覚こそ、『夢中さ、きみに。』が視聴者の心に“繰り返し再生したくなる中毒性”を宿す要因の一つだと思う。

筆者も最終話を観終えたあと、無意識に第1話を再生していた。そして気づく。「あれ、この曲、最初からもう何かを終えてたんだ」と。これは構成と音楽ががっちり噛み合っていないと絶対に生まれない体験だ。

“始まり”と“終わり”が、単に順番で分けられていない。むしろ、互いに手を伸ばし合いながら物語全体を円環状に結んでいく。その中心にいるのが、音楽──それが『夢中さ、きみに。』の音楽演出の最大の妙だ。

楽曲の配置がキャラ視点とリンクする演出意図

音楽の配置に注目すると、もう一つ重要な仕掛けが見えてくる。それは、オープニングとエンディングの楽曲が、それぞれキャラクターの視点や感情とリンクするように配されているという点だ。

「Hello Halo –ReLight–」は、疾走感と混沌のなかにいるキャラクターたちの“現在地”を映し出す。目まぐるしく過ぎていく高校生活、説明のつかない感情、そして答えの出ない関係性。これはまさに、朝のチャイムとともに始まる1日のテンションそのものだ。

対して「夜這星」は、夜の帳に包まれた時間。誰かの背中を思い出し、心の奥をひっそり撫でるような静けさがある。これは“日記を書く時間”にも似ていて、キャラたちが言葉にできなかった思いを、視聴者に託す時間だ。

音楽の流れる順序＝感情の移ろい。その構造に気づくと、この作品がただの学園青春ドラマではなく、感情の地層を幾重にも掘り下げる“情緒設計”されたドラマであることがわかる。

こうした演出は決して偶然ではない。選曲、歌詞、配置──すべてがキャラクターの視点とシンクロし、言葉にならない気持ちを音楽に預けていた。それがどれほど巧妙で、どれほど感情的だったか。筆者は、毎話のラスト1分で心がほどけていくのを感じていた。

原作コミックと音楽──読者だけが気づけるシンクロ

原作の“静けさ”と「夜這星」の余韻

ドラマ『夢中さ、きみに。』は、和山やま氏による同名の原作コミックをもとに映像化された作品だ。その原作は、台詞の少なさ、間の美しさ、視線と無言で語られる感情が魅力の一つとなっている。まさに“静けさが雄弁な漫画”だ。

この“静けさ”という文脈で主題歌「夜這星」を聴くと、その相性の良さに思わず鳥肌が立つ。なにわ男子の柔らかくも芯のあるハーモニーが、原作における“行間の情感”を音で翻訳してくれているようなのだ。

筆者は原作を読み返したとき、「このコマに『夜這星』を流してほしい」と思う場面がいくつもあった。特に、林くんが窓の外をぼんやり眺めるシーン、何も語らずただ歩くシーン。言葉がないからこそ、あの楽曲の静かな響きがぴったり重なる。

漫画には当然“音”がない。けれど、だからこそ読者は“音を想像する自由”を持てる。そこに「夜這星」が後から乗ってきたとき、その想像が現実に接続される感覚がある。原作ファンにとってこの音楽は、もう一つの“読書体験”を提供してくれるのだ。

「夜這星」は“読む音楽”として、原作コミックに寄り添う。これほどまでに視覚と聴覚が美しく結びつく作品は、そう多くない。

コミックでは描かれない“音の演出”を補完する楽しみ方

一方で、Broken my toyboxの「Hello Halo –ReLight–」は、原作には存在しない“スピード感”と“躍動感”を加えてくれる音楽だ。原作が静かにページをめくる作品だとすれば、オープニングはそのページを風で一気にめくられるような感覚に近い。

原作では描かれていない「朝の通学風景」や「学校のざわめき」を、音楽が想像させてくれる。それはまるで、漫画のコマの隙間から、音と動きが漏れ出してくるような不思議な体験だ。こうした補完こそ、映像と音楽が原作に与える“もう一つの視点”だと思う。

