『ふつつかな悪女』4巻では、皇后を蝕む呪いを巡る事件が決着し、玲琳と慧月の関係も「入れ替わった二人」から新しい段階へ進みます。
そして何より胸に残るのは、牢にいる朱雅媚を皇后・黄絹秀が抱きしめる場面です。憎む理由はいくらでもあるのに、最後に差し出されたのは報復ではなく、「あなたに幸せでいてほしかった」という感情でした。
『ふつつかな悪女ではございますが~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』漫画4巻は、第16話から第20話までを収録し、物語の「第一幕」にひと区切りをつける巻です。
原作は中村颯希先生、漫画は尾羊英先生、キャラクター原案はゆき哉先生。4巻で中心となるのは、朱貴妃・朱雅媚が仕掛けた呪い、倒れた皇后を救おうとする玲琳と慧月、そして二人の入れ替わりをようやく知る皇太子・詠尭明の思惑です。
ただ、4巻を単なる「悪事が暴かれて一件落着する巻」と見ると、大事なものを取りこぼします。
この巻で本当に決着するのは、呪いそのものよりも、誰かを羨み、見誤り、傷つけ、それでもなお関係を結び直せるのかという問いなのではないでしょうか。
ここからは『ふつつかな悪女』4巻のネタバレを含め、事件の流れと人物たちの感情を順番に整理していきます。
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『ふつつかな悪女』4巻ネタバレ|皇后を救うため玲琳と慧月が選んだ方法とは?
4巻冒頭で最大の問題となっているのは、皇后・黄絹秀が病に倒れていることです。
玲琳は、その原因が単なる病ではなく、朱貴妃が仕掛けた呪いにあると見抜きます。皇后を救うため、玲琳は現在自分の肉体に入っている慧月のもとへ向かい、まず二人の入れ替わりを解消しようと考えました。
玲琳にとって黄絹秀は叔母であり、雛宮で自分を支えてきた後見人でもあります。
だからこそ、皇后の危機を前にした玲琳には、いつものように状況そのものを楽しむ余裕だけではありません。どうにか救わなければならない。その焦りが、いつも前向きすぎるほど前向きな玲琳を珍しく空回りさせるほどでした。
ところが、慧月が示した解決策は別のものでした。
破魔の力で一時的に呪いを退けるのではなく、仕掛けられた呪いそのものを術者へ返す「呪い返し」を行うべきだというのです。
朱貴妃が蜘蛛を用いた蠱毒を使っている以上、対抗する側にも蠱毒が必要になります。
そこで思いがけず役立ったのが、玲琳が朱駒宮の廃屋に置いていた壺でした。
莉莉が以前持ってきた虫を、玲琳はネズミの餌にでもしようと一つの壺に入れて保管していました。ところが壺の中では虫同士の共食いが起き、最後にムカデが生き残っていたのです。
普通なら恐怖しか感じない状況でしょう。
けれど玲琳の場合、「偶然、必要なものができていました」という方向に転がってしまう。この少しズレた逞しさが、彼女という主人公の魅力でもあります。
しかし、蠱毒を利用した呪い返しには大きな危険がありました。
もし術が失敗すれば、反動は術者である慧月自身へ返ってきます。それは彼女が自分の命まで賭けて朱貴妃の罪を償おうとしていることを意味しました。
ここで玲琳は、慧月だけに危険を背負わせようとはしません。
だったら二人で術者になればいい。
理屈としてはあまりにも玲琳らしく、同時に、この巻で二人の関係が決定的に変わった瞬間でもあります。
慧月と玲琳は「加害者と被害者」の関係を越え始める
そもそも慧月は、玲琳の人生を羨み、二人の肉体を入れ替えるところから物語を動かした人物です。
本来なら玲琳には、慧月を憎む十分な理由があります。
ところが玲琳が慧月に抱いたのは、単純な怒りではありませんでした。
