傷だらけ聖女より報復をこめてに小説版はある?原作の形式と漫画との違い

古い図書館の机に置かれた一冊の幻想的な本と、聖女を思わせる白い花。窓から差し込む柔らかな光が物語の秘密を照らしている情景 未分類

『傷だらけ聖女より報復をこめて』に原作小説はあるのでしょうか。結論からいうと、本作は小説を漫画化した作品ではなく、縦読み漫画として制作されたオリジナルWebtoonです。

原案を担当したのは、小説家としても活動する編乃肌さん。そのため、小説版が存在するのではないかと気になった人もいるかもしれません。

しかし、公式に確認できる作品の中心は、SORAJIMAが制作するフルカラー漫画です。2024年3月28日には一迅社から紙のコミックス第1巻も発売されていますが、こちらも小説ではありません。

原作が小説ではないと知ったとき、僕は少し意外に感じました。

誰かの傷を引き受けてきた少女が、裏切りをきっかけに復讐へ向かう。その設定には、長編小説の行間を何度も読み返したくなるような、人間の感情の複雑さがあるからです。

とくに気になるのは、ルーアが「聖女」であることを捨てるまでに、どれほどの痛みを抱えてきたのかということ。

今回は、小説版の有無から原案・原作の意味、Webtoonと単行本の違いまで、公式情報をもとに整理していきます。

傷だらけ聖女より報復をこめてに小説版はある?原作の正体とは

結論として、2026年10月23日時点で確認できる公式の作品情報には、『傷だらけ聖女より報復をこめて』の独立した小説版やライトノベル版の刊行案内はありません。

本作は、編乃肌さんが原案を担当し、SORAJIMAが制作した縦読みフルカラー漫画です。

重要なのは、「小説家が原案を担当していること」と「公開された原作小説が存在すること」は別だという点でしょう。

原作は小説家になろうではなくWebtoonとして制作された

『傷だらけ聖女より報復をこめて』は、2022年8月3日に漫画アプリ「comico」で連載を開始しました。

NHN comico株式会社の当時の発表によると、SORAJIMAとの共同制作作品として企画され、連載開始時はcomicoで独占配信されていました。

作品の基本情報は次のとおりです。

項目 内容
作品名 傷だらけ聖女より報復をこめて
原案 編乃肌
制作 SORAJIMA
原作の形式 縦読みフルカラーWebtoon
連載開始 2022年8月3日
初期配信媒体 comico
ジャンル ロマンス・異世界ファンタジー
小説版 公式の刊行情報を確認できず
紙の単行本 一迅社から刊行

Webtoonとは、主にスマートフォンで上から下へスクロールして読むことを想定した漫画形式です。

従来の見開き漫画とは異なり、コマの間隔や縦方向の余白を使って、人物の表情や場面転換を見せる特徴があります。

本作も、最初からこの形式を前提に制作されました。

そのため、一般的な小説原作のコミカライズ作品とは制作の出発点が異なります。

原案の編乃肌さんは小説家なのに、なぜ小説版がない?

ここは少しややこしいところです。

一迅社の単行本情報では、SORAJIMAが「漫画」、編乃肌さんが「原作」と記載されています。

この「原作」という言葉を見れば、漫画になる前の小説がどこかに存在すると思うのも自然でしょう。

しかし、漫画における原作とは、必ずしも出版済みの小説を意味しません。

物語の設定や構成、脚本を担当した人を「原作」と表記する場合もあります。

編乃肌さんは、2025年に公開されたインタビューで、本作の制作経緯を語っています。

もともとの企画はシンデレラストーリーでしたが、担当者の提案を受けて復讐を中心とする物語へ方向転換したそうです。

そして、脚本を執筆する前に韓国の作品を研究し、さまざまな要素を取り入れながらオリジナルの物語を組み立てていったことが説明されています。

つまり、本作は小説を出版してから漫画へ移したのではなく、漫画制作のために物語と脚本を構築していった作品なのです。

僕は、この制作経緯がかなり興味深いと思いました。

最初はシンデレラストーリーだった作品が、なぜ復讐劇へ姿を変えたのか。

その変化は、ルーアという主人公の本質にも関わっているように感じます。

誰かに救われることを待つ物語から、自分の手で人生を取り戻そうとする物語へ。

それは単なるジャンル変更ではなく、主人公が物語の主導権を握るための転換だったのではないでしょうか。

原作者が書いた脚本を小説として読める?