筆者が特に好きなのは、キャラたちのモノローグがないときに流れる「Hello Halo」。言葉で語られない感情を、ギターの旋律と歌声が包み込む瞬間がある。それは原作を読んでいるときに感じる“語られなかった気持ち”を掘り起こしてくれる。

音楽があることで、原作では感じきれなかった“揺らぎ”や“とまどい”が視覚化される。これは、コミックとドラマの間に立つ“音の翻訳者”として、Broken my toyboxが果たしている重要な役割だ。

原作と音楽──一見まったく別の文脈に見えるが、『夢中さ、きみに。』ではそれらが密かに結びつき、読者にしかわからない“心の回路”を開いてくれる。だからこそ、原作を読んでからもう一度ドラマを観ると、楽曲の意味が何倍にも深まっていく。

音楽から読み解く『夢中さ、きみに。』の本質

音楽がキャラの心を“代弁”する場面の深読み

ドラマ『夢中さ、きみに。』では、キャラクターたちが感情を激しくぶつけ合うことはない。むしろ、ほとんどの登場人物が“言わない”ことを選ぶ。その沈黙の奥にある揺らぎや葛藤を、代わりに“音楽”が語ってくれている──これが本作の大きな特徴だ。

たとえば、なにわ男子の「夜這星」が流れるラストシーン。言葉にできないまま別れたり、立ち止まったりするキャラたちの表情を、あの切ない旋律がそっと包み込む。まるで「彼らの本音は、ここにあるんだよ」と耳元で教えてくれるようだった。

Broken my toyboxの「Hello Halo –ReLight–」もまた、登場人物たちの“内なる叫び”を代弁してくれる存在だ。彼らが表に出せない不安や焦りを、ギターの音色がざらっと掬い上げてくれる。筆者は、この楽曲が流れるたびに、キャラたちの心が少しだけ見えた気がした。

このように、『夢中さ、きみに。』の音楽は“セリフにならなかったセリフ”を奏でている。そう考えると、音楽はただの演出ではなく、もう一人の登場人物──いや、“心そのもの”と呼んでもいいのかもしれない。

視聴者が彼らの感情に深く共鳴できたのは、音楽がその感情を丁寧に通訳してくれていたから。音と感情が同じ方向を向いていたからこそ、私たちは“分かる気がする”という感覚に浸れたのだと思う。

主題歌・OPを知ったあとで観ると見えてくるもの

一度『夢中さ、きみに。』を視聴し、音楽の存在に気づいたなら──次に観るとき、世界の見え方がまるで変わってくる。これが本作の“二度観せの魔力”だ。最初はストーリーを追っていた視線が、次第に音の流れに引き込まれていく。

「夜這星」が流れる瞬間に、どのキャラがどんな表情をしていたか。「Hello Halo –ReLight–」のイントロが始まるとき、誰が立ち止まり、誰が動き出していたか。細かな演出のすべてが、音楽を軸に再構築されていくのがわかる。

筆者が特に印象に残っているのは、サブキャラの何気ないカットにすら“音楽の意図”が感じられたこと。大きなセリフや見せ場がないキャラも、音の選び方ひとつで“彼らの一日”に意味が宿っていた。その余白に気づけたとき、この作品の奥行きが一段と深まる。

また、歌詞をじっくり読み込んだあとで本編を観返すと、まるでその言葉がシーンのために書かれたかのように感じられる瞬間がある。なにわ男子とBroken my toybox──この2組のアーティストが、物語世界の“語り手”となっていたことを、改めて実感する。

“音楽が語る物語”という言葉があるけれど、『夢中さ、きみに。』はその最たる例だ。主題歌とオープニングを知ることは、ドラマそのものの“読解力”を高めてくれる。音楽を味方につけた視聴体験は、まるで違う景色を見せてくれる。

『夢中さ、きみに。』の主題歌・OPまとめと配信情報

各配信サービスでの取り扱い・視聴リンク

『夢中さ、きみに。』で使用された主題歌「夜這星」と、オープニング曲「Hello Halo –ReLight–」は、どちらも現在各種音楽配信サービスで視聴可能だ。Spotify、Apple Music、LINE MUSIC、Amazon Music、YouTube Musicなど、主要なストリーミングサービスにて幅広く対応している。