生まれたときから病弱で、周囲から大切にされ、誰もが彼女を傷つけないよう扱ってきた玲琳にとって、慧月は初めてと言っていいほど激しい感情を真正面からぶつけてきた相手でした。
嫉妬もあった。
恨みもあった。
玲琳の「恵まれた人生」に対する、慧月のどうしようもない絶望もあった。
なのに玲琳は、それを嫌悪だけで受け取らないのです。
むしろ、人間らしい感情をむき出しにしてくれた慧月に興味を持ち、彼女が罪を自覚した途端に自分の命まで差し出そうとする不器用な純粋さまで見つめていきます。
そして玲琳は慧月に、友人になってほしいと願います。
この場面、僕は4巻の中でもかなり重要だと思っています。
玲琳が慧月を「許した」から美しいのではありません。
玲琳は、慧月のしたことを無かったことにはしていない。それでもなお、「あなたをもっと知りたい」と関係を選び直している。
そこが、たまらなく優しいんですよね。

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朱貴妃・朱雅媚はなぜ皇后を呪った?4巻で明かされる過去
玲琳と慧月が呪い返しを進めようとしたところへ現れたのが、事件の中心人物である朱貴妃・朱雅媚です。
皇后が倒れ、周囲の人々がその対応に追われている今なら邪魔が入りにくい。雅媚はその状況を利用して玲琳たちの前へ姿を見せます。
では、なぜ彼女はここまでのことをしたのでしょうか。
その背景には、皇后・黄絹秀との長い因縁があります。
朱雅媚と絹秀は、もともと単純な敵同士ではありませんでした。
かつて雅媚は自分の皇子を流産しています。一方、同じ時期に絹秀は無事に尭明を産みました。
子を失った自分。
子を得た友。
頭では相手を恨むべきではないと分かっていても、心まで理屈通りには動きません。
雅媚は絹秀への羨望を押し殺そうとしていましたが、その弱った心につけ込んだのが金淑妃の言葉でした。
ここから雅媚の心は少しずつ歪み、かつて大切に思っていたはずの絹秀を呪うところまで進んでしまいます。
だからこそ、この事件を「嫉妬深い悪女が皇后を狙った」とだけ整理するのは、少し違うように感じます。
嫉妬は確かにありました。
行ったことも許されるものではありません。
ただ、その根にあったのは、何も持っていない人間の単純な欲ではなく、大切なものを失った人間が、失わなかった相手を見る痛みだったのではないでしょうか。
そこへ別の人間の思惑が差し込まれ、感情が悪意へ変換されていった。
4巻が苦しいのは、雅媚が最初から怪物だったわけではないと分かってしまうからです。
朱貴妃は玲琳を人質にして慧月へ選択を迫る
雅媚は玲琳に短刀を突きつけ、慧月を脅します。
呪い返しを中止しなければ玲琳を傷つける。
さらに慧月に対しては、自分が皇后となれば今以上の待遇を用意するという趣旨の条件まで示します。
ここで試されているのは、慧月が本当に変わったのかどうかです。
かつての慧月なら、自分を虐げてきた環境から抜け出すため、目の前に示された利益へ手を伸ばしていたかもしれません。
しかし今の彼女にとって、玲琳はもう奪う対象ではない。
だから苦しむ。
玲琳は自分を構わず呪い返しを完成させるよう求めますが、慧月にはそんな選択ができません。
耐えられなくなった慧月は崩れ、ムカデを入れていた壺の蓋を開けてしまいます。
一見すると失敗です。
ところが、ここで玲琳が動きます。
自分へ這ってきたムカデを、玲琳はわずかな隙を突いて踏みつぶします。
その結果、呪い返しが成立。
朱貴妃が皇后へ送った呪いは、仕掛けた本人である朱雅媚へと戻りました。
あまりにも力技です。
でも、玲琳なんですよね。
彼女は病弱だから行動できないのではなく、病弱だからこそ「動ける瞬間を逃さない」。
身体の弱さと精神の強さが、もっとも玲琳らしい形で噛み合った場面だったと思います。
