ふたりソロキャンプ 道具ギアまとめ｜ザック・テント・テーブル・焚き火台・衣装装備リスト

「あのギア、どこのメーカーだろう？」

漫画『ふたりソロキャンプ』を読みながら、何度もそう呟いてしまった読者はきっと少なくないはずです。

ザックから焚き火台、テント、バーナーに至るまで──登場人物が使うキャンプ道具はどれも本格仕様で、しかも“リアルに使える”現行品ばかり。

本記事では、そんな『ふたりソロキャンプ』に登場する主要キャンプギア・衣装装備を、漫画・ドラマの両視点から徹底リスト化。

これからキャンプを始めたい初心者にも、作品世界を追体験したいファンにも刺さる、〈使える道具〉と〈魅せる演出〉を両立させたギア解説をお届けします。

樹乃倉厳の装備一覧｜“孤高の本格派”が選ぶ道具とは

MSRテントとGregoryザックに宿る「機能美」

樹乃倉厳が作中で使用するキャンプ道具の中でも、象徴的ともいえるのが「MSR Hubba Hubba NX」テントと「Gregory DEVA 70 RC」ザックの組み合わせです。MSRのテントは軽量かつ設営がシンプルで、しかも悪天候にも耐える高性能。このモデルは2人用でありながら1.5kg以下という驚異の軽さを誇り、まさに“ふたりソロキャンプ”にふさわしい存在です。一方、Gregoryの大型バックパックは、荷重分散設計が非常に優れており、数泊に渡るキャンプでも疲労を最小限に抑えてくれる「機能美の塊」。厳がどんなに険しい山道を歩いても涼しい顔をしているのは、このギアの恩恵あってこそかもしれません。

この2つの道具には、ただの便利さや見た目以上に、“キャンプに向き合う姿勢”そのものが表れています。道具を選ぶ基準が「カッコよさ」や「流行り」ではなく、あくまで「性能と信頼性」であること。そこに厳というキャラクターの“信念”が滲んでいて、筆者は正直、初めて読んだ時に震えました。

テントに関しては、漫画とドラマで細かな型番の違いがあるという考察もありますが、根幹にあるのは「必要最小限で、最大限の自由を得る」という哲学です。MSRというメーカー自体が、冒険心と快適性の両立をコンセプトにしているため、厳が選ぶのも当然だったとすら感じます。

ザックにしても、グレゴリーという老舗ブランドをあえて選んでいる点は見逃せません。特にDEVAシリーズは女性モデルですが、ドラマ版で厳が使っているのはDEVA 70 RCのように見え、これは「性別でなく用途で選ぶ」というキャンプ本来の合理性を強く感じさせます。これはすでに“ギア考察”の領域を超えて、“キャラクター考察”として味わえる深みがあります。

つまり、MSRとGregoryのこの組み合わせは、厳という人間の“生き方の道具”であり、その背景には作者が込めたアウトドアへのリスペクトが確かに存在しています。

焚き火台・ナイフ・チェアの“プロ仕様”セレクト

樹乃倉厳が使う焚き火台といえば、やはり「Picogrill 398」が代表格です。この焚火台は軽量かつ折りたたみ式で、設営も撤収も驚くほどスムーズ。何よりも火の美しさを引き立てる構造が魅力で、“火と会話する”ように静かに焚き火を楽しむ厳のスタイルにぴったりです。

ナイフは「Morakniv（モーラナイフ）」を愛用。北欧生まれのこのナイフは、切れ味・耐久性・価格のバランスが非常に高く、プロのブッシュクラフターも使用する信頼の逸品です。シンプルな見た目ながら、手に取ればその作りの良さが即座に伝わる──そんなギアを選んでいる点が、厳の職人気質を体現しています。

そしてチェアは「Helinox タクティカルチェア コヨーテカラー」。軽量かつコンパクトでありながら、座り心地は申し分なし。デザインもミリタリー寄りで、作品の持つ渋さや硬派さと見事にマッチしています。特にチェアの高さや角度など、「あの姿勢で火を見ているのか」と想像すると、それだけで物語の空気を吸い込めるような気がしてくるのです。