編乃肌さんが脚本を執筆していたことは、インタビューから確認できます。

ただし、それは完成した小説版が一般公開されているという意味ではありません。

漫画制作のための脚本やシナリオが存在しても、それが独立した読み物として刊行されるとは限らないからです。

少なくとも、今回確認した公式情報では、本作の制作脚本を一般読者向けの小説として公開しているという案内は見当たりません。

「小説版を読めば漫画の先の展開が分かるのでは」と考えている場合も、現在のところ、そのような公式の小説版を前提にすることはできません。

物語を追うための基本となる媒体は、あくまでWebtoonです。

※画像はAIによるイメージ

傷だらけ聖女より報復をこめての漫画と小説は何が違う?

本作には比較対象となる公式小説版が確認できないため、「小説ではこの場面が違う」という具体的な比較はできません。

ただし、Webtoon版と紙のコミックス版には、読む形式や収録内容に違いがあります。

そして、なぜ本作が縦読み漫画という形式と相性がよいのかを考えると、ルーアの物語が持つ独特の魅力が見えてきます。

Webtoon版はフルカラーの縦読み漫画

本作の主人公は、治癒の能力を持つ聖女候補・ルーアです。

彼女には、人の症状を自分の身体に移すことで治療できる特殊な力があります。

しかし、その代償として、治療した相手が抱えていた痛みや苦しみを自身が引き受けなければなりません。

周囲の聖女候補たちは、そんな彼女を欠陥のある聖女として扱っていました。

唯一の味方だったのが、親友のアリアンです。

ところが、ルーアが想いを寄せていた騎士団長ガロットを命がけで救った後、状況は一変します。

彼女が意識を取り戻したとき、治療の功績はアリアンのものになっていました。

さらに、ガロットとアリアンの婚約まで決まっていたのです。

ルーアは親友の本性を知り、ガロットからも冷たい態度を取られます。

その絶望の中で現れたのが、第二王子スウェンでした。

彼はルーアに復讐を持ちかけます。

そして彼女は、これまで癒してきた症状を他人へ与える「加虐能力」を使い、スウェンと行動を共にすることになります。

ここで僕が気になったのは、ルーアの能力が単純に反転したわけではないという点です。

彼女は突然、他人を傷つけるための力を手にしたわけではありません。

もともと隠していたもう一つの能力を、自分自身の意思で使うことを選んだのです。

同じ人物が持つ二つの力。その使い方を変えたのは、彼女の心でした。

この変化を見せるうえで、人物の表情や色彩、画面の余白を利用できるWebtoonという形式には、大きな意味があると感じます。

紙の単行本は2024年3月28日に発売

一迅社から発売されたコミックス第1巻の書誌情報は、次のとおりです。

項目 第1巻の情報
発売日 2024年3月28日
出版社 一迅社
レーベル comic LAKE
判型 B6判
ページ数 176ページ
発売時の価格 1,100円(税込)
ISBN 9784758018753
特徴 フルカラー・本書限定番外編収録

紙のコミックス版も小説ではなく、Webtoonをもとにした漫画書籍です。

特筆したいのは、第1巻に本書限定の番外編が収録されていること。

単なる媒体の変更ではなく、収録内容にも違いがあるわけです。

本編では表現しきれなかった人物の一面や物語の余白を求める読者にとって、こうした番外編の存在は見逃せません。

ただし、番外編の具体的な内容については、書誌情報だけで断定することはできません。

また、価格や販売状況は変更される可能性があるため、最新情報は出版社の案内で確認する必要があります。

ジャンプTOONでも読める?話数と原作の関係

ジャンプTOONでも『傷だらけ聖女より報復をこめて』が掲載されています。

確認時点では全143話が表示されており、冒頭のエピソードには次のタイトルが付いています。

  • 第1話「傷だらけ聖女」
  • 第2話「親友の裏切り」
  • 第3話「復讐をしないか?」
  • 第4話「神殿の闇」
  • 第5話「怪しい人影」

この並びを見るだけでも、本作が復讐を中心に展開していく作品であることが伝わります。

ただし、143話という数字はジャンプTOONで確認された掲載話数であり、小説の章数ではありません。

媒体によって掲載話数や表示方法が異なる可能性もあるため、異なるサービスの数字をそのまま比較することは避けたいところです。

大切なのは、Webtoon、電子配信、紙のコミックスが別々の原作ではなく、同じ作品を届けるための異なる形だということです。

※画像はAIによるイメージ

なぜ傷だらけ聖女より報復をこめては小説原作のように感じるのか?