なにわ男子の「夜這星」は、グループのシングルまたは配信限定のトラックとしてリリースされており、歌詞付きで楽しめるプレイリストも豊富だ。音の深みやハーモニーを高音質で堪能したい人には、ロスレス配信対応のサービスでの再生がおすすめ。

Broken my toyboxの「Hello Halo –ReLight–」についても、Skream!やEggs、Spotifyなどインディーズシーンに強いプラットフォームを中心に公開されている。オリジナル版の「Hello Halo」と聴き比べができるのもファンにはたまらないポイントだ。

筆者としては、ぜひ“夜中にひとりで聴いてほしい”。特に「夜這星」は、夜の静けさの中でこそ響く余韻がある。そして「Hello Halo –ReLight–」は、朝の空気の中で聴くと、“あの日の教室”がふとよみがえる。

ドラマを観終えたあとも、音楽だけで何度でも物語の世界に戻れる。そういう意味でも、この2曲は“物語の鍵”としての役割をしっかりと担ってくれている。

CD・ダウンロード・歌詞掲載サイトの情報

「夜這星」は、なにわ男子のシングルとしてCD版でもリリースされており、初回限定盤・通常盤ともに特典映像やフォトブックが付属するパッケージが展開された。店舗別特典も多彩で、ファンには“収集欲”がくすぐられるラインナップとなっている。

一方の「Hello Halo –ReLight–」はCD化されていないが、各種ダウンロードサイト（iTunes Store、レコチョクなど）で購入可能。また、インディーズシーンでは珍しく歌詞も正式に公開されており、楽曲を“読んで味わう”楽しさも提供している。

歌詞掲載サイトとしては、Uta-Netや歌ネット、KKBOXなどで「夜這星」のフル歌詞が閲覧可能。歌詞の世界観とドラマのストーリーを重ねながら読むと、物語の“裏側”に込められた想いがじんわりと浮かび上がってくる。

また、「Hello Halo –ReLight–」についても、オリジナル版と再録版の歌詞比較がSNS上で話題となっており、ファンによる考察も活発。ドラマ放送をきっかけに、バンドの他楽曲に興味を持ったリスナーが増え、公式YouTubeでも過去曲の再生数が急増した。

こうして見ると、音楽としての魅力はもちろん、視聴体験を“反芻”させる装置として、この2曲は機能している。配信でも、CDでも、ダウンロードでも──自分の“入り口”からもう一度、この物語に触れてみてほしい。

原作を読むともっと深く楽しめる理由

音楽では補えない“間”と“余白”が原作にある

ドラマ『夢中さ、きみに。』を観終えたあと、その余韻の深さに驚かされた人は多いだろう。でも実は、その“余韻”の源流は、原作コミックにこそある。和山やま氏が描く原作は、とにかく“間”と“余白”が豊かで、静けさの中に心の動きを宿している。

テレビドラマではどうしても演出や音楽が入ってくるけれど、原作ではページをめくる速度、視線の移動、余白の捉え方──すべてが読者のリズムに委ねられている。だからこそ、自分だけの“間”でキャラの感情を感じ取れる。これは紙の漫画でしか味わえない醍醐味だ。

筆者がとくに印象的だったのは、林くんと二階堂くんのエピソード。セリフが少ない分、顔の描線、空白のコマ、視線のすれ違いだけで、二人の関係性が静かに語られていく。それは、音楽では補いきれない“沈黙の美”だと思う。

ドラマ版ではその沈黙を音楽が補い、世界を立体化していた。でも原作では、その静寂がむしろ“完成形”として描かれている。だから、あのドラマが刺さった人にはこそ、この原作を読んでほしい。“音のない世界”だから見えてくるものが、必ずある。

『夢中さ、きみに。』の本質は、“言わないこと”の強さにある。原作はその“言わなさ”を極限まで研ぎ澄ました作品だ。その静けさを一度味わってしまったら、もうページを閉じられなくなる。