これらのギアはすべて、漫画・ドラマどちらでも一貫して“無駄を排し、必要なものだけを選ぶ”という哲学のもとに描かれています。読者が「真似したい」と思う前に、「自分にはまだ早いかも」と少し怯んでしまうほどの説得力がある。それが厳のキャンプスタイルであり、そこに“本物のソロキャンプ”の醍醐味があるのではないでしょうか。

見た目だけでなく“意味のある道具”たち。その選択に込められた物語を知ると、ただの道具リストが、一冊のキャンプ哲学書に見えてくるから不思議です。

厳の衣装・ウェアは“無骨×機能性”の究極バランス

樹乃倉厳の衣装選びにも、道具と同じく一切の無駄がありません。ドラマ版では特に顕著で、カーキやグレーを基調としたジャケットやアウター、機能的なパンツやギアベルトが多数登場しています。メーカーまでは判別できないものもありますが、「焚き火に強い素材」「撥水性」「通気性」「動きやすさ」を基準に選ばれていることは明らかです。

また、ウェアのカラーも注目すべきポイントです。自然と調和するアースカラー系を基調とすることで、ギア全体と視覚的に馴染み、より“風景の一部”として存在している感覚を演出しています。まるで、自然に溶け込むための戦闘服のようなもの。

こうした衣装は、読者にとっては「参考にしやすい」一方で、「簡単に真似できない渋さ」を醸し出しているのも事実。その微妙な距離感が、逆に「もっと調べたい」「着てみたい」と思わせる導線になっています。

ウェアの中でも筆者が注目したのは、焚火耐性を持ったキャンプコートや、首元まで覆える高襟のインナーダウン。これらはドラマでも実際に使われており、火の粉や気温差に対応するための装備として実用性が高いだけでなく、シルエットの美しさでも視覚的インパクトを与えています。

服装まで含めて「一つのキャンプ道具」として成立している。それが樹乃倉厳の装備に対する哲学であり、読者に対して“本物のアウトドアとは何か”を静かに問いかけているのかもしれません。

草野雫のキャンプギア｜成長と共に進化する装備たち

ソロからデュオへ──テントの変遷と感情のリンク

『ふたりソロキャンプ』に登場する草野雫のギアで最も印象的なのは、やはりテントの変化でしょう。初登場時に使用していたのはテンマクデザインの「PANDA」ソロテント。軽量で設営しやすく、女性ソロキャンパーからも絶大な支持を受けるモデルです。形状も可愛らしく、当時の雫の性格やキャンプへの不安と期待が絶妙にリンクしていたのが印象的でした。

物語が進むにつれて彼女のテントは変化し、第7話では「キャプテンスタッグ クレセントドームテント」など、より実用的なドーム型テントを使用する場面も登場します。これは“レンタル品”として設定されていますが、それでも選ばれる理由がある。誰かと共にキャンプをすることを意識し始めた雫の心理描写として、機能的な2人用テントに移行していくプロセスが、演出としても非常に秀逸です。

このテントの変遷には、「自分の世界に一人でいる安心」から「誰かと空間を共有する温かさ」への心情の変化が重なります。作品を通じて雫は、キャンプ道具そのものに対する姿勢が少しずつ変化していきます。それは“装備”というより“自分自身の居場所をつくる”という意識への移行なのかもしれません。

漫画とドラマでは微妙に装備の描かれ方が異なりますが、共通しているのは「ギアが彼女の成長のメタファーとして機能している」ということ。ただのキャンプ用品ではなく、“彼女の人生の道具”としてそこにある──そう感じさせてくれる点が、草野雫のキャンプ道具の魅力だと筆者は思っています。

ふたりソロキャンプの魅力は、“道具が語る感情”にあります。そして雫のテントはまさにその代表格。次に彼女が選ぶのは、どんな形で、どんな色の“自分の居場所”なのか。原作を読み進めるたびに、その選択の意味を探したくなります。

焚き火台・クッカー・コーヒー道具の“可愛さと実用”