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『ふつつかな悪女』4巻で尭明が入れ替わりを知る|激しい後悔の意味
呪い返しを受けた朱雅媚は錯乱し、計画について叫びながら玲琳へ襲いかかります。
そこへ駆けつけたのが皇太子・詠尭明と、鷲官長の辰宇です。
二人によって朱貴妃は取り押さえられますが、ここでもう一つの大きな問題が表面化します。
尭明が、玲琳と慧月の入れ替わりに気づいたのです。
尭明は冬雪を問い詰め、これまでの経緯を知ります。
そして、自分が長く玲琳を大切にしてきたはずなのに、その玲琳が別の肉体に入っていたことを見抜けなかった事実に激しく動揺します。
その感情は、作中世界の「龍気」にまで影響しました。
尭明の心が乱れたことで空に雲が湧き、雷が鳴るほど龍気が荒れます。
玲琳自身よりも、隣にいる慧月のほうがその状況に怯え、何でもいいから殿下をなだめてほしいと玲琳に助けを求めるほどでした。
ここは少し笑える場面として読める一方、尭明の感情を考えるとかなり重い。
彼は玲琳を愛し、大切にしてきた。
その自負があるからこそ、「見抜けなかった」という一点が許せないのです。
他人ではなく、自分自身を。
尭明の後悔は「玲琳を愛していた証拠」だけなのか
ここから少し踏み込んで考えてみます。
尭明の後悔は、表面的には「大切な玲琳を見分けられなかった自責」です。
それ自体は間違いありません。
でも僕には、もう一段深い痛みがあるように見えます。
彼が苦しんでいるのは、「玲琳を見抜けなかった」からだけではない。
もしかすると、自分が見ていた玲琳とは、本当に玲琳そのものだったのかと突きつけられているのではないでしょうか。
病弱で美しく、守られるべき黄家の雛女。
誰からも愛され、無茶をしないよう周囲が気遣う女性。
尭明は玲琳を大切にしていました。
けれど入れ替わった玲琳は、朱家の嫌われ者・慧月の身体を得たことで、農作業にも挑み、逆境の中で驚くほど自由に生きています。
彼女は「可哀想な玲琳」ではない。
むしろ自分の置かれた状況すら面白がれる人間だった。
尭明が見抜けなかったのは、肉体だけだったのか。
それとも、玲琳という人間の内側に存在していた、彼の想像を超える生命力まで見落としていたのか。
そう考えると、空を割るほどの彼の動揺が少し違って見えてきます。
ただの恋心では済まない。
「大切にしていたのに、本当のお前を知らなかったのかもしれない」。
もしそんな恐怖まで混ざっていたとしたら、しんどすぎるんですよね。

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玲琳が尭明に出した3つの要求|慧月を救った「悪女」の願い
尭明の怒りと後悔を鎮めるため、玲琳は彼と話をします。
そしてこの状況を利用するように、三つの要求を突きつけました。
内容を整理すると、重要なのは次の三点です。
- 慧月は朱貴妃に利用されていた面があるため、罰しないこと
- 朱貴妃・朱雅媚への処分については皇后・絹秀の意向を尊重すること
- 玲琳自身の「悪女としての願い」を認めること
最後の願いこそ、4巻の読後感を決定づける仕掛けです。
一連の事件が終わり、玲琳と慧月は入れ替わりを解消します。
黄玲琳は黄玲琳の身体へ。
朱慧月は朱慧月の身体へ。
普通の物語なら、ここで「元に戻ってめでたしめでたし」でしょう。
ところが玲琳が尭明から許可を取った願いは、これからも時々、慧月と入れ替わることでした。
……そこを残すんだ。
僕は初めてこの展開を知ったとき、そこに妙な温かさを感じました。
玲琳にとって入れ替わりは、最初こそ慧月によって一方的に起こされた事件でした。
人生を奪われかねない行為です。