原作だけにある“エピソード補完”と心情描写の豊かさ

さらに原作には、ドラマでは描かれなかった“エピソードの補完”や“キャラの掘り下げ”が随所にちりばめられている。特に、林くんと目高くん、二階堂くんとの距離感や感情の揺れが、より詳細に描写されているのが印象的だ。

たとえば、ドラマではサラリと流れた何気ない会話の裏に、原作ではもっと切実なモノローグや心情の断片が描かれていたりする。その“描かれすぎない描写”が、キャラたちをより立体的に、そしてリアルに見せてくれる。

また、原作巻末の“おまけページ”や短編エピソードにも注目だ。ちょっとした日常の裏話や、キャラたちのその後がふんわりと描かれていて、ドラマ視聴後の“空白”を優しく埋めてくれる。これが本当に嬉しい。

筆者は、ドラマを観てから原作に戻ったとき、まるで“副音声”を聴くようにキャラの心の声が聞こえてくる気がした。そして「ああ、あのとき彼はこんな気持ちだったんだ」と、もう一度あのシーンを違う角度から見直すことになった。

ドラマと音楽が魅せてくれた“映像の世界”と、原作が描く“静けさと間”の世界。その両方を体験してはじめて、『夢中さ、きみに。』という作品は本当の意味で完成する。そう、これは“二層構造”でできた物語なのだ。

考察まとめと筆者の気づき

音楽がただの装飾ではなく“物語そのもの”だった件

ここまで掘り下げてきて、改めて感じるのは──『夢中さ、きみに。』における音楽は、単なる装飾じゃなかったということ。むしろ、物語の一部であり、キャラクターの心の声そのものだった。

なにわ男子の主題歌「夜這星」が放つ余韻は、視聴後の心にぽつんと灯りを残す。そしてBroken my toyboxのオープニング曲「Hello Halo –ReLight–」は、その灯りに至るまでの一日を駆け抜けるように流れる。この2曲が、作品の“始まり”と“終わり”を繋ぐ架け橋となっていたのだ。

筆者としては、この音楽演出に気づいたとき、『夢中さ、きみに。』というドラマの見え方が一変した。音楽を知る前と知った後では、同じシーンでも感情の深さがまるで違う。それはまるで、キャラの心の奥にスッと入り込める“鍵”を手に入れたような体験だった。

そして何より印象的だったのは、この2曲が物語の“構造”と呼応していたこと。始まりと終わりが入れ替わるように響き合い、観る者に“もう一度最初から”という感情を自然に喚起させる。この仕掛けが秀逸だった。

音楽は背景じゃない。感情のナレーターであり、語られなかった心の主役。『夢中さ、きみに。』という作品は、そんな音楽の力を最大限に引き出した稀有な青春ドラマだったと、胸を張って言える。

次に見るとき、音がもっと切なく響くために

この記事を読んでくれたあなたが、次に『夢中さ、きみに。』を観るとき──おそらく、音楽が以前よりもずっと切なく、ずっと深く響くはずだ。なぜなら、もうあなたは知っているからだ。この音楽が、どれほどキャラたちの心に寄り添っていたのかを。

「夜這星」が流れる瞬間、誰かの気持ちが終わりを迎えること。「Hello Halo –ReLight–」が始まるとき、誰かが新しい一歩を踏み出していること。そのすべてが、“何気ないように見える日常”のなかに詰め込まれている。

筆者としては、ぜひこの音楽たちを“日常のなかでふと聴いて”ほしい。通学路、夜の部屋、朝の目覚め。どこにいても『夢中さ、きみに。』の風景がふと蘇る。そうして作品は、あなたの生活の一部になる。

そして、音楽に導かれて、もう一度原作を読んでみてほしい。静けさのなかに、音楽が確かに鳴っていることに気づくはずだ。それこそが、この作品の真の“余韻”なのだから。

『夢中さ、きみに。』──それは、音と沈黙が交錯する場所でしか生まれない、青春の断片。そしてその断片は、聴くたびに少しずつ形を変えながら、私たちの中でずっと鳴り続ける。