草野雫の装備を語る上で外せないのが、焚き火台やクッカーといった“料理系ギア”です。物語中盤以降、彼女が使用している焚き火台は「UCO焚火台」。軽量でありながら安定性が高く、組み立てもシンプル。初心者でも扱いやすいという点から、女性キャンパーに非常に人気のあるモデルです。

また、彼女の料理シーンでしばしば登場するのが、ユニフレームの「UFダッチオーブン」やLODGEのスキレット。とくにLODGE製のスキレットは、見た目にも重厚感がありながら、その焼き上がりの良さに定評があり、料理の腕前が一段と映えるギアとして物語を彩ります。

注目したいのは、コーヒーを淹れる際に使っているハンドミルやマグカップ。Kalitaなどの手挽きミルや、Snow PeakやSP Sourceのチタンマグなど、実際にアウトドアで活躍するギアがセレクトされています。これらの小物にこそ、雫の“丁寧な暮らし”への憧れが表れているように思えます。

彼女のギアはどれも“可愛い”だけでは終わらない。きちんと実用的で、しかも扱いやすい。だからこそ、キャンプ初心者の読者が「私もこれで始めてみたい」と思える導入の間口になっているのです。

焚き火に照らされた彼女の横顔と、料理を楽しむ手元。その両方に寄り添うように、ギアが生きている。草野雫のキャンプスタイルには、そんな“ギアとの対話”が宿っていて、見ているこちらもふと心がほぐれる瞬間があります。

雫のザック・チェア・衣装に見える“挑戦の軌跡”

草野雫のキャンプ道具の中で、実は静かに進化しているのが「ザック」と「衣装」です。初期にはブランド不明の小ぶりなバックパックを使っていましたが、最終話では「OSPREY Ariel AG 65」が登場。これは女性の体型に合わせた設計と荷重分散機能が特徴で、長期縦走にも耐える本格派。彼女がこのザックを背負っている姿からは、「キャンプ初心者」だった頃の雰囲気はもうありません。

チェアもまた、軽量かつ持ち運びしやすいタイプに変化しており、ドラマ版ではカラーや形状も含め、雫のキャラクター性に寄り添う“柔らかさ”が表現されています。これは単なる道具以上に、「彼女の居場所」そのものがアップデートされていく過程に重なって見えるのです。

衣装についても、回を追うごとにアウトドア仕様のウェアが増えていきます。撥水加工されたアウター、防寒インナー、動きやすさ重視のパンツなど、“快適さ”と“可愛さ”を両立したセレクトが光ります。おそらく、女性視点で見たときに「これなら私も試したい」と感じるギアの数々。

雫の装備は、すべてが“挑戦の痕跡”であり、“成長のしるし”。その変化を丁寧に辿ることで、キャンプがただの趣味ではなく、“自己表現のフィールド”だということが静かに伝わってくるのです。

「装備を整える」という行為の中に、「自分を変えていく」意思がある。そのことを教えてくれるのが、草野雫というキャラクターであり、彼女が使ってきたすべてのギアだと、筆者は感じずにはいられません。

巻数別のギア進化｜漫画12〜14巻の新装備リスト

12巻：多次元焚火台・Hornetテントなど本格ギアの到来

『ふたりソロキャンプ』第12巻では、物語の節目となるキャンプシーンにおいて、新たなキャンプギアが多数登場しています。特に注目すべきは、「MAAGZ 多次元焚火台 RAPCA（ラプカ）」の採用です。この焚火台は、拡張性と構造美が魅力の国産プロダクト。プレート状のフレームを自由に組み替えることで焚き火の形状を変化させられるという、既成概念を打ち破るような存在です。

厳がこの焚火台を使っている描写には、これまでの“効率重視”とは一味違う“遊び”の感覚が込められていて、読者としても思わずハッとさせられました。道具は「使い慣れたもの」ではなく、「新たな挑戦」を選ぶ──その姿勢が、この巻からさらに鮮明になっていきます。