ここからは僕自身の考察です。

本作が小説を原作に持つように感じられる理由は、単に異世界ファンタジーだからではないと思います。

それ以上に、登場人物たちの関係が、目に見える行動と隠された本音の二重構造で描かれているからではないでしょうか。

ルーアの治癒能力は「優しさ」の象徴だけではない

ルーアの能力は、他人の症状を自分に移して治療するというものです。

一見すると、自己犠牲を伴う聖女らしい力に見えます。

けれど、僕はこの能力を、単純に美しいものとして受け取ることができません。

治療を受ける人は回復する一方で、ルーア自身は苦痛を引き受けます。

その痛みは、周囲の人間に同じ重さでは伝わりません。

そして、彼女の働きが当然のように扱われるほど、ルーア自身の苦しみは見えなくなっていく。

これは、優しさが報われないというだけの話ではないと思うのです。

誰かのために自分を傷つけ続ける人間が、その犠牲を周囲から軽く扱われる構造そのものが描かれているのではないでしょうか。

だからこそ、ガロットを救った後の裏切りが重い。

ルーアは命がけで他人を救ったにもかかわらず、その事実さえ奪われてしまいます。

能力によって身体が傷つき、裏切りによって心まで傷つけられる。

二重の痛みを背負った彼女が、誰も癒さないと決める場面には、単なる怒りでは片づけられないものがあります。

もう、自分の痛みを誰にも差し出したくない。

その気持ちは、復讐への決意であると同時に、自分を守るための最初の抵抗だったのかもしれません。

アリアンの裏切りが深く刺さる理由

ルーアを欠陥聖女として扱う人々の中で、アリアンは唯一、彼女を庇う存在でした。

だからこそ、裏切りの衝撃は大きい。

最初から敵意を向けてくる相手であれば、ルーアもある程度は警戒できたはずです。

しかし、優しく接してくる親友を疑い続けることは難しいでしょう。

アリアンは、ルーアが安心して心を預けられる数少ない存在だったのです。

そこに僕は、本作の残酷さを感じます。

奪われたのは、ガロットとの恋愛の可能性だけではありません。

誰かを信じてよいと思える場所そのものが、壊されてしまった。

だから、アリアンの裏切りは恋愛上の対立にとどまらないのだと思います。

しかも、ルーアがガロットを救った功績までアリアンのものになっています。

これは、ルーアが積み重ねてきた行為の意味を奪うことにもつながります。

人を救ったのは自分なのに、その証が別の人物のものとして扱われる。

自分の痛みを誰にも理解してもらえないだけでなく、自分が何をしたのかさえ認めてもらえない。

……それは、あまりにも苦しい。

この状況を知ると、ルーアが復讐へ向かうことを、単純に善悪の問題として判断できなくなります。

スウェンはルーアを救う王子なのか、それとも共犯者なのか

僕が本作でとくに興味を引かれるのは、第二王子スウェンの役割です。

公式の人物紹介によれば、スウェンには忌み子として蔑まれた過去があります。

冷静に物事を処理できる一方で、ルーアが関わると感情的になる一面も示されています。

この設定を踏まえると、彼がルーアに復讐を提案した意味も違って見えてきます。

単純に、困っている少女を王子が救い出す物語ではないのではないか。

スウェンは彼女に、もう一度優しい聖女へ戻るよう求めたわけではありません。

むしろ、彼女を傷つけた人間に立ち向かう道を示しています。

ここが面白い。

通常のシンデレラストーリーであれば、王子は主人公を苦境から救う存在として描かれがちです。

しかし、本作のスウェンは、ルーアの復讐に協力する人物です。

それは、彼女が抱える怒りまで含めて向き合おうとする関係にも見えます。

もちろん、復讐への協力が無条件に正しいとは言えません。

それでも、ルーアの感情を押し込めるのではなく、その存在を認めることには意味があるでしょう。

二人の関係を考えるうえで重要なのは、スウェンが彼女の代わりにすべてを決めるのか、それとも彼女自身の選択を尊重するのかという点だと思います。

僕は後者であってほしい。

傷ついた少女が、別の誰かに人生を委ねるだけで終わってしまうのなら、せっかくの変化が十分に生かされない気がするからです。

※画像はAIによるイメージ

小説ではなくWebtoonだからこそ描ける「沈黙」