それなのに事件が終わった玲琳は、その入れ替わり自体を「二度と起こしてはならない忌まわしいもの」として封印しません。
自分と慧月をつないだものとして、今度は二人の意思で残そうとする。
同じ現象なのに、意味だけが変わっているんです。
奪うための入れ替わりから、互いの世界へ遊びに行くための入れ替わりへ。
これはかなり鮮やかな反転だと思います。
玲琳は慧月を「許す」のではなく友人として対等にした
玲琳が慧月の処罰を避けようとしたことも重要です。
ただし、僕はこれを単なる聖人主人公の慈悲とは考えていません。
玲琳は慧月を「可哀想な人だから許してあげる」という位置に置いていないように見えるからです。
友人になってほしい。
一緒に危険を背負う。
そして事件の後も、必要なら互いの身体を交換する。
これらはすべて、玲琳が慧月を自分と対等な場所へ引っ張り上げようとする行為です。
綺麗な友情に見えます。
でも、ちょっと待ってほしい。
玲琳のこの行動、優しいだけではないですよね。
一度自分の人生を奪おうとした人間に対して、「それでも私はあなたと関わり続けます」と言っている。
これ、場合によっては許すより重い。
慧月にとって玲琳は、自分が罪を犯した相手です。
本当なら、罰せられたほうが楽だったかもしれません。
「私は悪人だった。だから裁かれた」で話を終えられるからです。
ところが玲琳は終わらせてくれない。
友人になろう。
また会おう。
時々入れ替わろう。
生きて、私と関係を続けて。
玲琳本人はそんな重々しい言い方をしないでしょう。
だから余計に重い。
慧月に与えられたのは免罪符ではありません。
これから幸せになる責任だったのではないでしょうか。
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朱雅媚の結末は?皇后・絹秀との抱擁が示したもの
事件後、朱雅媚には流刑が言い渡されます。
ただし、その処分は玲琳と皇后・絹秀の意向によって軽減されたものでした。
そして牢にいる雅媚のもとへ、皇后自身が訪れます。
ここで絹秀は、雅媚をただ断罪するのではなく、彼女を抱きしめます。
絹秀が雅媚に向けたのは、心の底から幸せになってほしかったという思いでした。
4巻の中で、僕が一番苦しくなるのはここです。
雅媚は皇后を呪いました。
一歩間違えば命を奪っていたでしょう。
許されないことをしています。
それでも絹秀にとって雅媚は、最初から最後まで単なる「敵」にはなりきれなかった。
かつて同じ時間を過ごした人。
幸せを願った人。
そして、自分が幸せになったことによって傷つけてしまったかもしれない人でもあった。
だから抱きしめる。
この抱擁を「皇后は慈悲深い」で終わらせたくないんです。
綺麗な和解ではなく「取り戻せない時間」を抱く場面だった
表面的には、二人が最後に心を通わせる美しい和解に見えます。
確かに、救いのある場面です。
けれど完全なハッピーエンドかと言われると、僕は少し違うと思います。
だって、昔の二人には戻れない。
失われた皇子は戻らない。
雅媚が抱えてきた嫉妬も、皇后を呪った事実も消えません。
流刑という結果も残ります。
抱きしめたから全部チャラになるわけではない。
むしろ絹秀の抱擁は、もう元には戻れないことを分かった二人が、それでも最後に相手を憎しみだけの存在にしないための抱擁に見えるのです。
玲琳と慧月が未来へ向けて関係を始める友情だとすれば、絹秀と雅媚は逆です。
二人には、すでに膨大な過去がある。
楽しかった時間もある。
間違った時間もある。
そして取り返せないものまである。
だからこそ、絹秀が雅媚を抱く行為は「元通りになろう」ではない。
たぶん、「あなたと過ごした時間まで嘘だったことにはしない」という意思なんじゃないでしょうか。
そう考えると、もう、しんどい。