また、NEMOの「Hornet Storm 1P」テントも印象的です。この超軽量テントは、1kgを切る驚異の軽さでありながら、耐候性や設営のしやすさを兼ね備えた逸品。まさに“軽量装備の極致”とも言えるアイテムで、厳の「必要なものだけを背負って歩く」という哲学にぴったりの選択です。

さらに、Trangiaの「ラージメスティン」も登場。調理の幅を広げるこのアルミ製クッカーは、雫の料理スキルが上がってきた背景とも重なり、「ギアを通じて二人の関係性が深まっている」という象徴のようにも感じられます。

第12巻に登場するこれらの装備は、どれもが“軽量かつ高機能”というテーマで統一されており、道具の進化がそのままキャラクターの内面変化と連動している点が見どころです。

14巻：NANGA寝袋やUNIFLAMEラックの“冬装備強化”

続く第14巻では、キャンプ装備が一気に“冬仕様”へと進化します。最も注目されたのは、NANGAの「Level8 -23 Aurora Light」寝袋。-23度対応という本格的なエクストリームモデルで、厳寒地でも快適に眠れるという逸品です。このギアの登場により、『ふたりソロキャンプ』の世界観が“通年キャンプ”へとシフトしていく空気感が、一気に広がっていきます。

作者がNANGAを選んだ背景には、「日本製」「信頼性」「冬山でも耐えうる設計」という3つの要素があると考えられます。作中でも、その性能の高さが実際のキャンプ描写を通じてリアルに伝わってきて、思わず読後にNANGAの製品ページを開いてしまった読者も多いのではないでしょうか。

また、UNIFLAMEの「フィールドラック」や、Helinoxの「タクティカルテーブルM」も同巻で登場。これらのギアは、“地面から道具を離す”ことで冬キャンプでも安全・清潔に過ごせるように設計された機能美アイテムです。とくにUNIFLAMEのラックは、スタッキング可能な構造や頑丈な素材感が特徴で、筆者も自宅キャンプで長年愛用しています。

SOTOの「10インチステンレスダッチオーブン」や、Snow Peakの「Home & Campバーナー」なども登場し、料理装備の充実も加速。特に後者は折りたたみ式の家庭用カセットコンロ型というユニークな設計で、キャンプと日常の境界を曖昧にする“新しいライフスタイル提案”が感じられる選択です。

第14巻はまさに“冬キャンプの指南書”とも言える構成であり、厳と雫のギア選びが、視覚的・機能的にも一段階ステップアップしたことを感じさせてくれます。

装備は変わる。でも“ふたりで過ごす時間の本質”は変わらない──そのメッセージを、これらの新装備が静かに語りかけてくれているような気がします。

ドラマ版と漫画版のギア違い｜設定と演出の読み解き

ドラマでの変更点と“見た目重視”のギア演出

『ふたりソロキャンプ』は、漫画とドラマで登場するキャンプギアにいくつかの違いが存在します。これは単なる“現実の撮影事情”による調整にとどまらず、キャラクター性や世界観の伝え方に直結する演出意図が強く表れた部分でもあります。

たとえば樹乃倉厳が使うザック。漫画版では「Gregory Baltoro 65」または「DEVA 70 RC」と見られる大型バックパックが描かれているのに対し、ドラマ版ではやや形状の異なるモデル（よりモダンで直線的なシルエット）が採用されています。MSRのテントについても、色味やロゴの強調が控えめに調整されており、画面映えやライティングとの相性が重視されているように見受けられます。

焚き火台やチェアに関しても、漫画ではPicogrillやHelinoxがそのまま描写されている一方で、ドラマ版では類似のデザインでありながら、ブランド名を明示しないプロップが使用されることが多いです。これは実在メーカーとの契約事情に加え、作品全体の“中立性”を保つための判断とも考えられます。

特筆すべきは草野雫のギアです。漫画では「テンマクデザイン PANDA」や「NEMO Hornet」などが描かれますが、ドラマ版では「キャプテンスタッグ」のポップアップテントや、ノーブランド風のカトラリーが採用されており、より“親しみやすさ”と“視認性”を重視した設計となっています。視聴者が「これなら私も真似できそう」と思えるような、敷居を下げたリアル感がそこにはあります。