小説は、人物の心理を文章で直接説明できます。

一方、漫画では、表情や構図、場面の切り替わりから、読者が感情を読み取る必要があります。

とくに縦読みWebtoonでは、次のコマを見るまでのスクロールそのものが、読者にとっての「間」になります。

これは本作のような、裏切りや心理的な駆け引きを扱う物語と相性がよいと感じます。

たとえば、救いを期待していた人物の態度が冷たく変わる場面。

文章であれば、失望や絶望を直接言葉にすることもできるでしょう。

しかし漫画なら、人物の表情を見せた後、次の言葉が現れるまで空白を設けることもできます。

読者はその短い間に、次に何が告げられるのかを想像する。

その沈黙が、言葉より強い印象を残すこともあります。

もちろん、これは本作のすべての場面に特定の演出があると断定するものではありません。

Webtoonという表現形式そのものについての僕の考えです。

ただ、ルーアのように感情を押し殺してきた人物を描くとき、語られなかった部分を読者が補う余白は、とても重要ではないでしょうか。

本作の原作を探すなら、まず縦読み漫画そのものに目を向ける意味は大きいと思います。

そして、紙のコミックスには限定番外編という別の楽しみもあります。

本編をどのような順番で受け止めるか、どの場面でページを止めるか。

読書体験が変わることで、同じ物語の印象も少しずつ変化するはずです。

小説版が存在しないことは、必ずしも物語の奥行きが少ないという意味ではありません。

むしろ、その奥行きを絵と余白に委ねた作品なのだと、僕は考えています。

まとめ|小説版は確認できず、原作は縦読みWebtoon

『傷だらけ聖女より報復をこめて』について確認できた重要な点は、原作が公開済みの小説ではなく、編乃肌さんの原案をもとにSORAJIMAが制作したWebtoonだということです。

2022年8月3日にcomicoで連載を開始し、2024年3月28日には一迅社からフルカラーの紙コミックス第1巻が発売されました。

単行本には本書限定の番外編が収録されていますが、小説版とは異なります。

編乃肌さんは小説家として活動してきた経歴を持ち、本作では漫画制作に向けた脚本執筆を担当しています。

そのため、「原作」という表記だけから、小説版の存在を判断することはできません。

そして、僕がいちばん心に残ったのは、この物語が当初のシンデレラストーリーから復讐劇へ変わったという制作経緯でした。

王子に救われるだけではなく、自分を傷つけた世界に向き合う主人公。

その物語を成立させるために、ルーアには治癒能力と加虐能力という二つの力が与えられたのかもしれません。

人を癒せることと、人を傷つけられること。

その両方を持つ彼女が、どちらの力をどう使うのか。

本当に問われているのは、能力の善悪ではなく、傷ついた人間が自分の人生をどのように取り戻すのかということなのでしょう。

そして、もう誰も癒さないと決めた彼女が、それでも誰かを信じられる日を迎えるのか。

そこに、僕はこの物語のいちばん繊細な部分があるように思います。

……復讐だけでは、きっと埋まらない傷もある。

だからこそ、ルーアが自分自身のために選ぶ未来を、最後まで見届けたくなるのです。


よくある質問

傷だらけ聖女より報復をこめては小説家になろうで読める?

確認できる公式情報では、「小説家になろう」で公開された本作の原作小説は案内されていません。原作に相当する作品は、編乃肌さんが原案を担当し、SORAJIMAが制作した縦読みWebtoonです。

傷だらけ聖女より報復をこめての原作者は誰?

原案・原作を担当しているのは編乃肌さんで、漫画制作はSORAJIMAです。編乃肌さんは小説家としての活動歴もありますが、本作は小説からのコミカライズではなく、Webtoon向けに企画・制作された作品です。

傷だらけ聖女より報復をこめての単行本は小説?

いいえ。一迅社から2024年3月28日に発売された第1巻は、176ページのフルカラーコミックスです。本書限定番外編が収録されていますが、ライトノベル版ではありません。

相沢 透(あいざわ・とおる)

物語の深淵を覗く考察ブロガー/アニメ・漫画フリーク

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