憎んで終わるほうが簡単だったはずです。
裏切った相手を切り捨て、「あの人は悪人だった」と過去ごと捨ててしまえば整理できます。
それを絹秀はしなかった。
どうしてこんなことになったのだろうという悲しみも、昔あなたを大切に思っていたという感情も、その両方を抱えたまま雅媚を抱きしめる。
救いなのに痛い。
でも、その痛みがあるから、この決着は妙に嘘っぽくならないのだと思います。
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『ふつつかな悪女』4巻の結末を考察|第一幕で変わった人物たちの思惑
4巻の第20話で第一幕は終幕します。
皇后を襲った呪いは破られ、朱雅媚は処分を受け、玲琳と慧月は元の身体へ戻りました。
事件だけを箇条書きにすれば、確かに驚くほど綺麗に片づいています。
しかし人物の内側を見ると、むしろここからが始まりです。
玲琳は「守られる雛女」から他人の運命を変える存在へ
第一幕を通して最も大きく立場が変わったのは、やはり玲琳でしょう。
入れ替わる以前の彼女は、才色兼備で誰からも愛される一方、病弱なため周囲から守られる存在でした。
しかし慧月の身体で暮らした時間によって、玲琳は「自分が何をしたいのか」を実際の行動として広げていきます。
そして4巻では、とうとう自分だけではなく他人の処遇まで変える側に立ちました。
慧月を罰させない。
朱雅媚の処分について皇后の意向を尊重させる。
さらに自分の望みとして今後の入れ替わりまで認めさせる。
玲琳は相変わらず柔らかい物腰ですが、かなり大胆です。
僕はここに、「悪女」という言葉の面白い反転を感じます。
一般的な悪女は、自分の欲望のために他人を利用します。
玲琳も確かに自分の望みを押し通している。
ただ、その望みの中には他人が生き直す余白まで含まれているんです。
だから玲琳が自分を「悪女」と扱うほど、その言葉が少しずつ別の意味になっていく。
我慢して誰かに望まれる自分でいるのではなく、自分の欲望を自覚して選ぶ女性。
4巻で玲琳が手に入れたのは、そういう意味での「悪女性」なのかもしれません。
慧月は「奪いたい相手」から玲琳を守る側へ回った
慧月の変化も明確です。
物語の始まりでは、彼女にとって玲琳は自分の欲しいものをすべて持つ存在でした。
美貌。
家柄。
周囲からの愛情。
皇太子からの寵愛。
だから奪いたかった。
ところが4巻で朱雅媚から玲琳の命を盾に取られたとき、慧月は玲琳を犠牲にできません。
ここに彼女の変化が凝縮されています。
かつては玲琳の人生を奪ってでも幸せになりたかった人が、今は玲琳を傷つけてまで自分が助かる道を選べなくなった。
慧月の視線の先にいる玲琳は、もう「恵まれた黄家の娘」という記号ではない。
自分を知り、それでも手を伸ばしてくれた、一人の人間になったのでしょう。
人を憎むとき、私たちは相手を記号にしたほうが楽です。
「あの人は恵まれている」。
「あの人には私の苦しみなんて分からない」。
そう思っている間は、相手の内面を想像しなくて済みます。
しかし相手と話し、弱さを知り、笑い方を知り、自分に向けられた善意を知ってしまうと、記号のまま憎み続けることが難しくなる。
玲琳と慧月の関係は、その過程だったように思います。
尭明はこれから「守る」以外の愛し方を求められる
そして第一幕終了後、意外と大きな宿題を抱えているのが尭明です。
彼は玲琳への愛情を疑われているわけではありません。
むしろ深すぎるほどです。
しかし4巻によって、玲琳は「尭明が守るべき存在」という枠から完全にはみ出しました。
尭明の知らないところで事件へ飛び込み、慧月と友情を結び、呪い返しへ加わり、朱貴妃と対峙し、最後には自分で条件まで通してしまう。