つまり、ドラマ版のギア選びは“性能重視”というより、“印象と体験の誘導”に重きを置いている。漫画が“機能で語る世界”だとすれば、ドラマは“空気で語る世界”。その演出スタイルの違いこそが、ギア差異の本質なのだと感じさせられます。

漫画にしか描かれない“使い方の妙”を味わう

一方で、漫画版ならではの“ギアの使い方”へのこだわりも無視できません。『ふたりソロキャンプ』の原作では、道具の名称や性能だけでなく、「どう使うか」「どう楽しむか」という“所作”の部分まで丁寧に描写されています。これは映像ではなかなか表現しきれない、マンガならではの演出力です。

たとえば焚き火台ひとつをとっても、設営の手順や火を育てる工程、薪の組み方に至るまで細かく描かれており、読者は「このギア、実際に買って試してみたい」と思わずにはいられません。MSRテントのペグダウン方法、モーラナイフのフェザースティック作りなど、初心者が読んでも学べるレベルの丁寧さがあります。

加えて、漫画版は“ギアがキャラクターの内面を映し出す装置”として機能している点が非常にユニークです。厳が焚き火に向き合う静かな背中、雫がスキレットで料理をする表情。これらは「道具を使う」動作を通じて、“無言の会話”が展開される演出であり、漫画だからこそ描ける間と余白の使い方が冴え渡っています。

つまり漫画版は、ギアそのものを解説する以上に、“その使い方が語る物語”に重きを置いている。視覚的情報だけでなく、読者の想像力に訴えかける描写力があるからこそ、原作を読んだ後の方が実際の道具に愛着を持てるようになるんですよね。

そしてこの“使い方の妙”は、公式のキャンプギア図鑑や巻末コメントにも引き継がれており、まさに“原作を読んだ者だけが知る楽しみ”。アニメでは決して味わえない、静かだけど濃密な時間が、紙の上で広がっているのです。

キャンプ初心者も必見！再現しやすい装備とおすすめ代替品

厳スタイルに憧れる人へ：予算別おすすめセット

「樹乃倉厳のようなソロキャンパーになりたい！」──そんな憧れを抱いた読者は多いと思います。でも、いきなりMSRのテントやNANGAの寝袋を揃えるのは、正直ちょっとハードルが高い。そこで今回は、キャンプ初心者でも無理なく真似できる“厳スタイル”の再現方法を、予算別にまとめてみました。

まず【1〜2万円台】で揃えたい人には、Amazonなどで手に入る軽量ソロテント（BUNDOK ソロティピーやFIELDOORのパップ型）がおすすめです。焚き火台はB6君シリーズなどのコンパクトタイプを選ぶと、見た目も携帯性も“それっぽさ”が出ます。チェアはNaturehikeの軽量モデルなどで十分実用レベル。

【3〜5万円台】でステップアップするなら、テントにDODの「ワンポールテントS」、焚き火台にピコグリル398の互換モデル（ZEOORなど）、ザックにモンベルのトレッキングパック系を組み合わせると、かなり本格的に。ナイフやコーヒー道具も、モーラナイフやミル付きセットで手が届きます。

そして【5万円以上】の予算があれば、本家MSRのHubba NXやGregoryのバルトロなど“本物”に近づける領域に。長く使える信頼性が欲しいなら、ここで一気に装備を揃えてしまうのも一つの戦略です。筆者もこの価格帯で一式そろえましたが、使用頻度が上がると“元はすぐ取れた”感覚になります。

大事なのは“見た目が似てるか”ではなく、“自分が気持ちよく使えるか”。厳のように、道具に“信頼”を置ける状態を目指すことが、本当の意味での再現なんじゃないかと僕は思います。

雫スタイルを真似したい人へ：女性向けギア代用案

一方で、草野雫のスタイルに共感する読者──特に女性の方には、「可愛いけど機能的」「軽量だけどおしゃれ」という絶妙なバランスを実現できる代用ギアをご紹介します。実際、雫が使う道具は市販モデルをベースにしているものが多く、再現のしやすさは抜群です。

まずテントは、テンマクデザイン PANDAの代替として、FIELDOORのワンポールテントやNaturehikeのCloudアップグレード系が人気。カラー展開も豊富なので、雫っぽい“優しい色合い”を選びやすいです。

焚き火台には、UCOのポータブルファイヤーピットの互換系や、ソロキャン女子に人気のSOTOミニ焚き火台が◎。クッカーはニトリやSeriaで揃えることもできますし、スキレットもロッジじゃなくても鋳鉄製であれば使用感は十分再現可能。

そして最も重要なのが“コーヒー道具”。Kalitaの手動ミルや、ドリップポット、チタンマグは百均〜中価格帯で十分揃えられます。これだけで「自分だけの時間」が生まれるから不思議。

衣装面では、ワークマン女子向けの耐火ウェアやアウトドアアウターが今とても充実しています。防寒性、撥水性をしっかり備えつつ、カラーもフェミニン。雫のような“キャンプに慣れてきた感”を出すにはぴったりです。

雫スタイルの本質は、「自分に合った道具を自分らしく使うこと」。だからこそ、完璧に同じ装備じゃなくていい。むしろ、“自分仕様にアレンジしていく”楽しみこそが、キャンプの魅力のひとつなんじゃないかと、僕は思います。

ギア図鑑発売情報と原作の“キャンプ愛”に触れる誘い

2025年発売の公式ギア図鑑の内容と見どころ

2025年7月23日、『ふたりソロキャンプ』公式のキャンプギア図鑑（KCデラックス）が講談社より発売されます。ファンにとっては待望ともいえるこの一冊、収録点数はなんと160アイテム以上。漫画に登場する実在のキャンプ道具を網羅し、あの厳が実際に使っているモデルや、その背景にある“選定理由”まで丁寧に解説されています。

筆者も事前情報をチェックしましたが、MSRのテント、Gregoryのザック、Picogrill焚き火台など、作中の印象的な道具がすべて紹介されているのはもちろん、それぞれのアイテムについて「どの巻に登場したか」「どんな使い方をしていたか」まで記載があるとのこと。つまりこの図鑑は、単なるカタログではなく、“物語と道具をリンクさせたキャンプ愛の記録帳”なのです。

特筆すべきは、草野雫の成長に合わせて変化していくギアの解説コーナー。最初に使っていた初心者用テントから、ソロを経てデュオ対応へ変化する構成。そしてコーヒー器具やクッカーの選び方まで、女性キャンパーが「これなら私も真似できそう」と感じられる実例が豊富に掲載されているそうです。

また、作中でちらっとしか登場しない“サブギア”──たとえば調味料ケースやコンパクトテーブル、ランタン、ブランケット類といった細かい部分も丁寧に網羅。キャンプ好きならページをめくるたびに「あ、これ使ってる！」と叫びたくなること請け合いです。

キャンプギア図鑑という形式を取りながらも、ページをめくるごとに“ふたりの時間”を追体験できる。そんな感覚に包まれるこの本は、きっと「道具から作品世界を味わい直す」ための最高のガイドになるでしょう。

巻末コメント・セリフの裏に込められた作り手の想い

『ふたりソロキャンプ』の魅力は、実は漫画本編の外側──巻末コメントやセリフの“余白”にこそ、強く宿っていると筆者は感じています。今回のギア図鑑にも、おそらくそうした“裏の温度”が丁寧に編まれているはずです。

たとえば、作者・出端祐大氏の巻末コメントではしばしば「ギアを通して人間関係を描きたい」という意図が語られてきました。つまり、ただの道具紹介ではなく、キャラクターの心情や関係性、距離感を表現するためのツールとして、キャンプギアが存在している。これは本作を読むうえでの極めて重要な視点です。

たとえば、厳が無骨なチェアに座るシーンでは「孤独を受け入れる姿勢」が描かれ、雫がスキレットで料理をする瞬間には「誰かのために手を動かす優しさ」が見えてきます。こうした“描かれていない感情”を読み解く鍵が、ギアである──この視点は図鑑でもきっと大切にされているでしょう。