これから尭明が玲琳と本当に向き合うためには、「危険から遠ざける」だけでは足りないでしょう。
玲琳が選んだ危険を理解し、その自由まで尊重できるのか。
これは恋愛感情の強さとは別の問題です。
愛しているから守りたい。
でも守りたいから閉じ込める。
その境界線は、とても近い。
尭明が入れ替わりを見抜けなかったことを激しく悔やんだ4巻は、むしろ彼にとって玲琳をもう一度知り直すスタート地点なのではないでしょうか。
『ふつつかな悪女』4巻ネタバレまとめ|第一幕の本当の決着とは
『ふつつかな悪女』4巻では、第16話から第20話にかけて、朱貴妃・朱雅媚による皇后への呪いを巡る事件が決着します。
玲琳と慧月は蠱毒を利用した呪い返しに挑み、朱雅媚から妨害を受けながらも術を成功させました。尭明と辰宇が駆けつけたことで雅媚は取り押さえられ、尭明もついに玲琳と慧月の入れ替わりを知ります。
その後、玲琳は慧月を罰しないこと、朱雅媚の処分について皇后の意思を尊重すること、そして自分自身の願いを尭明に認めさせます。
朱雅媚には流刑が決まりましたが、牢を訪ねた皇后・絹秀は、かつて友であった雅媚への思いを捨てず、彼女を抱きしめました。
そして玲琳と慧月は元の身体へ戻りながらも、関係そのものを終わらせません。
玲琳が得た「時々また入れ替わる」という選択肢は、第一幕を象徴する結末です。
最初の入れ替わりは、慧月の絶望と嫉妬によって始まりました。
最後に残った入れ替わりは、二人の合意と友情によって続いていく。
現象は同じなのに、その意味は正反対になっています。
だから4巻の第一幕完結は、「全部元に戻りました」という物語ではないのでしょう。
戻った身体の中には、もう以前と同じ二人はいない。
玲琳は慧月の人生を知り、慧月は玲琳という人間を知った。
尭明もまた、自分が知っているつもりだった玲琳を見つめ直すことになります。
そして絹秀と雅媚には、元通りにはできない過去を抱えながら生きる時間が残されました。
綺麗に終わったようで、誰も完全には元の場所へ戻れない。
でも、それでいいんだと思います。
人と深く関わったあと、何も変わらず元通りになるほうが不自然ですから。
傷つけたことも、救われたことも、羨んだことも、愛されたことも全部抱えたまま、それでも次の局面へ進んでいく。
『ふつつかな悪女』4巻は、そんな「やり直しではなく、生き直し」の物語として読むと、第一幕の結末がさらに深く刺さってきます。
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迷っている間に失効するタイプの特典なので、
「いつか読むつもり」の作品があるなら、先に確保しておくほうが無難です。
よくある質問
『ふつつかな悪女』4巻は何話から何話まで?
漫画4巻は、第16話から第20話までが中心となり、第20話で第一幕が完結します。
皇后を襲った呪いへの対処、朱貴妃との対決、尭明が入れ替わりを知る展開、事件後の処分までが描かれます。
朱雅媚は4巻でどうなる?
朱雅媚が皇后へ仕掛けた呪いは玲琳と慧月によって返され、その後、尭明と辰宇に取り押さえられます。
最終的には流刑となりますが、玲琳と皇后の意向もあって処分は軽減され、牢では皇后・絹秀との感情的な対話が描かれます。
玲琳と慧月の入れ替わりは4巻で終わる?
事件後、二人はいったん入れ替わりを解消し、それぞれ元の身体へ戻ります。
しかし玲琳は尭明に対して「時々入れ替わる」ことを願いとして認めさせており、入れ替わりそのものが完全に封印されたわけではありません。最初は敵意から始まった現象が、二人の友情を象徴するものへ変わった点が4巻の大きな意味だと考えられます。
相沢 透



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