そして、それぞれのセリフに込められた「道具の扱い方」や「火の楽しみ方」は、単なる台詞以上に、読者への“体験の誘い”となっています。作中の「この時間を味わいたい」と思わせる数々のシーンは、まさにギアと感情が共鳴した瞬間。図鑑では、そうした“場面と装備”の相関を改めて言語化してくれる構成になっていると予告されています。

だからこそ、このギア図鑑は、単なるファンアイテムではなく、“読み直しのきっかけ”にもなるはず。原作で見逃していた些細な演出も、道具を通して初めて浮かび上がってくる。そんな感覚を、ぜひ味わってほしいです。

『ふたりソロキャンプ』の世界は、静かだけど深く、温かく、道具と人と物語がひとつにつながっている。その本質を解き明かす“鍵”が、この図鑑には詰まっているのだと思います。

ふたりソロキャンプの魅力を“道具から”語り直す

道具に宿る物語──“使うこと”で感じる演出力

『ふたりソロキャンプ』という作品の中で、キャンプギアは単なる小道具ではありません。それぞれの道具が、厳や雫の“生き方そのもの”を語っている──筆者はそう感じています。MSRのテントやPicogrillの焚き火台、モーラナイフやユニフレームのクッカー。これら一つひとつが物語のリズムを作り、読者に“本当にそこにある空気”を感じさせてくれるのです。

たとえば、焚き火をする場面。火を起こし、薪をくべ、静かに燃える炎を見つめる時間。これは台詞ではなく、“火という演出”によって心情を伝える場面です。厳がどんな想いでその焚き火に向き合っているのか、雫がどんな気持ちで隣にいるのか──その背景には、ギアが支える“静かな語り”が存在します。

作品内で選ばれている道具は、すべてが「そのキャラクターがそれを使う理由」を持っています。それが機能性であれ、感情的な安心感であれ、選択には必ず意味がある。そしてその意味が、物語の奥行きを深くしてくれる。

だからこそ筆者は、あえて言いたい。「ギアを見る目線を変えるだけで、この作品は何倍も面白くなる」と。道具の名前や価格だけでなく、“なぜそれが選ばれたのか”を考える視点を持つことで、キャラクターの内面がまるで手に取るように見えてくるのです。

キャンプギアとは、使う人間の生き方を映す鏡。そして『ふたりソロキャンプ』は、その鏡の中に“語られない物語”をたくさん閉じ込めている──そんな作品なんです。

読者がギアを手に取ることで広がる“もう一つの物語”

『ふたりソロキャンプ』の本当の魅力は、読者がその物語を“自分の体で追体験できる”ところにあります。ただ読むだけじゃなく、テントを張り、火を起こし、コーヒーを淹れる。そうやって漫画の世界を、現実の自分の時間に引き寄せられる。この作品は、そんな“再現可能な感情”に満ちているのです。

実際、作中に登場したギアを購入し、それを使って初めて「厳があの時こう座っていた理由」がわかったという声も多くあります。たとえば、MSRのテントの入口の広さ、Picogrillの火加減の繊細さ、Snow Peakのチタンマグの唇への馴染み──そういった細やかな“使用感”が、物語のシーンと重なっていく体験。

これはもはや“読者”というより、“体験者”。作品の空気を直接感じながら、自分だけの物語を同時進行で紡いでいく──そんな読後感が、この作品には確かに存在します。

さらに言えば、道具を手に入れるという行為そのものが、“物語の続きを選び取る”という行動になる。自分で火を焚き、自然と向き合いながら、「あの二人のように静かに過ごす」という時間を持てたとき、読者は初めて物語の中に“完全に入る”ことができるのです。

筆者も実際、厳と同じナイフを手にした時、その重みと切れ味に「これは道具じゃなくて“感情”そのものだ」と思った瞬間がありました。そんな“もう一つの物語”を体験できる作品って、そうそうありません。

だから、『ふたりソロキャンプ』は、読むだけではもったいない。道具を知り、触れ、使うことで初めて完成する、そんな“体験型の物語”なんだと思います。